ひとり親家庭の実態調査-子どもの一時預かりサービスに関する実態調査最終報告書|届かぬ支援、孤立する子育て
2025年4月1日(火)18時17分 PR TIMES
一般社団法人ペアチル(所在地:神奈川県茅ヶ崎市、代表理事:南翔伍)は、ひとり親家庭の望まない孤独を防ぐために、シングルファーザーとシングルマザー向けの情報共有・相談・雑談トークアプリ「ペアチル」を運営しています。この度、全国のひとり親家庭を対象とした「子どもの一時預かりサービスに関する実態調査」を実施しました。
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【調査背景】
日本社会では、少子高齢化が加速する一方で、ひとり親家庭の増加や核家族化、共働き家庭の増加、コロナ禍以降のリモートワークの普及など、家庭環境やライフスタイルが大きく変化しています。特にひとり親家庭では、親ひとりに負担が集中しやすく、急な用事や体調不良の際に子どもを預ける場所の確保が困難な状況です。
本調査では、ひとり親家庭がどのような場面で一時預かりを必要とし、どのようなサービスを利用しているのか、また、利用する上での課題やニーズを把握することで、これからの社会が求める「柔軟な子育て支援」の姿を明らかにすることを目指しています。
【調査概要】
調査対象:全国のひとり親家庭
調査期間:2024年12月1日〜12月9日
調査方法:ひとり親限定トークアプリ「ペアチル」を利用したアンケート調査
有効回答数:298件
【調査結果のポイント】
1.一時預かりのニーズ
子どもを預けたい理由のトップは「心身の疲労」(72.8%)。
約6割が月に1回以上、3割以上が週に1回以上の一時預かりのニーズあり。
2.急な預け先ニーズへの対応
急な用事や体調不良で子どもを預けたい場合、最も多い対応は「親族に預ける」(57.9%)と「そのまま我慢する」(57.9%)。
「親が仕事や予定を調整して自宅で見る」(31.9%)、「子どもを職場や外出先に連れていく」(12.4%)も一定数存在。
専門的なサービス(病児・病後児保育、ファミリーサポート、ベビーシッター、一時保育)の利用は少数にとどまる。
3.サービス利用の課題
利用経験者は約3割。未経験者の主な理由は「情報不足」「手続きの煩雑さ」「利用条件の厳しさ」。
利用料金は1時間あたり1,000円未満を希望する声が約8割。
4.公的支援への期待
「情報提供の充実」「手続きの簡素化」「費用負担の軽減」を求める声多数。
急な残業時の対応は「仕事を断る」が過半数。一時預かりサービスの利用はわずか3.7%。
【主な調査結果】
日常的な預け先
保育所・幼稚園(47.7%)、祖父母・親族(34.9%)、学童保育(24.5%)が多い一方、ファミリーサポートやベビーシッター、病児保育の利用は低いです。預け先を利用していない家庭は21.1%にのぼっています。
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日常的な預け先としては、親族や既存の保育・教育施設が中心となっていることが分かります。一方、ファミリーサポートなどの利用は少なく、更なる普及や利用促進策が必要と考えられます。
一時預かりの利用状況
子どもを預けたい理由:「心身の疲労」(72.8%)、「自身の通院・健康管理」(61.7%)。
発生頻度:「月に2〜3回」(30.9%)が最も多く、週1回以上も3割以上。
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対応方法:「親族に頼る」「そのまま我慢」が過半数。専門サービス利用は少数。
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利用経験があるサービス:ファミリーサポート(10.7%)、認可外保育施設(7.4%)。
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ひとり親家庭の多くが心身の疲労や健康管理のために一時預かりを必要としていますが、実際には親族に頼るか我慢することが多く、専門サービスの利用は限定的となっており、約7割の保護者は一時預かりサービスを利用した経験がないことが示唆されます。
サービスへの要望
「子どもの安全性の確保」(87.2%)、「低価格での利用」(81.9%)、「柔軟な利用時間」(64.1%)。
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1時間あたりの支払い可能額:500円未満(37.9%)、500〜1,000円(38.6%)。
公的補助があれば利用頻度を増やしたい:91.9%。
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一時預かりサービスに対して、安全性、低価格、利用時間の柔軟性が強く求められています。また、公的補助による利用促進効果への期待が大きいことが分かります。
送迎:自己送迎の交通手段:車(60.7%)、徒歩(40.6%)、自転車(33.9%)。
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許容移動時間:公共交通機関利用時は30分以内、徒歩・自転車は15分以内が過半数を占めています。
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移動支援策:送迎サービス(79.5%)への期待が最も高くなっています。
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送迎手段としては車が最も多いですが、徒歩や自転車でのアクセスを希望する声も多く、施設へのアクセス環境の整備や送迎サービスの充実が求められます。
公的支援制度
知っている支援制度:公共職業安定所(ハローワーク)など就業支援関連は認知度が高いです。
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利用しない理由:「情報不足」(47.3%)、「手続きが煩雑」(36.9%)。
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就業支援に関する制度は比較的知られていますが、一時預かりを含む子育て支援制度については、情報不足や手続きの煩雑さが利用を妨げている可能性があります。
緊急時対応
急な残業時の対応:「仕事を断る」(56.7%)、「親族に預ける」(39.9%)。
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急な残業が発生した場合、半数以上が仕事を断らざるを得ない状況であり、緊急時の預け先確保の難しさが浮き彫りになっています。
【提言】
本調査結果を踏まえ、一般社団法人ペアチルは、以下の5つの重点施策を提言します。
1. 公的補助制度の拡充と料金の見直し、および支援団体への補助
調査では、利用料金「1時間1,000円未満」希望が8割超。さらに、9割以上が「公的補助があれば利用増」と回答しました。経済的理由で利用を諦める家庭が出ないよう、公的支援は急務です。
2. 地域連携と送迎支援の推進
「送迎サービス」への期待は8割近く。しかし、自家用車を持たない、公共交通機関が不便、などの理由で、利用を断念せざるを得ない家庭も少なくありません。誰もがアクセスしやすい環境整備は、待ったなしの課題です。
3. 柔軟なサービスプランと利用者ニーズに即した内容の充実
調査では、「心身の疲労」「通院」など、多様な理由で一時預かりが求められています。しかし、「月に数回」「週に数回」など、必要な頻度は人それぞれ。「必要な時に、必要なだけ」利用できる、柔軟なサービスが不可欠です。
4. 専門性の向上とサービス品質の担保
9割近くの保護者が「子どもの安全確保」を最重視。さらに、「専門スタッフによる対応」を求める声も半数近くに上りました。保護者が安心して子どもを預けられる、質の高いサービス提供体制の構築が急がれます。
5. 情報提供と利用促進のためのデジタル基盤の整備
せっかくの支援制度も、知られていなければ意味がありません。調査では、半数近くが「情報不足」で公的支援を利用できずにいます。誰もが必要な情報にアクセスできる、デジタル基盤の整備は、喫緊の課題です。
調査報告書全文(PDF)は、下記URLより閲覧することができます。
最終報告書(https://drive.google.com/file/d/1JQbG3B3RT_P64kKUw4GzuTumMM3EBhwI/view)
調査報告書について、より詳しく解説したコラム記事もぜひご覧ください。
https://service.parchil.org/columns/child-temporary-care-survey-20250225/(https://service.parchil.org/columns/child-temporary-care-survey-20250225/)
【本件に関するお問い合わせ先】
E-mail : info@parchil.org
Form : https://forms.gle/oqg9gX8LVyZKDrEC6(https://forms.gle/oqg9gX8LVyZKDrEC6)
【本調査について】
[画像14: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/112342/35/112342-35-c69db41686a982970cb88661b9c8c36a-904x342.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
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