眉毛を剃ったら油性ペンで描かれる…そんな厳格な父親にゲイであることを伝えたとき返ってきた本心の言葉
2025年3月22日(土)18時15分 プレジデント社
『となりのLGBTQ+ ~それぞれ「性」のあり方を自分らしく生きる14人の物語~』(かんき出版)より、外山トム「生き方・家族の多様性って?」(マンガ=みすこそ)
※本稿は、染矢明日香『となりのLGBTQ+ 〜それぞれ「性」のあり方を自分らしく生きる14人の物語〜』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
■生き方・家族の多様性って?
『となりのLGBTQ+ 〜それぞれ「性」のあり方を自分らしく生きる14人の物語〜』(かんき出版)より、外山トム「生き方・家族の多様性って?」(マンガ=みすこそ)
『となりのLGBTQ+ 〜それぞれ「性」のあり方を自分らしく生きる14人の物語〜』(かんき出版)より、外山トム「生き方・家族の多様性って?」(マンガ=みすこそ)
■キモイかもだけど好きなんだよね
『となりのLGBTQ+ 〜それぞれ「性」のあり方を自分らしく生きる14人の物語〜』(かんき出版)より、外山トム「生き方・家族の多様性って?」(マンガ=みすこそ)
『となりのLGBTQ+ 〜それぞれ「性」のあり方を自分らしく生きる14人の物語〜』(かんき出版)より、外山トム「生き方・家族の多様性って?」(マンガ=みすこそ)
『となりのLGBTQ+ 〜それぞれ「性」のあり方を自分らしく生きる14人の物語〜』(かんき出版)より、外山トム「生き方・家族の多様性って?」(マンガ=みすこそ)
■緊張のカミングアウト
『となりのLGBTQ+ 〜それぞれ「性」のあり方を自分らしく生きる14人の物語〜』(かんき出版)より、外山トム「生き方・家族の多様性って?」(マンガ=みすこそ)
『となりのLGBTQ+ 〜それぞれ「性」のあり方を自分らしく生きる14人の物語〜』(かんき出版)より、外山トム「生き方・家族の多様性って?」(マンガ=みすこそ)
『となりのLGBTQ+ 〜それぞれ「性」のあり方を自分らしく生きる14人の物語〜』(かんき出版)より、外山トム「生き方・家族の多様性って?」(マンガ=みすこそ)
■自分だけのハシゴを決める
『となりのLGBTQ+ 〜それぞれ「性」のあり方を自分らしく生きる14人の物語〜』(かんき出版)より、外山トム「生き方・家族の多様性って?」(マンガ=みすこそ)
『となりのLGBTQ+ 〜それぞれ「性」のあり方を自分らしく生きる14人の物語〜』(かんき出版)より、外山トム「生き方・家族の多様性って?」(マンガ=みすこそ)
■周りにもLGBTQ+の方はたくさんいる
今回は、私の友人である外山トムさんの実体験を、マンガで読んでいただきました。
実は、皆さんの周りにもLGBTQ+の方はたくさんいると思います。
LGBTQ+とは、Lesbian(レズビアン=女性同性愛者)、Gay(ゲイ=男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル=両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー=生まれた時に割り当てられた性別が自認する性別と異なる人)、Queer/Questioning(クィアまたはクエスチョニング=性的指向・性自認が定まらない人・定めたくない人)の頭文字をとった略語で、いわゆる性的マイノリティ(多くの人とは異なる性のあり方を持つ人)の総称です。さらに、多様な人々を含めて「LGBTQ+」という表現が使われるようになってきています。
けれど、不当な扱いや差別、からかいを恐れて、自分の性のあり方を打ち明けられずにいる人があなたのすぐとなりにいるかもしれないのです。
2023年、通称「LGBT理解増進法」が施行され、性別の取扱いに関する法律についても今後の改正へ向けた議論に注目が集まっていたり、また、政府へ同性婚を法的に認める動きも活発化したりしています。
このように、制度として進んでも(まだまだ不十分に感じることも多くありますが)、それを導入・運用する人の意識が変わらなければ、本当の意味での理解は進みません。
写真=iStock.com/Alexander Shelegov
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Alexander Shelegov
■無知のために人を傷つけていないか
「これまで自分は何も困ることがなかった」
「身近に性的マイノリティはいなかったし、差別なんてしていない」
と思う人ほど、自分が知らず知らずのうちに「差別する側ではなかったか」を顧みる必要があると私は思います。
なぜなら、私自身も過去に無知や想像力の欠如のために周りの人を傷つけてきたという自覚があるからです。その問題のある言動は、LGBTQ+に興味を持って、リアルな友人関係やつながりができ始めた時期にこそ多くあったと今では思っています。
自分の差別や偏見を正当化しようとするため、いわゆる「I have black friends(私には黒人の友達がいる)」論法で、「自分の友達に○○の人がいるから、○○を差別しない」という発言や態度をしていたように思います。
思い出しても反省するばかりで、申し訳ないことをしたと思っています。
■幅広年代への包括的性教育
私は、性教育や性の健康に関する啓発活動を行うNPO法人ピルコンの代表として活動しています。
「性教育」と聞くと、生理用ナプキンやコンドームの使い方、性行為についての学習を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。また、性教育すること自体が「寝た子を起こす」などと言われ、子どもが性的関心を持つ前に教えると、性に興味を持ちリスクのある性行動につながるのでは? と言う人もいますが、本当にそうなのでしょうか。
染矢明日香『となりのLGBTQ+ 〜それぞれ「性」のあり方を自分らしく生きる14人の物語〜』(かんき出版)
世界的には、人や性のあり方が多様かつ平等であることを前提として、幼い年齢から性にかかわる幅広いテーマを包括的に学ぶ「包括的性教育(Comprehensive Sexuality Education ※)」が広がっています。ユネスコらが世界中の性教育を調査した上で『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』にまとめていて、「早期からの人権教育は幅広い性教育が自分を守る知識を増やし、性行動を慎重化させ、子ども・若者たちの生涯を通じた健康や幸せを促進する力につながる」ことがわかっています。
すでに世の中にはインターネットやSNSなどでさまざまな性情報が溢れています。中には有害で誤ったものもありますが、生殖や性交だけではなく、性の多様性、ジェンダー平等、コミュニケーションや暴力、情報リテラシーなども、幅広くより深く学んでいくことが必要です。
『となりのLGBTQ+ 〜それぞれ「性」のあり方を自分らしく生きる14人の物語〜』(かんき出版)より
『となりのLGBTQ+ 〜それぞれ「性」のあり方を自分らしく生きる14人の物語〜』より
■多様な性のあり方を尊重する社会へ
「包括的性教育」によって期待されることは、以下のような点があると言われています。
・誤った情報を減らすこと
・正確な知識を増やすこと
・ポジティブな価値観と態度を明らかにし、それを強めること
・正しい情報に基づく意思決定とそれに基づく行動のスキルを高めること
・友人や社会からの「こうあるべき」という価値観への意識を向上させること
・親や信頼できる大人とのコミュニケーションが促進すること
また、「多様な性のあり方」を持つ人たちが、性別が二つしかないという価値観に基づいた(異性愛が前提の)性教育に、苦しさを感じていて心地よく学ぶことができないという課題もあります。
私は、多様な性のあり方を尊重する社会になることを切に願っています。
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染矢 明日香(そめや・あすか)
NPO法人ピルコン理事長
公認心理師。日本思春期学会性教育認定講師。思春期保健相談士。公衆衛生学修士。慶應義塾大学SFC 研究所上席所員。慶應義塾大学在学中にピルコンを設立。「これからの世代が自分らしく生き、豊かな人間関係を築ける社会の実現」をビジョンに、民間企業に勤めながら2013年ピルコンをNPO法人化。医療従事者など専門家の協力を得ながら、大学生・若手社会人のボランティアと共に中高生向け、保護者向けの性教育・ライフプランニングを学ぶ講座や啓発イベントを行なってきた。現在は、性教育についての講演や情報発信、性教育教材の開発や普及、性教育に関わるサイトやコンテンツの監修などを行なう。また、政府への政策提言もしている。著書の『マンガでわかるオトコの子の「性」』マンガ:みすこそ、監修:村瀬幸浩(合同出版)は、『となりのLGBTQ+ 〜それぞれ「性」のあり方を自分らしく生きる14人の物語〜』(かんき出版)でマンガを担当し大学で同期だったみすこそが担当し4万部を越えるベストセラーになる。その他、『はじめてまなぶこころ・からだ・性のだいじここからかるた』監修:艮香織(合同出版)、監修書には『10代の不安・悩みにこたえる「性」の本』(学研プラス)、『性のモヤモヤをひっくり返す!ジェンダー・権利・性的同意26のワーク』(合同出版)などがある。
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(NPO法人ピルコン理事長 染矢 明日香)