投資した瞬間に「負け確定」…ホリエモンが推す長期投資家が「絶対行くな」という場所、「絶対買うな」という商品
2025年3月5日(水)8時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yusuke Ide
■100万円預けても利子が年1000円の銀行預金
銀行預金には「元本保証」があるため、一見すると安心で安全に感じられます。ペイオフ制度により、銀行が破綻しても1000万円までの預金と利子は保護されるからです。
写真=iStock.com/Yusuke Ide
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しかし、だからといって、預金しておくだけで資産が確実に増えるわけではありません。むしろ、日本やアメリカなどでインフレが進行している状況下では、現金の価値が目減りするリスクを抱え続けることになります。
さらに銀行預金の金利はごくわずかです。例えば、2024年の日本銀行の追加利上げを受けてメガバンクが預金金利を引き上げました。しかし、その金利は0.02%から0.1%になった程度。100万円の預金で、年間の利子はわずか1000円です。
■「銀行預金だけ」もまたリスク
その一方で、使わないお金を投資に回せば、預金金利をはるかに上回るリターンが期待できます。
最近、日本で新NISA(少額投資非課税制度)がはじまり、S&P500や日経平均株価などの株価指数に連動するインデックスファンドが大きな注目を集めています。インデックスファンドでは、平均して年率5%程度のリターンが期待できるとのデータもあります。
さらに個別株投資であれば、「メタトレンド」や「推し企業」をうまく見極められると、もっと高いリターンを得られるチャンスがあります。
もちろん、投資にはそれ相応のリスクが伴います。しかし、そのリスクと引き換えに、銀行預金と比較にならない利回りを得られる可能性が生まれます。
銀行預金がまったく不要かといえば、そうではありません。生活費や緊急時の出費に備える資金を預金しておくことは大切です。
ただし、それ以外の資金もすべて銀行に置いたままだと、インフレによる価値の目減りもさることながら、投資による資産成長の機会も逃してしまいます。必要以上に預金を増やすのもまたリスクなのです。
■投資信託は細かな銘柄選び不要、リスクも小さい
「銀行預金のリスクはわかったが、メタトレンド投資や推し投資のように自分で積極的に銘柄を選ぶのはハードルが高い」「個別株投資はめんどくさそうだし、やはりそのリスクも心配だ」
そんなふうに感じる方も決して少なくないでしょう。たしかに個別の企業選びの難しさやひとつひとつの企業を分析する手間、そして個別株投資に伴うリスクを考えると、二の足を踏んでしまうのも無理はありません。
そんな人にもおすすめなのが「投資信託」です。投資信託は、多くの投資家からお金を集めて、ファンドマネージャーと呼ばれる運用のプロが、そのお金をまとめて株式や債券など複数の資産に投資、運用する金融商品です。投資信託のなかでもおすすめなのはインデックスファンドやETF(上場投資信託)への投資です。
インデックスファンドとは、S&P500や日経平均株価など特定の指数(インデックス)と同じ値動きを目指す運用方法(インデックス運用)を採用している投資信託のことです。一方のETFは、投資信託の一種ですが、証券取引所に上場されており、株式のようにリアルタイムで取引することができます。
写真提供=徳間書店
投資家の中島聡さん - 写真提供=徳間書店
■資産がゼロになることはほぼない
インデックスファンドやETFへの投資は、個別株投資のように短期間で株価が数倍、数十倍に化けるような、爆発的なリターンは期待できません。
しかし、それは裏を返せば、大きな損失を被るリスクもそれだけ小さいということです。世界経済の中長期的な成長の恩恵を着実に享受できる可能性が高い、堅実な投資手法とも言えます。
さらに何と言っても、投資の手間がほとんど不要であるという点は、忙しい現代人にとって非常に大きなメリットです。インデックスファンドやETFは、市場全体や特定の指数に連動するように、自動的に幅広い銘柄に分散投資されます。そのため、個別銘柄をひとつひとつ分析して選ぶといった膨大な時間と労力を費やす必要はありません。
また、メタトレンド投資と同様に、10年、20年、あるいはそれ以上の長いスパンでじっくりと時間をかけて資産を育てていく、長期投資を前提とした投資手法です。そのため、投資をスタートしたあとは基本的に放置していて問題ありません。短期的な景気の変動や、個別企業の業績、株価の乱高下に一喜一憂し、精神的に疲弊することもないでしょう。
「投資先の企業が経営破綻して、自分の投資したお金がゼロになってしまったらどうしよう」といった、個別株投資につきまとう不安や心配とも無縁です。
インデックスファンドやETFは、多数の企業に分散投資されています。仮にひとつの企業が倒産したとしても、その影響は限定的であり、資産全体がゼロになるリスクは極めて低いのです。
■夢はないが堅実なインデックスファンド
私はメタトレンド投資や推し投資といった、個別銘柄への積極的な投資を行っています。しかしETFにも一部資金を振り向けています。
Microsoft時代に、アメリカの企業型確定拠出年金制度「401K」(日本の企業型DCやiDeCoに相当)を通じて投資してきました。
具体的には「バンガード S&P500 ETF」「バンガード ラッセル1000 グロース株 ETF」などに長期にわたって投資しています。
インデックスファンドやETFに投資する際にも個別株投資同様、ドルコスト平均法による積立投資を行いましょう。高値つかみを防ぐ目的です。そしてiDeCoやNISAなど税制優遇が受けられる枠を活用すれば、効率良く長期投資ができます。
はっきり言って、推し投資やメタトレンド投資に比べると「夢」や「おもしろさ」はありません。しかし、株式投資へのハードルを大きく下げ、長期的な資産形成を手堅く行う手段として、インデックスファンドやETFは非常に優秀です。「投資はやりたいけど個別銘柄選びに時間をかけたくない」という方にとって、インデックスファンドやETFはちょうどいい落としどころだと思います。
■金融機関窓口での相談は要注意
個別株投資に消極的な人にとってインデックスファンドやETFは優秀な金融商品です。ただし、注意すべきなのが「信託報酬(手数料)」です。
もし銀行や郵便局、証券会社の窓口で投資信託について相談しようものなら、容赦なく販売手数料や信託報酬の高い商品を売りつけられます。当たり前ですが、手数料が高ければ高いほど、最終的に手元に残る利益は確実に減ってしまいます。どんなにインデックスファンドやETFのパフォーマンスが好調であっても、高い手数料を支払い続けていれば大きな損失につながりかねません。
写真=iStock.com/gerenme
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/gerenme
特にインデックスファンドやETFは、一度購入したら基本的に長期間保有し続けることが前提の金融商品です。そのため、わずかな手数料の差でも長期間積み重なり、「塵も積もれば山となる」のです。
インデックス投資やETF投資は、基本的に投資をはじめたら放置しておいて問題ありません。だからこそ、投資をはじめる最初の「商品選び」でできるだけ手数料が低く、コストパフォーマンスに優れる商品を選ぶことに徹底的にこだわるべきです。
■投資信託は人を介さない「ネット証券」で
ちなみに、私も運用している「バンガード S&P500 ETF」は信託報酬が年率0.03%と驚異的な低コストです。
インデックス投資やETF投資のメリットは「資金を預けて寝かせておくだけで、コストを最小限に抑えつつ、それなりに市場の成長の恩恵を受け取れること」です。そのメリットを最大限受けるには「バンガード S&P500 ETF」くらい少ない信託報酬の商品を選ぶべきでしょう。
販売手数料や信託報酬といった手数料を抑えるには、基本的には「人」を介さない取引が有効です。つまり、ネット証券を利用することです。
銀行や郵便局、証券会社の窓口は、人件費や店舗維持費などのコストがかかるため、どうしても手数料が高くなりがちです。一方、ネット証券であれば、それらのコストを大幅に削減できるため、結果としてコスパに優れた魅力的な商品を提供できるのです。
■アクティブファンドは買ってはいけない
銀行や郵便局、証券会社の窓口で投資信託について相談すると「アクティブファンド」を勧められることがあります。しかし手を出してはいけません。アクティブファンドは往々にして高い手数料が設定されており、あなたの資産を静かに、しかし確実に蝕んでいくからです。
アクティブファンドとは、S&P500や日経平均株価などの特定の指数を上回る投資成果を目指して運用される投資信託のことです。ファンドマネージャーと呼ばれる運用の専門家が、独自の判断で銘柄選定や売買を行います。
しかし、過去の運用実績を見てみると、インデックスファンドのほうが圧勝しているのです。
アクティブファンドがインデックスファンドを上回るリターンを、毎年安定して継続的に叩き出し続けるケースは稀です。特に、5年、10年、20年といった長期で見れば見るほど、平均的にはアクティブファンドがインデックスファンドに負けてしまう傾向が数多くの調査研究によって報告されています。
中島聡『メタトレンド投資 10倍株・100倍株の見つけ方』(徳間書店)
アクティブファンドがインデックスファンドに負けてしまう理由は、その高い手数料にあります。アクティブファンドの運用会社は、高度な専門知識と経験を持つ高給取りのファンドマネージャーを雇い、さらに顧客を獲得するためのマーケティング活動も展開する必要があります。
それらの莫大なコストを、アクティブファンドに投資する投資家たちが高い手数料という形で負担しているわけです。
手数料を除いたパフォーマンスは、平均すればインデックスファンドと同じくらいですが、手数料のぶんだけパフォーマンスが悪くなる。そのようなアクティブファンドを積極的に選ぶメリットは、残念ながら何ひとつ見当たりません。
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中島 聡(なかじま・さとし)
エンジニア、起業家、投資家
1960年北海道生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了1985年、同大学院を卒業し、NTTの研究所に入所。1986年、マイクロソフト日本法人に転職。1989年、米マイクロソフト本社に異動。ソフトウェア・アーキテクトとしてWindows95、Internet Explorer3.0/4.0、Windows98の基本設計を手がける。2000年、米マイクロソフトを退社。同年、Xevo(旧UIEvolution)を創業し、全米ナンバーワンの車載機向けソフトウェア企業に成長させる。現在、iPhone、iPadのアプリをはじめとした、さまざまなソフトウェア開発を行っている。シアトル在住。人気メルマガ「週刊 Life is beautiful」は約2万人の会員数を誇り(2025年1月時点)、まぐまぐ大賞2024・総合大賞1位を獲得。著書に15万部を超えるベストセラー『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』(文響社)など。
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(エンジニア、起業家、投資家 中島 聡)