スーダン紛争3年目に突入 世界最大の人道危機 1,500万人の子どもに支援が必要~ユニセフ、国際社会に緊急の行動を呼び掛け【プレスリリース】

2025年4月15日(火)10時47分 PR TIMES

[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2505/5176-2505-54a1ab6e9d458749d7a134573488f51e-1536x1024.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]ポートスーダンの国内避難民キャンプで家族とともに暮らす8歳のオマイマさん。紛争により、コルドファンの自宅から逃れてきた(スーダン、2025年4月5日撮影) (C) UNICEF/UNI773990/Elfatih
【2025年4月15日 ポートスーダン/アンマン(ヨルダン)/ニューヨーク発】
スーダンで2023 年4月に勃発した紛争が3年目に突入する中、人道支援を必要とする子どもの数は、2023年の780万人から現在の1,500万人以上へと2倍に増えており、ユニセフ(国連児童基金)はこの世界最大の人道危機を見過ごすわけにはいかない、と国際社会に緊急の行動を訴えています。

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緊急の行動がなければ、スーダンの悲惨な人道危機はさらなる大惨事になりかねません。当事者による子どもたちへの暴力や、飢餓および疾病は大幅に増えています。人々が混乱した避難生活を続けている中で、人道支援団体による物資・サービスの提供、およびそのための活動資金は減少の一途です。さらに、5月から10月にかけて、しばしば大洪水を引き起こし栄養不良や疾病が急増する、雨季が迫っています。

ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは次のように述べています「2年にわたる暴力と避難生活により、スーダン全土で何百万人もの子どもの生活が打ち砕かれています。雨季を目前に控え、すでに栄養不良や病気に苦しんでいる子どもたちに支援の手を差し伸べることは難しくなるでしょう。国際社会がこの極めて重要な機会を逃さずに、スーダンの子どもたちのために行動を強化するよう強く求めます」

[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2505/5176-2505-d85ad1436986c452b7655fec935b9f5e-1536x1024.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]ハルツームからポートスーダンの国内避難民キャンプに逃れてきた17歳のウィサルさん。「将来のために学校に戻って教育を受けたい」と話す(スーダン、2025年4月5日撮影) (C) UNICEF/UNI773994/Elfatihスーダンは、世界最大の人道危機と子どもの避難民危機に直面しています。今年、人道支援を必要としている人は3,000万人以上で、その半数は子どもです。紛争により、スーダン国内および国外へ避難している人は1,500万人近くに上ります。その半数以上が子どもであり、約3人に1人が5歳未満です。故郷に戻る可能性が出てきた地域でも、不発弾の存在や必要不可欠なサービスへのアクセスの制限により、子どもの命は危険にさらされています。飢きんが広がり、予防接種率は低下し、約90%の子どもが学校に通っていません。




相互に連関する複数の災禍が同時に起こり、最悪の事態がもたらされています。子どもたちに対する重大な権利侵害*の件数は、この2年間で1,000%も急増しています。このような重大な権利侵害は、以前はダルフール、青ナイル、南コルドファンなどの地域に限られていましたが、スーダン全土で紛争が続いているため、国内18州の半数以上で確認されるようになりました。スーダンで最も頻繁に確認される重大な権利侵害は、殺傷、子どもの誘拐、学校や病院への攻撃などです。 ダルフール、ハルツーム、ジャジーラ、南コルドファンでは、過去2年にわたり重大な権利侵害が最も多く報告されています。

少なくとも5つの地域ではすでに飢きんが起こっています。さらに5つの地域が飢きんの瀬戸際にあり、17の地域が危機的状況にあります。雨季が近づくなか、これらの地域のうち7つは洪水の被害を受けやすいことが懸念されています。そのうち6つはダルフール、1つは北コルドファンにあります。2022年から2024年にかけて、重度の急性栄養不良(SAM)の年間入院件数の約60%が雨季に発生しました。この傾向が続くとすれば、今年の5月から10月の間には、最大46万2,000人の子どもがSAMに苦しむ可能性があります。

また、疾病の集団感染も爆発的に増えると予想されています。2024年だけでも、4万9,000件のコレラ感染と少なくとも1万1,000件のデング熱感染の症例が報告されており、その60%が母親と子どもの症例です。こうした集団感染は、雨季がもたらす影響により悪化します。水の汚染、不十分な衛生設備、避難や人々の大規模な移動などがその例です。

[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2505/5176-2505-00423951b0a2662c4d19cd6715988b29-1536x1025.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]中央ダルフール州で、ユニセフが支援する診療所から栄養治療食を受け取った子どもたち(スーダン、2025年3月17日撮影) (C) UNICEF/UNI766326/Khalil人道支援従事者が、子どもたちに支援を届けられる可能性は、紛争の激化ならびに政府当局や武装集団などから課された規制や煩雑な手続きにより、低下しています。2024年には、非常に不安定な情勢の中で、ユニセフの支援物資配布の60%以上が滞りました。活動自体の取り止めや中止はありませんでしたが、こうした度重なる遅滞により、支援の適時の提供が止められたり、本当に必要な子どもたちへ支援を届けることが妨げられたりしました。




命を守る支援活動への資金は極めて不足しており、子どもや家族に不可欠な保健・栄養・教育・保護活動プログラムが停止に追い込まれ、人の命が失われる恐れがあります。ユニセフは2025年のスーダンでの人道支援活動資金として10億米ドルを要請しています。これは支援を必要とする人1人当たり、年間わずか76米ドル、つまり1日当たり0.26米ドルです。現在までに、ユニセフは2億6,660万米ドルをスーダンでの人道支援活動に充てており、そのほとんどは2024年から繰り越されたもので、2025年に受け取ったのはわずか1,200万米ドルしかありません。

2024年に、ユニセフとパートナーはスーダンで270万人の子どもと養育者に心理社会的カウンセリング、教育、保護サービスを提供し、980万人以上の子どもと家族に安全な飲料水を提供し、670万人の子どもを対象に栄養不良の検査を行い、そのうち42万2,000人に命を守る栄養治療を提供しました。ユニセフは、紛争地域で人々の命を守る支援活動を最優先事項として継続するとともに、より安全な地域では避難民と受け入れコミュニティへの支援を行い、必要不可欠なサービスや支援を提供しています。

「スーダンで起きているのは世界最大の人道危機です。しかし、世界はそのことに目を向けていません。スーダンの子どもたちを見捨てることはできません。私たちは支援を拡充するノウハウと確固たる決意を持っていますが、それには人道アクセスと持続的な資金が必要です。そして何よりも、スーダンの子どもたちに必要なのは、この恐ろしい紛争の終結なのです」(ラッセル事務局長)


* 子どもに対する重大な権利侵害には、殺傷、誘拐、徴兵・徴用、性的暴行およびその他の性暴力、学校や病院への攻撃、人道アクセスの拒否が含まれます。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます


■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、アドボカシーを担っています。(https://www.unicef.or.jp )

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