スーダン内戦2年:人道援助が妨げられてはならない

2025年4月15日(火)18時17分 PR TIMES

[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/4782/733/4782-733-199e338e541374c0dedb1c1f2e422b74-760x507.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]国境なき医師団の支援する栄養治療センターに入院した男の子=2025年3月9日 (C) Tom Casey/MSF
スーダンで国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の間で続く内戦が3年目に突入した。人びとは爆撃などにより避難を余儀なくされ、食料や医療が奪われている。国連によると5000万人の国民の60%が人道援助を必要としており、雨期の到来で人道状況はさらに悪化する恐れがある。


スーダン国内10州で医療・人道援助活動を行う国境なき医師団(MSF)は、全ての紛争当事者とその支援勢力に対し、民間人、人道援助および医療関係者の保護を徹底し、援助物資と援助スタッフの移動に関する制限をなくすよう、改めて呼びかける。
飢きんが複数の地域で広がる
この2年にわたり、RSFとスーダン国軍は人口密集地を無差別に繰り返し爆撃してきた。RSFとそれを支援する民兵組織は、組織的な性暴力、拉致、集団殺害、援助物資の略奪、土地の収奪、医療施設の占拠など、残虐行為を繰り返してきた。また、双方の勢力が街を包囲し、民間インフラを破壊し、人道援助を妨害している。


広範囲で飢餓が深刻化しており、スーダンは現在、飢きんが複数の地域で宣言されている世界で唯一の国だ。2024年8月に北ダルフール州のザムザム国内避難民キャンプで最初に飢きんが宣言され、その後10の地域に広がった。さらに17の地域が危機の瀬戸際にあり、早急な介入を行わない限り数十万人の命が危険にさらされる恐れがある。


今年3月、MSFは南ダルフール州で1万7000人超の子どもに予防接種を行い、栄養失調のスクリーニング検査も実施した。その結果、中程度および重度を合わせた全急性栄養失調率は30%に達し、子どもの7%が重度の急性栄養失調であることが判明した。2024年12月にも北ダルフール州のタウィラ地域で栄養治療食を配布した際、5歳未満の子ども9500人超をスクリーニングしたが、全急性栄養失調率は35.5%に達しており、7%の子どもが重度の急性栄養失調に陥っていた。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/4782/733/4782-733-35fd6f995398c31a558d7d7ed3b87f83-760x507.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]ザムザムキャンプにあるMSFの診療所で、栄養失調の診断を受ける子ども=2024年8月30日 (C) Mohammed Jamal
紛争による外傷、感染症の流行……複合的な健康危機が進む
スーダンは複合的な健康危機に直面している。MSFは、武力紛争に起因する外傷で、女性や子どもを含む1万2000人超を治療した。世界有数の母子保健危機も起きており、南ダルフール州の州都ニヤラでMSFが支援する2つの施設では、昨年10月に治療を受けた妊娠中・授乳中の女性の26%が急性栄養失調に陥っていた。


MSFの緊急対応コーディネーター、マルタ・カソルラはこう話す。


「劣悪な環境と予防接種の中断によって、はしかやコレラ、ジフテリアの流行が広がっています。また、性暴力の被害者が心のケアや治療を受けられる場は非常に限られています。こうした複合的な危機は、残虐な内戦だけでなく、医療体制の崩壊と人道対応の失敗にも原因があると言えます」


2023年4月以降、MSFが支援する医療施設や移動診療で診療を受けた人は170万人を超え、緊急病棟に入院した人は32万人を超えた。


国連によると、内戦により1300万人超が避難を余儀なくされ、複数回の避難を経験した人も少なくない。1300万人のうち890万人はスーダン国内で避難生活を送り、390万人は近隣諸国へ逃れた。多くは過密状態のキャンプや仮設住居で暮らしており、食料や水、医療、そして将来への展望はない。人びとは全面的に人道援助に頼らざるを得ないが、援助団体が対応できる地域が限られているのが現状だ。
止まらない医療への攻撃 病院も破壊され
世界保健機関(WHO)によると、紛争の影響を受けた地域の医療施設の70%超は、部分的に稼働するか、完全閉鎖に追い込まれた。


内戦開始以降、MSFが受けた暴力行為は80件を上回り、スタッフや施設、車両、物資が標的となっている。診療所は略奪され、破壊され、医薬品は盗まれ、医療従事者は暴行や脅迫を受け、殺害された者もいる。


MSFのヘルスプロモーターとして活動しているムハンマド・ユースフ・イシャク・アブドゥラーは、2023年6月に攻撃を受けたタウィラの病院についてこう語る。


「建物は破壊され、ベッドまで略奪され、医薬品は焼け尽くされていました。遠くから見ると病院のように見えますが、中に入ると草が生え、蛇がうごめいていました」


医療従事者や医療施設の保護は国際人道法で定められている。これ以上の攻撃は決して容認できない。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/4782/733/4782-733-d18f5cec3ec8af868c5b93c7a9070477-760x507.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]攻撃を受けた北ダルフール州エル・ファシールのサウジ病院=2024年12月 (C) MSF
迫り来る雨期 援助を妨げてはならない
これから迫り来る雨期は、厳しい状況に拍車をかける。飢きんの危機がピークに達し、栄養失調やマラリアが急増するまさにその時に、物資の供給ルートが遮断され、地域全体が洪水に見舞われ、人びとが孤立してしまうからだ。


MSFは、雨期の前に早急に対策を講じるよう呼びかけている。国境の搬入路を増やし、幹線道路や橋を修復する必要がある。特に、例年雨期には洪水で孤立地域が生じるダルフール地方では、その必要性が高まっている。


スーダンの人びとは、2年もの長きにわたってこの恐怖に耐えてきた。今こそ人道援助への制限をなくしていかなければならない。


援助物資はスーダン国内に届くだけでなく、最も被害が大きい地域、最も遠い地域へ、迅速かつ安全に届けられなければならない。また援助提供を妨げる、政治的、財政的、物流そして安全上の障壁をなくすための取り組みも待ったなしだ。スーダンの援助国やその他各国政府、国連機関を含む全ての関係者による本気の取り組みが求められる。さもなければ数え切れないほどの命が失われ続けてしまうだろう。
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/4782/733/4782-733-7b6386fcc582e3aff40bae2efcd90acb-760x507.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]暴力や砲撃から逃れてきた人びと。スーダンでは1300万人超が避難を余儀なくされている=2024年6月10日 (C) MSF

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