童話「おおきなかぶ」に登場のかぶの重さは冷蔵庫級の97.75kgだった…東京理科大教授が算出した"科学的根拠"
2024年4月22日(月)10時15分 プレジデント社
※本稿は、川村康文・小林尚美・北川チハル『かがくでなぞとき どうわのふしぎ50』(世界文化社)の一部を再編集したものです(イラスト=ハラアツシ)。
■おおきなかぶ
かぶのタネをまいた おじいさん。
心(こころ)をこめて そだてました。
できたのは、見たこともない 大きなかぶ!
どれくらい大きいの?
どうやったら ぬけるかな?
あまくて おいしいかぶをみんなでどうやって食べようかな?
出所=『かがくでなぞとき どうわのふしぎ50』
おじいさんが、はたけに かぶの たねを まきました。
やがて、だれも みたこと ないほど おおきな かぶが できました。
おじいさんは おおよろこび。
「きっと おいしい かぶに ちがいない。さあ、ぬくぞ。うんこらせ!」
ところが、かぶは まったく うごきません。
■おおきなかぶ
「おばあさんやーい、てつだって おくれ。」
おじいさんは、おばあさんを よびよせて、ちからを あわせ、
「うんこらせー!」
それでも かぶは ぬけません。
出所=『かがくでなぞとき どうわのふしぎ50』
こんどは、まごを よんで きて、
「うんこらせ。どっこらせ。」
やっぱり かぶは ぬけません。
とうとう、いぬも ねこも ねずみまでも よびよせて、
「うんこらせー! どっこらせー!」
出所=『かがくでなぞとき どうわのふしぎ50』
スッポーン!
ようやく、かぶは ぬけました。
「ばんざーい!」
みんなで、さっそく
スープに して たべました。
出所=『かがくでなぞとき どうわのふしぎ50』
■おもさのふしぎ
みんなで力を合わせてぬいた、おおきなかぶ。どれくらいおもかったのかな?
Q かぶってどんな野さいなの?
A 冬においしい野さいだよ。
川村康文・小林尚美・北川チハル『かがくでなぞとき どうわのふしぎ50』(世界文化社、イラスト=ハラアツシ)
かぶは、さむくなるころ、あまくなっておいしく食たべられます。かぶの白いところはじつは根ではなくくきのいちぶで「はいじく」とよばれます。
ダイコンやブロッコリーと同(おな)じアブラナ科(か)のなかまです。お正月の1月7日に1年のけんこうをねがって食べる七草がゆにも、かぶが入っています。
かぶ:葉はっぱにも えいようがたっぷりあるよ。
七草(くさ)がゆ:春の七草(せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ)を 入(い)れたおかゆ。かぶはすずなとよばれます。
Q みんなはそれぞれどのくらいの力でかぶを引っぱれるの?
A 自分の体重と同じくらいのおもさを引っぱれるよ
じめんがしっかりしていると、人は自分の体重と同じくらいのおもさのものを引っぱることができます。
たとえば、体重15kgの人なら5kgのお米のふくろを3つくらい引っぱることができます。
ただし地めんがすべりやすいときは、それより小(ちい)さな力(ちから)でしか引っぱれません。
Q 「大(おお)きなかぶ」はどれくらいおもかった?
A およそ100kgと計算できるよ。
かぶを土から引きぬくには、かぶのおもさの2ばいの力がひつようになります。そこで、引(ひ)っぱる人たちの体重を足した、そのおもさの半分がかぶのおもさになると考えられます(図版1で、引っぱる人たちの体重を足した195.5kg÷2=97.75kgが、かぶのおもさと考えられます)。
【図版1】(出所=『かがくでなぞとき どうわのふしぎ50』)
ただし、地めんがすべったり、土にうまっているかぶが大きかったりすると、うまく引きぬけないこともあります。
●「大きなかぶ」は、だいたい100kgのれいぞうことおなじくらい!
●「大きなかぶ」は、だいたい150kgのおすもうさんよりはかるい!
■そんなにおもい野さいって本当にあるの?
「アトランティックジャイアント」というカボチャは、とても大きくそだちます。うまくそだてると、数百kgになることもあります。
小(ちい)さな子(こ)どもより大(おお)きいカボチャです。おもさをきそうイベントがあります。
出所=『かがくでなぞとき どうわのふしぎ50』
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川村 康文(かわむら・やすふみ)
東京理科大学理学部第一部物理学科教授
1959年、京都府生まれ。東京理科大学理学部第一部物理学科教授。北九州市科学館スペースLABO館長。専門はSTEAM教育、科学教育、サイエンス・コミュニケーション。『科学のなぜ? 新図鑑』『同・新事典』(受験研究社)、「名探偵コナン 実験・観察ファイルサイエンスコナン」シリーズ(小学館)など著書・監修書多数。NHK Eテレ「ベーシックサイエンス」やNHK「チコちゃんに叱られる!」にも出演。
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小林 尚美(こばやし・なおみ)
STEAM教育専門家
STEAM教育専門家。4歳からスズキ・メソードでピアノを習い、幼稚園教諭として音楽に親しむ「こころの教育」を実践。園長経験の後、東京理科大学総合研究院「未来の教室・サイバーメディアキャンパス懇談会」未来の教室プロジェクトに参加。幼児から学生まで幅広く、科学実験の出前授業や研究を行っている。共著に『はじめてみようSTEAM教育』(オーム社)、『親子で楽しむ! おもしろ科学実験12か月』(メイツ出版)。
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北川 チハル(きたがわ・ちはる)
絵本作家
愛知県岡崎市出身。保育士を経て作家となる。絵本、童話、読み物など幅広く手がけている。『チコのまあにいちゃん』(岩崎書店)で児童文芸新人賞、『ふでばこから空』(文研出版)でひろすけ童話賞、児童ペン賞「童話賞」を受賞。執筆の傍ら、おはなしライブ、子育て・学校読書支援など、精力的な活動も行っている。日本児童文芸家協会、日本児童文学者協会所属。朝日放送テレビ番組審議会委員。
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(東京理科大学理学部第一部物理学科教授 川村 康文、STEAM教育専門家 小林 尚美、絵本作家 北川 チハル)