日産が中南米で生産縮小…アルゼンチンでは車両生産から撤退、「トランプ関税」打撃も
2025年4月3日(木)8時39分 読売新聞
日産車の生産を終了するアルゼンチンのサンタ・イザベル工場
日産自動車が年内に、中南米での生産体制を縮小することがわかった。メキシコでは主要工場内の一つの生産ラインを止め、アルゼンチンでは車両生産から撤退する。世界的な販売不振で工場の稼働率が低迷しているためで、経営再建策の一環となる。業績悪化に加え、米国のトランプ政権の関税政策で先行きの不透明感が高まっており、一層の見直しを迫られる可能性もある。(向山拓)
稼働率低迷
メキシコでは、シバック工場(モレロス州)の体制を見直す。二つの生産ラインのうち、増産用として稼働していた1ラインを止める。同工場では2016年に約30万台あった生産台数が、24年は8万台程度にまで下落している。
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、日産のメキシコ国内の販売台数は、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)やトヨタ自動車を上回り、23年まで15年連続で首位を維持している。ただ、生産能力が過剰となり、固定費の削減が課題となっていた。
アルゼンチンでは、年内で車両生産をやめる。日産は同国で18年に、北中南米で人気のピックアップトラックの生産を始めた。
提携する仏自動車大手ルノーのサンタ・イザベル工場(コルドバ州)に約6億ドル(約900億円)を投資し、日産向けの生産ラインを新設。20年には1億3000万ドルの追加投資も公表した。生産能力は年間7万台で、ピックアップトラック「フロンティア」などを扱う。生産台数は23年の約3万台から、24年には約1万7000台に低迷した。撤退に伴い、26年以降にメキシコに生産を移す。
懸念材料
日産の24年度の世界販売台数は約340万台の見通しで、コロナ禍前の18年度から約4割減少する。
業績悪化を受け、昨年11月に世界で9000人を削減するリストラ策を表明した。世界の生産能力を2割減の400万台程度に引き下げ、年間販売が250万台程度でも利益の出る構造に改めたい考えだ。
これまでに米国や中国、タイで生産体制を縮小することなどが明らかになっている。4月に社長に就任したイバン・エスピノーサ氏は「追加の対策を計画している」とし、さらなるリストラに踏み込む方針だ。
ただ、先行きにはまだまだ不安が残る。主力の米国市場では24年に約92万台を販売したが、5割程度を日本やメキシコから輸出している。トランプ氏は、米国に輸入される自動車に追加関税を課すと発表しており、経営への打撃は避けられない。生産体制のさらなる見直しが必要になる可能性もある。