2045年への願いをテーマに、ウォールアートを描く。戦後100年へ向けた新たなプロジェクトに地元企業とアーティストが挑み、完成するまでの誕生秘話。

2024年1月29日(月)13時0分 PR TIMES STORY

1層目 三浦恒祺氏「光に向かって這っていけ」

 おりづるタワーを運営する広島マツダは、広島の復興とともに成長してきた企業です。地元・広島に何か恩返しをしたいという想いで「おりづるタワー」は復興した広島の美しい景色が楽しめる展望台を備えた複合商業施設として生まれました。おりづるタワーは「人の強さ」と優しい未来に焦点を当て、訪れる人々にそんなメッセージを届けたいと考えています。

 しかし、コロナウイルスの流行により、長期間の休館を余儀なくされました。世界中が未来への不安に覆われた中で、「復興した広島から未来へ何か残せないか」という思いから、WALL ART PROJECT "2045 NINE HOPES"がスタートしました。

 

 このストーリーでは、プロジェクトが完成するまでの舞台裏を振り返ります。

おりづるタワーの事業概要

 おりづるタワー(運営:株式会社広島マツダ、以下広島マツダ)は、原爆ドームの東隣に2016年にオープンしました。

 広島マツダは1933年、当時の原爆ドーム一帯に位置した猿楽町で創業しました。しかし、1945年の原子爆弾投下により社屋が倒壊し、全社員を失いました。そこから今日に至るまで、広島の復興の歩みと共に成長することができた企業です。

 おりづるタワーの屋上階には吹き抜けの展望台があり、原爆ドームや平和記念公園、晴れた日には宮島の弥山が一望できます。メインコンテンツの「おりづるの壁」では、専用の折り紙で折り鶴を作り、高さ約50mのガラス張りエリアから鶴を投入できます。また、「デジタルコンテンツが楽しめるフロア」や「ご当地みやげが充実する物産館」などがあります。オープン以来、広島の「現在・過去・未来」を体感できる唯一無二の空間として、国内外から多くのお客様が訪れています。

屋上展望台"ひろしまの丘"

「2045年」への願いをテーマとしたウォールアートプロジェクト

 コロナウイルスの影響で観光客が急減し、原爆ドーム周辺では被爆の実相を伝えるボランティアガイドも見かけなくなりました。世界中が未来への不安を抱える中、「復興を遂げた広島で未来へ向けて何か残せないか」という思いから、WALL ART PROJECT "2045 NINE HOPES"がスタートしました。

 次の世代に継承する重要性や、「当たり前」ではなかった大切な日常を思い、「今」ある幸せに気づくことの大切さを広島の地から発信していきたいと、戦後100年となる「2045年」への願いをテーマに、ウォールアートを描くことになりました。

プロジェクト開始時のエピソード

企画担当者 左:岩澤なるみ 右:長岡優

 ウォールアートのプロジェクトを担当したのは、ほぼ未経験の2名で、立案から実行までスタートしました。相場観や施工の常識、デザインについての知見もありませんでしたが、11カ月のプロジェクト期間中に、アーティスト手配、予算調達、補助金申請、施工手配、プロモーションなど、すべての工程を自社で行うこととなりました。

 

 このプロジェクトでは、展望台まで続く9層のスパイラルスロープに1層ずつ異なる世代のアーティストにアートを描いてもらうことが決まりました。壁面の大きさは約24m×4mで、制作期間は相当な時間を要することが予想されました。

 おりづるタワーにとって、なぜこのプロジェクトを実施すべきなのか、ビジョンを明確にするために時間をかけ、アーティストに対して丁寧に説明しました。その結果、アーティストは納得以上の「故郷への使命感」を抱き、このプロジェクトに参加することができました。

アーティストと協力して完成したウォールアートとその反響

 アーティストは、ご本人の表現されている本質と今回のプロジェクトの親和性を基に選定しました。本職がウォールアートである方は1名のみで、漫画家、切り絵作家、インスタレーション作家、日本画家など、様々なバックグラウンドを持つメンバーで構成されています。最終的には、「この世界の片隅に」の原作者であるこうの史代氏を含む、20代から90代までの国内外で活躍する広島ゆかりのアーティスト9名がプロジェクトに参加することとなりました。

8層目 若佐慎一氏「この地球には、みんな其々違う人達が生きている。」

 実際にウォールアートを描き始めるまでには、さまざまな問題が待ち受けていました。スパイラルスロープは各層ごとで若干壁面のサイズが異なるため、下絵づくりの段階で正確な壁面サイズを伝えるまでに時間がかかることがありました。同時に、塗料に関する要件の明確化も難航しました。

4層目 山本基氏「青天の小径」

 下地処理は業者に依頼しましたが、絵の具などはアーティスト自身で手配しました。         ほとんどのアーティストがウォールアートに初挑戦する中、雨ざらしでも落ちない絵の具や、壁面下地に適したものについての質問が相次ぎました。このような状況の中、今回のアーティストの一人でウォールアートを本職とするSUIKO氏と協力して話を進め、事前テストを繰り返しました。

 

 あらゆる困難を乗り越え、およそ3カ月にわたる公開制作が始まりました。しかしながら、同時期にロシアによるウクライナ侵攻が始まり、アーティストの中には予定していたデザインを急遽変更される方もいました。

 

 願いの先にあるのは、広島から「過去を創ってきた世代」、「現在を創る世代」、「未来を創っていく世代」の様々な時代背景に生きたアーティストたちが、未来へ託したい想いです。未来を願う同志として集まり、アートを通して広島から世界へ訴える姿は、当初想定していた企画を超えたものとなりました。

5層目 こうの史代氏「心経」

 完成披露の記者会見には多くのメディアが集まり、各媒体で取り上げられる機会を得ました。光栄なことに、企業による芸術文化を通じた社会創造の観点で、公益社団法人企業メセナ協議会が主催する「メセナアワード2023」で、特に優れた活動を顕彰する優秀賞を受賞しました。

 そして、その情熱は世界に広がり、8月6日には50カ国以上の世界各国の大使が来館しました。G7広島サミット以降は紛争地同士の国の方も訪れました。自身の状況とアートを通して未来への願いを馳せる来館者も少しずつ増えています。

完成記者会見でのアーティスト集合写真


 7層目 SUIKO氏「朝の時代」

 おりづるタワーの想い

 おりづるタワーには、国内だけではなく、海外からも多くのお客様にお越しいただいています。

 特にウォールアートは、言葉の壁を越え、世界中の方々にアートを通して、それぞれの「メッセージや平和」を感じていただきたいコンテンツとして、発信し続けていかなければならない存在だと思っています。

 これからも国内外から多くのお客様にお越しいただき、広島観光のハイライトになれることを願っています。

おりづるタワーHP:https://www.orizurutower.jp/




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