【京大/松尾研発スタートアップエムニ】住友電気工業株式会社と研究開発領域における生成AI活用プロジェクトを2件実施完了

2025年4月22日(火)10時47分 PR TIMES

京都大学発/松尾研発スタートアップエムニは、住友電工と材料科学の研究開発領域における生成AI活用プロジェクトを2件実施完了いたしました。

[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/134983/8/134983-8-958ec0c820bc9ea91cec1c9a6ec6fdfc-3900x2194.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
1. 概要
京都大学発兼、松尾研発スタートアップ株式会社エムニ(本社:東京都文京区、代表取締役社長:下野祐太、以下「エムニ」)は、住友電気工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:井上 治、以下「住友電工」)と共同で、研究開発領域における生成AI活用プロジェクトとして、「論文からの物性値自動抽出ツールの開発」及び「電子実験ノートへの自動入力に関するPoC」の実施が完了しました。

2. 論文からの物性値自動抽出ツールの開発
2-1. 背景
材料科学の研究者は日々大量の論文を参照し、実験条件やその結果得られた物性値といった必要なデータを抽出・収集するために膨大な時間を費やしており、大きな業務負荷が発生しています。
また物性値は各論文ごとに様々な形式で記載されるため、対象の物性値を抽出するためにはキーワード検索といった従来の単純な手法では満足な抽出精度を達成できないという限界が有りました。
2-2. アプローチ
今回のツールでは対象とする物性値に制限は設けなかったため、各物性値ごとに特化の処理を設定する事はできず汎用性と精度を両立する必要が有りました。
そのため研究案件ごとにグループを作成し、各抽出項目ごとに定義と抽出のヒントを設定します。一からユーザーが定義等を設定することは負荷が大きいため、LLMで各定義のたたき台を作成しそれをベースにユーザー側で細かい修正を行います。
上記の設定を踏まえてLLMで物性値の抽出を行い、出力結果をcsvとpdf形式で出力します。pdfでは結果を素早く確認出来るように、抽出結果とその根拠となった箇所を紐づけて出力します。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/134983/8/134983-8-966015f4bdbf2d4ff84c64366281fc92-3900x1809.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
2-3. 結果
以下のUIで構成されるシステムを開発しました。1段目でグループ設定・2段目でPDFのアップロード・3段目で結果のダウンロード・4段目で抽出結果の確認を実施することができます。
また一部苦手な項目がありつつも、概ねどの項目に対しても精度良く物性値を抽出することに成功した。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/134983/8/134983-8-4141ceb7f7142f45fe45c3465818f6ce-3900x1629.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
以下の様に抽出結果をクリックすると、抽出の根拠となったハイライト箇所に飛んで確認することができます。
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/134983/8/134983-8-56bf1890b59e5eaeccd5e75a13bdba2a-3900x1870.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
■ 工夫したポイント
- 汎用性の高さユーザーが自ら物性値の定義・ヒントを設定する形にすることで、制限なくどの物性値も抽出することができます。ただ可能な限り入力の負荷を下げるために、LLMによる設定補助やユーザーの入力が不十分でも精度を担保する様な処理を入れています。
- リファレンスチェックの容易さLLMの出力結果を確認する手間を削減するために、確信度の算出及びLLMの推論根拠となった箇所へ遷移して効率的に確認することができます。


3. 電子実験ノートへの自動入力に関するPoC
3-1. 背景
製薬業界を中心に研究開発領域において、データ収集の効率化を目的に電子実験ノートの活用が進んでいます。しかし材料領域をはじめとした製造業においては、その実験結果の解釈が複雑であることやフローが単一ではないことから、電子実験ノートへの入力負荷が増大してしまいます。
そのため既存の電子実験ノートをそのまま利用するだけではなかなか入力率が上がらず満足にデータを収集することができないため、実験データを上手く利活用できていないという課題が有ります。
3-2. アプローチ
以下の図に示すように、ユーザーによって自由形式で記述されたエクセルファイルに対してLLMで情報の抽出・標準化を行い、規定されたフォーマットを持つ電子実験ノートに自動的に値を入力します。
また単純に記載された情報を抽出するだけではなく、各項目ごとに定義された計算方法に応じて実験結果からは直接抽出できない値もLLMで処理した上で値を抽出します。
この成形されたデータをデータベースに蓄積することで、後からユーザーは検索・分析といった形で活用することを想定しています。
[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/134983/8/134983-8-692b7ec39d3bdcc26e3ded8fcfd7fc0f-3900x1721.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
3-3. 結果
Excelに記載された内容の単純な抽出については、精度100%の結果を得られました。
一方、複雑な計算を要する項目についても14のテストケースにおいて検証した所、80〜100%の精度を達成しました。この結果より複雑な計算が必要な抽出項目に対しても、自由形式で記述された内容を読み取ってLLMで精度良く抽出可能であることが分かりました。
また汎用性確認用に作成された形式の異なるデータに対して検証した所、複雑な計算を要する項目について75〜90%の精度を達成しました。これより前提条件が満たされた異なる入力に対しても、LLMで汎用的に抽出できることが分かりました。
■ 工夫したポイント
- Excelデータの扱い2次元で情報を持つExcel形式のデータに対して、LLMによって意味を理解できる様に前処理を実施しました。
- 精度改善の打ち手汎用性が担保されることを前提に複雑な計算への対応力を向上させるために、中間出力も含めて多段階で出力させることで、大幅な精度改善を達成しました。
- 精度検証の高速化本取り組み専用のアプリケーションを開発し、精度検証のPDCAを高速化しました。

4. 取組に関するコメント
4-1. 住友電気工業株式会社 DX技術研究開発センターAI推進部 MI/PI推進グループ グループ長 高桑達哉様
目まぐるしく変化するLLM界隈の技術をいかに使いこなしていくかは、今後の製造業において極めて重要なテーマです。当社では、すでにマテリアルズインフォマティクスを積極的に活用し、材料開発の高度化・効率化を実現してまいりました。現在は、さらにこの分野にLLM技術を組み込み、マテリアルズインフォマティクスの次なる進化を推進しています。
このたび、株式会社エムニ様には、柔軟な発想力と高い実装スピードをもって、2件のプロジェクトを力強く推進していただきました。今後も共同開発を継続し、製造業における新しい開発スタイルの確立を目指してまいります。

4-2. 株式会社エムニ 代表取締役社長 下野祐太
この度は住友電気工業株式会社様と、業務フローに内在する課題に直接アプローチできるお取り組みでご一緒させていただき大変光栄に感じています。最先端のAI技術を活用して、今後も事業上大きなインパクトを残すことができる様に邁進する所存です。
また私自身も大阪府出身かつ京都大学発のスタートアップということも有り、関西圏の製造業企業様にとって何かお手本になるようなお取り組みを、今後も住友電工様と協働で作り上げることができればと考えております。


■ 住友電気工業株式会社について
・主な事業内容
電線・ケーブルの開発技術を基幹として、5つの事業分野で社会インフラ・産業の発展に貢献。
■環境エネルギー分野・・・再生可能エネルギーの普及など、新しいエネルギーシステムを構築する。
■情報通信分野・・・増加するデータトラフィックに応え、大容量高速通信の実現に挑む。
■自動車分野・・・CASEの加速的進展とモビリティの進化に貢献する。
■エレクトロニクス分野・・・モバイル端末・自動車・航空機器のさらなる進化を支える。
■産業素材分野・・・高機能な素材を開発・提供し、産業や社会インフラの発展に寄与する。
・本社所在地
大阪市中央区北浜4-5-33
・URL
https://sumitomoelectric.com/jp/

■ 株式会社エムニについて
株式会社エムニは「AIで働く環境を幸せに、世界にワクワクを」というミッションのもと、製造業を中心に各企業ごとにカスタマイズされた『オーダーメイドAI』の開発及び導入支援に取り組んでいます。京都大学大学院でAI研究に従事したメンバーや、東京大学院工学系研究科松尾・岩澤研究室とビジョンを共有する松尾研究所でAI社会実装に携わったメンバーが、貴社に最適なAIを提供いたします。
[表: https://prtimes.jp/data/corp/134983/table/8_1_74e93f29b964572a07fff435bf92f2b3.jpg ]

PR TIMES

「スタートアップ」をもっと詳しく

「スタートアップ」のニュース

「スタートアップ」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ