仏頂面の人は人生大損している…人間関係をうまくやれる人に共通する"表情づくりの基本姿勢"

2024年3月21日(木)17時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PonyWang

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人間関係を良好に保てる人は何をしているか。心理学者の内藤誼人さんは「患者さんと好ましい関係を築いていて、一度もクレームをつけられたことがない医者は、診察中によく笑い、親切にし、相手にたくさん話をさせる、という特徴があることがわかっている。面白いことなどなくとも、笑顔はどんどん見せたほうが、人間関係はうまくいきストレスも減る。男は、3年にいっぺんだけ、それも片頬をほんの少し上げてニヤリとするくらいの笑顔を見せればいいというのは大間違いだ」という——。(第4回/全8回)

※本稿は、内藤誼人『イライラ・不安・ストレスがおどろくほど軽くなる本』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/PonyWang
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■診察中によく笑い、一度もクレームをつけられない医師


ストレスの原因には、いろいろなものが考えられますが、私たちにとって一番のストレスといえば、やはり人間関係ではないでしょうか。


ということはつまり、人間関係をうまくやるように心がけて生活していれば、現在自分が感じているストレスを、半分、いや、8割くらい解消できるかもしれません。


では、どうすれば人間関係を円満にできるのでしょうか。


何も特別に難しいことをやる必要はありません。ただいつでもニコニコと微笑んで、愛想をよくしていればいいのです。たったこれだけのことで、どんな人との関係もたいていうまくいきます。


シカゴ大学のウェンディ・レヴィンソンは、プライマリーケアの開業医59名と、外科医65名にお願いし、それぞれ1人につき10人の患者とのやりとりを録画させてもらいました。


次にレヴィンソンは、患者からクレームをつけられたことが一度もない医者と、2回以上クレームを言われたことのある医者の2つのグループに分けて、患者とのやりとりを分析してみました。


すると、患者さんと好ましい関係を築いていて、一度もクレームをつけられたことがない医者は、診察中によく笑い、親切にし、相手にたくさん話をさせる、という特徴があることがわかりました。


とにかく微笑んでいれば、医者と患者との関係はうまくいくのです。


患者にクレームをつけられる医者は、無表情であるとか、不機嫌そうな顔をしていることが原因だとわかりました。


■「男は三年に片頬」は大間違い


これは医者と患者の関係に限りません。


どんな業界の、どんな仕事をしている人でも、とにかくふだんからニコニコして人と接するようにしておけば、人間関係がおかしくなることはありません。どんな人ともうまくいく方法が、笑顔を見せることなのです。


写真=iStock.com/franckreporter
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「面白くもないのに、そんなにヘラヘラ笑っていられるか!」と感じる人もいると思うのですが、面白いことなどなくとも、笑顔はどんどん見せたほうがいいのです。


「男は三年に片頬」という言葉があります。


男は、3年にいっぺんだけ、それも片頬をほんの少し上げてニヤリとするくらいの笑顔を見せればいいのだという意味なのですが、それが間違いであることは言うまでもありません。


レヴィンソンの研究でも、そういう医者ほど患者からクレームをつけられることが多かったのです。


いつでもとびきりの笑顔を、出会う人すべてに見せてあげてください。それだけで人間関係はうまくいきますし、人間関係でのストレスもかなりの程度まで減らせます。


■自分に向けて微笑んでくれる人を見つける


人前でスピーチをするのは、とても緊張しますよね。こういう緊張や不安はどうにかならないものなのでしょうか。


結論から言うと、あまり不安に感じないようにすることはできます。


どうすればいいのかというと、聴衆の中でも、特にこちらに向けて微笑んでくれている(あるいは、そのように見える)人を探し、その人に向かってだけ話すようにすればいいのです。


私は大学の講師をしておりますし、セミナーや講演会に呼ばれることも多いのですが、必ず毎回緊張します。


そのため、最初の5分くらいは、自分に向かって微笑んでいるように見える人にだけ話すようにしています。そのほうが緊張や不安を感じずにすむからです。


このテクニックは、フロリダ州立大学のノーマン・シュミットによっても効果が確認されている優れた方法です。


シュミットは、社会不安のある人に、不機嫌そうな顔の人に目を向けるという条件と、聴衆の中でも微笑んでいる人に目を向けるようにするという条件で、不安の軽減にどんな違いがあるのかを調べています。


結果は次のようになりました。


・不機嫌な表情の人に目を向ける(18名)→11%が不安解消
・にこやかな表情の人に目を向ける(18名)→72%が不安解消
(出典:Schmidt,N.B.,etal.,2009より)

数値から明らかなように、にこやかな人を見ていれば、不安は解消されるのです。


■「私は、この人に受け入れられている」という安心感


シュミットは4カ月後に再調査をしましたが、そのときにも社会に対する不安の軽減効果は持続していたそうです。


自分に向けて微笑んでいるように見える人は、少なくとも、こちらに好意を持ってくれているということです。


そういう人に目を向けるようにすれば、「私は、この人に受け入れられている」という安心感が得られて、そんなに緊張も不安も感じなくなるのです。


こちらに向かってムスッとした顔をしているとか、無表情の人などを見ていると、「私の話がつまらないのではないか」「私が緊張していることを、心の中であざわらっているのではないか」などと、ネガティブな考えばかりが浮かんでしまいますので、そういう人のほうはなるべく見ないようにしたほうがいいのです。


出典=『イライラ・不安・ストレスがおどろくほど軽くなる本

人前で話すことはだれにとっても緊張することですし、できれば避けたいと思うかもしれません。


でも、そんなに逃げてばかりもいられないときには、ぜひこのテクニックを思い出して試してみてください。


■怒った人を見るとストレス反応が起こる


私たちは怒っている顔の人を見ると、自然にストレス反応が起きます。


「ひょっとすると暴力を振るわれるのではないか」「殺されることもあるのではないか」と危険を感じるので、身体が自然に反応してしまうのです。これは人間に備わった本能的な反射のようなものです。


カリフォルニア大学ロサンゼルス校のマシュー・リバーマンは、怒った顔やうれしい顔などの表情を見せたとき、私たちの脳がどのように反応するかを、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)という方法で確認しています。


すると、怒った顔の人を見ると、私たちの脳の中でネガティブな感情にかかわる扁桃体や他の大脳辺縁系が活性化することがわかりました。


怒った人を見ると、ストレス反応が起こるのです。


ところが、こういうストレス反応は、ちょっとしたやり方で抑制できることもリバーマンは明らかにしています。


その方法とは、「感情ラベル法」。相手の顔を見て、それがどんな感情に当てはまるのかのラベルを考えるようにすると、扁桃体の活動を抑制できたのです。


■相手の感情に「ラベル」を貼る


怒った顔の人を見るときには、その怒りにぴったりと当てはまるラベルを考えてみましょう。


「これは、まだ“不機嫌”くらいのレベルだな」
「怒りの程度がまだ小さいから、“立腹”くらいかな」
「おお、ずいぶん怒っているな、これは“激昂”レベルだろう」


こんなふうに考えるようにすると、脳のストレス反応は起きにくくなるのです。


出典=『イライラ・不安・ストレスがおどろくほど軽くなる本

相手の表情に合った感情ラベルについて考えようとすると、だれでも冷静になることができます。科学者や医者になったつもりで、怒っている相手を冷静に観察するようにするのがポイントです。そうしていれば、あまりストレスを感じません。


怒っている人を相手にするときには、まともに相手にしすぎないほうがいいですよ。こちらもイライラしてきてしまいますからね。


怒っている人を相手にしてストレスを感じたら、落ち着いて相手の怒りのレベルを観察し、どんな怒りなのかのラベルを考えてみてください。


怒りには、むかっ腹、立腹、激怒、憤激、憤然などいろいろなラベルがありますので、もっともふさわしい単語がどれなのかを考えるようにするのがコツです。


頭の中で他のことを考えているうちに、相手の怒りもおさまってくれるでしょう。


■上司にお世辞やおべっかをいうのはダメ


上司とは円満な関係を築きましょう。


なぜかというと、上司との関係が悪いと、嫌がらせをされたり、批判をされたり、無意味に怒鳴られたりすることがあるからです。


インディアナ大学のケネス・ハリスは、さまざまな業種で働く418名の人を対象に、職場のストレスについての研究を行いました。


その結果、上司との関係が悪い人ほど、「仕事の悩みでよく眠れない」などのストレス反応が高まることが明らかにされたのです。


上司との関係がスムーズであれば、ストレスは減らせます。


ただし、ここでひとつ注意があります。


上司との関係をよくしたほうがいいわけですが、だからといってやりすぎはダメだということです。


あまりにあからさまなお世辞やおべっかをいうのはダメです。


ハリスによると、上司との関係がよいと、ある段階まではストレスは減ります。けれども、さらに上司にすり寄ろうとすると、今度はまたストレスが高くなるのです。


「上司に好かれなければ……」という意識が強すぎると、それが別のストレスを生み出してしまうのですね。


そのため、上司とはほどほどに仲良くやっていくのが心理学的には正解です。


■上司と“ほどほどに”円満な関係を築くコツ


いつもいつも上司におべっかを使う必要はありませんが、まあ、時と場合を選びながら、ちょっとだけ気分がよくなりそうなことを言ったり、出張に出かけるときには3回に1回くらいお土産を買ってみたり、という感じでしょうか。



内藤誼人『イライラ・不安・ストレスがおどろくほど軽くなる本』(明日香出版社)

何事もほどほどが一番なのですが、それは上司との関係にも当てはまります。


上司に嫌われるのは論外ですが、だからといって「上司の一番のお気に入りになろう」などとは思ってはいけません。ほどほどでいいのです。割合でいうと、6から7割くらい好かれるというくらいがいいのではないかと思われます。


上司との関係がスムーズにいくようになると、職場で感じるストレスはぐっと減らすことができます。


たいてい、ストレスが高じてうつ病になってしまうような人は、上司との関係があまりうまくいっていないことが原因です。上司とうまくやっていけば、こなしきれない量の仕事を与えられたり、ガミガミと叱責(しっせき)されたりすることもなく、仕事でストレスを感じなくなります。


とりあえずは、毎朝、上司と顔を合わせたら、自分のほうから挨拶をするとか、仕事の進捗(しんちょく)具合などを、求められる前に自分から報告にいくことなどを心がけてみてください。そういった、ちょっとしたことで上司との関係はうまくいきます。


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内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は釣りとガーデニング。著書に『いちいち気にしない心が手に入る本:何があっても「受け流せる」心理学』(三笠書房)、『「人たらし」のブラック心理術』(大和書房)、『世界最先端の研究が教える新事実心理学BEST100』(総合法令出版)、『気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント』(明日香出版社)、『羨んだり、妬んだりしなくてよくなる アドラー心理の言葉』(ぱる出版)など多数。その数は250冊を超える。
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(心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長 内藤 誼人)

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