エクササイズ用の自転車をこぐより効果的…うつに悩む人の気分がひときわ明るくなった運動の種類

2025年3月11日(火)16時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/BongkarnThanyakij

気分が落ち込んでも、すぐに切り替えられる人は何をしているか。心理学者の内藤誼人さんは「気分転換のコツは、『もし悩んだら、○○する』ということを自分なりにあらかじめ決めておくことだ。ドイツにあるハイデルベルク大学のザビーネ・コッホの実験では、エクササイズ用の自転車をこぐより簡単に気分転換できる運動がわかっている」という——。

※本稿は、内藤誼人『タモリさんに学ぶ「人生のたたみ方」』(廣済堂出版)の一部を再編集したものです。


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■「老けている」と感じている人ほど、病気になりやすい


自分のことは、いつまでも子どもだと思っていたほうがいいですよ。何歳になっても、「私なんてまだまだひよっこだ」とか、「私なんて青二才だ」と思っていたほうが、精神的に若々しくいられますから。


タモリさんは、自分の精神年齢がかなり若いと思っているようです。


「僕はずっと流されて生きてきたんですよ。流れに乗ってるだけなんです。自分で動かないんですよね。(中略)大人じゃないんですね。成熟してないんですよ」
(『ターザン』 1998年10月28日号 p58)

自分が成熟した大人ではないということを自己認識できるのは、立派に老成している証であろうとも思うのですが、ともかくタモリさんは自分を若造のように思っていることは間違いありません。


読者のみなさんも、できるだけ自分のことを子どもだと思うようにしてください。そのほうがいつまでも元気なままでいられますから。


フランスにあるモンペリエ大学のヤニック・ステファンは、1995年から1996年と、2004年から2005年に行なわれた全米の中高年生活調査(3209名)と、2008年と2012年に行なわれた健康と退職研究(3779名)と、2011年と2013年に行なわれた健康と加齢傾向調査(3418名)について分析し、3つの研究ともすべてで、「主観的に老けている」と感じている人ほど、病気になりやすいことを突き止めています。


■若いと思っていると、ずっと若いままでいられる


「いやあ、私も老けたな」と心理的に思っていると、身体のほうもどんどん弱ってしまいますので注意してください。


「私なんてまだまだ若造」だと思っていたほうがいいですね。若いと思っていたほうが、自己暗示の効果もあって、いつまでも若々しくいられるのではないかと思われます。


政治の世界では、高齢の議員も現役で活躍しているので、50歳になっても60歳になっても、「まだまだ洟垂れ小僧」と言われるという話を聞きますが、自分のことを洟垂れ小僧だと思えるのは、悪いことではありません。


政治家には高齢でも元気な人がたくさんおりますが、主観的に老けたと思わないので元気でいられるのでしょう。


「私はずいぶん老けた」と思ってはいけません。主観的に老けたと思っていると身体も老け込んでしまいます。


たとえ何歳になっても、私は中高生くらいだと思っていたほうがいいですよ。精神年齢が若いほうが、身体もずっと若いままでいられます。


タモリさんの教え
いつまでも若々しくいるために、自分を若造だと思う

■新人よりベテランのほうがクレームが多い理由


ある航空会社で、お客さまからのクレームが多い客室乗務員についての調査が行なわれたことがあります。


ごく普通に考えれば、ベテランの客室乗務員のほうがクレームは少なそうだと思うのですが、実際に調べてみると、クレームが少ないのは新人の客室乗務員のほうでした。


なぜでしょうか。新人の客室乗務員は、たしかにあらゆる作業に時間がかかりますし、手際が悪かったりもするのですが、それでも額に汗を浮かべて必死に頑張っている姿を見せるので、お客は何も文句を言わないのです。


その点、ベテランの客室乗務員は仕事ぶりはよいものの、お客からすればなんとなく冷たく素っ気なく感じるというか、機械的に扱われているように感じてしまうので、それがクレームにつながるのです。


おそらくどの業界においても事情は似ていると思います。不思議なことなのですが、ベテランが必ずしもお客からのウケがよい、というわけではありません。


写真=iStock.com/maroke
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スーパーのレジ係の店員さんでも、胸元に「研修中」といったネームプレートがあれば、レジを打つのが遅くてモタモタしていても、お客は文句を言わないのではないでしょうか。


むしろ「ゆっくりでいいですよ。僕は急いでませんから」などと温かい励ましの言葉をかけるのではないかと思います。


■気分的にはまだ新人くらいだと思えるか


タモリさんはというと、さすがに新人とまではいきませんが、それでも自分のことをベテランだなどとはこれっぽっちも思っていないようです。


「自信がないんですよね。慣れないというか。ベテランという意識もないし、いまだに中堅ぐらいの意識ですよ」
(『SWITCH』 2015年5月号 p74)

タモリさんのような気持ちで仕事に取り組みましょう。「私はベテランなんだぞ」などとはつゆほども思ってはいけません。


ニューヨーク州立大学のデビッド・ワルドマンは、年齢と生産性、そして職場の人からの評価について調べた40本の論文を総合的に分析し、「年齢が上がるほど、生産性は上がる」という傾向と、「年齢が上がるほど、逆に評価は低くなる」という結論を得ました。


年齢が上がってベテランになると、仕事にも慣れるので、生産性は上がるのです。これは間違いありません。ところが、そういうベテランが好ましく評価されるのかというと、どうもそうではないらしく、むしろ若い新人のほうが評価はよかったりするのです。


どんなにベテランになっても、気分的にはまだ新人くらいだと思っていたほうが、フレッシュな気持ちで仕事に取り組めるでしょうし、周囲の人からも好ましく評価してもらえるかもしれません。


写真=iStock.com/maruco
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maruco
タモリさんの教え
ベテランになっても、新人時代の気持ちを持ち続ける

■タモリ式・3秒で気分転換する方法


人はだれでも思い悩むことがありますが、タモリさんもやはり人の子ですので、悩むことはあるそうです。


ただし、その時間はというと、3秒(笑)。本当に悩んでいるといえるのかどうかは微妙ですが、すぐに気分転換できるのはうらやましいですね。


「何でも行き当たりばったりだし。ホントにこれでいいのかと、自分の性格について悩むことがありますよ。3秒ぐらいね」
(『週刊読売』 1995年1月22日号 p145〜146)

気分転換のコツは、「もし悩んだら、○○する」ということを自分なりにあらかじめ決めておくこと。「こうすると私はすぐに気分が変わる」という方法を決めておけば、そんなに悩まずにすませられます。


すぐに気分転換をしたいのであれば、踊ってみてください。


いきなり踊り出すと周囲の人もびっくりしますので、非常階段や給湯室やだれもいないトイレなどで踊るのだということも忘れずに。


ダンスが苦手な人でも、うまいダンスをする必要はありません。身体をゆらゆら動かして、面白おかしく踊ってください。盆踊りでも何でもかまいません。落ち込んだ気分も、すぐに元通りになると思いますよ。


■踊るチャンスを見逃してはいけない


ドイツにあるハイデルベルク大学のザビーネ・コッホは、うつに悩む参加者を集め、


①アップテンポの曲に合わせて踊る
②同じ曲を踊らずにただ聴く
③エクササイズ用の自転車をこぐ


という3条件での気分の変化を調べる実験をしてみましたが、どのグループも気分はよくなりましたが、ひときわ明るくなれたのは、①の踊るグループでした。


「ホイ、ホイ、ホイ」とおかしな掛け声をかけてしばらく踊っていれば、何だか悩んでいるのがバカらしくなってきます。気分もよくなります。



内藤誼人『タモリさんに学ぶ「人生のたたみ方」』(廣済堂出版)

踊りの見本になるものがほしいというのであれば、ユーチューブで愉快なダンス動画を探してみてください。いくらでも見つかると思いますので、自分なりに好きな動画を決め、自分も真似して同じように踊ってみるのです。


気分転換の方法はたくさんありますが、「踊る」という方法は読者のみなさんも試したことがないと思いますので、ぜひご自分でその効果を確認してみてください。私も自分で試してみましたが、すぐに楽しい気分になりました。


上司に叱られてしまったとか、仕事でミスをしてしまって気分がしょんぼりしてしまったときには、踊るチャンス。ぜひ一度はこの方法も試してみてください。


タモリさんの教え
悩んだときの「自分なりのルール」を決めておく

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内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。立正大学客員教授。有限会社アンギルド代表。社会心理学の知見をベースに、心理学の応用に力を注ぎ、ビジネスを中心とした実践的なアドバイスに定評がある。『心理学BEST100』(総合法令出版)、『人も自分も操れる!暗示大全』(すばる舎)、『気にしない習慣』(明日香出版社)、『人に好かれる最強の心理学』(青春出版社)など、著書多数。
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(心理学者 内藤 誼人)

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