大人気FPが教える「誰でも無理なく1億円の資産をつくる方法」
2025年4月24日(木)6時15分 ダイヤモンドオンライン
大人気FPが教える「誰でも無理なく1億円の資産をつくる方法」
毎月定額で投資信託を買う積立投資が注目を集めている。初心者でも取り入れやすく、長く続けるほど、資産の成長に有利と言われる投資法だ。実際、10年以上前から積立投資を続け、その効果を実感している身としては、今の20代が羨ましい。新NISAを活用しさえすれば40歳、50歳の頃にはいっぱしの「お金持ち」になれる環境が整っているからだ。しかし、「投資だけでは決して金持ちにはなれない」とファイナンシャルプランナーの中村芳子氏は釘を刺す。著書『[NISA&iDeCo対応版]20代のいま、やっておくべきお金のこと』で語る、20代が取るべき正しいお金持ちへのステップとは。(文/上田ミカコ、ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)
Photo: Adobe Stock
もし、20代で積立投資を始めていたら……
40歳から投資信託の積立投資を始め、かれこれ10年以上になる。きっかけは「iDeCo」だった。
iDeCoは個人が老後資金をつくることを目的に用意された私的年金制度で、投資信託などの金融商品を毎月積み立てで購入していく。
だが、当初はお金を殖やすことにさほど期待していなかった。投資をよくわかっていなかったのだ。
それより、毎年確定申告している身としては、「毎月の掛け金が全額所得控除になる」という節税メリットのほうが魅力だった。
しかし、5年ほど経った頃から、メキメキと資産が増え驚いた。これはいいと、その後は「旧つみたてNISA」や今年から始まった「新NISA」も使い、少しずつ積立投資を増やしている。
いずれも運用に選んでいる商品は、海外の株式に広く投資でき、手数料の安いインデックス型の投資信託だ。
今のところ、マイナス成長になった年はなく、将来の年金生活に多少でもプラスになればと期待している。
こうした積立投資は長く続けるほど、利益が利益を生む複利効果が高くなるという。
10年でもそれは感じているので、もし20代から始めていたら今頃どれほど増えていたのだろうか……と、つい妄想してしまう。
NISAが穴の開いたバケツになるシンプルな理由
と、思っていたら今年から働きだした20代の息子がNISAを始めた。月額2万円で買っているのは私と同じ海外株式のインデックス型投資信託だ。いいじゃないの!
だが先日、運用状況を聞いてみたら、モゴモゴと口ごもる。
どうやら、口座の残高が足りず、引き落としできなかった月が何度かあるらしい。通勤服や飲み会代がかさんだそうだ。ううむ。積み立てる金額に、無理があったか。
聞けば、一人暮らしをしている友人の娘さんも、NISAにつまずいているという。「お金が殖えるなら」と勇んで始めたものの、手元が苦しくなると売却して使ってしまうそうだ。
売却時にせめてプラスになっていればよいが、マイナスになっていたら元も子もない。そもそも積立投資は長期で続けてこそ効果が期待できるものである。
二人とも、せっかく早く投資を始めているのに、これでは穴の開いたバケツに水をためるようなものだ。
だが、収入がまだ少なく、やりたいことも多い20代にとって、毎月定額を貯めること自体、難易度が高い。
20代の頃の我が身を振り返ってみても、似たような状況に陥っていたかもしれないなと思う。
20代が「金持ちロード」を走るために必要なもの
著者の中村芳子氏は、20代から投資を始めることには賛成だ。
しかし、それだけでは不十分で、20代が「金持ちロード」を走るには、投資も含めた4つのタイヤがそろった車をつくることが必要だと説く。
その4つのタイヤとは、「仕事」「収入」「貯金」「運用(投資)」である。
「運用」は後輪。あくまでも、前輪の「貯金」を加速させるものとしての位置付けだ。
中村氏は、働き始めたら手取りの10〜15%を引退するまで貯め続けることを推奨する。
「結婚して共働きを続け、住まいや我が子の教育にお金をかけすぎなければ、65歳の退職までにカップルで1億円貯められる」と具体的なシミュレーションも提示する。
この運用は、リスクの高い株やFXなどは含まない。コツコツ投資信託を積み立てるだけでいい、積立投資だ。
では、「貯金」と「運用」だけ頑張ればいいかといえば違う。
豊かな人生をつくるために、20代が力を入れたいのは、自分に合う「仕事」のタイヤを見つけることと続ける。
自分という車に合わないサイズやデザインのタイヤをつけてもダメだ。はずれたり、パンクしてしまったり、すぐに走れなくなってしまう。
豊かな30代40代は、例外なくいい仕事をしている。20代は自分に合う「仕事」タイヤを見つける大切な時期。そのためにタイヤをつけて走ってみる。合わなければ交換すればいい。(P.7)
合わないタイヤで走っても、続かない。続かなければ収入が途絶える。収入が途絶えれば貯金もできず、運用も意味をなさない。
それどころか、なまじ若いゆえに一攫千金を狙うようなギャンブルや、うまい話に騙されるリスクが高まる気がする。「仕事」のタイヤは、重要なのだ。
20代が投資を始めるベストタイミング
話を20代の運用に戻そう。20代の投資はどのタイミングで始めるのがベストか。中村氏は、明確な答えを提示している。
運用を始めるタイミングは、貯金が50万円を超えたとき。仮に手取りが20万円なら、15%は月3万円。50万円に到達するまでにかかる時間は1年半ほどだ。
簡単そうに見えるかもしれないが、毎月確実に貯めるためには、支出をコントロールする必要がある。
買いたいものも、遊びたいことも多い20代には至難の技といってもいいと思う。
だが毎月、確実に貯める生活を1年以上続ければ、やりくりの知恵と工夫が確実に身に付く。
その貯め力を身につけてから積立投資を始めれば、安定して続けられるだろう。
逆に、その力がないうちに積立投資を始めても、おそらく前述の2人の若者のようにつまずくのがオチだ。
100万円では遠すぎるし、10万円では貯める力がつかない。50万円の壁、納得である。
投資の加速に必須! ◯◯用口座
投資は貯金が安定してできるようになってから。そして貯金は「残ったら貯めよう」「余った分を貯めよう」では一生貯まらないので、給料が入ったら使う前に貯めるのが基本だ。
だが、せっかく貯めても手元が苦しいからと崩していては意味がない。20代はここの対策が重要なように思う。
中村氏は、そのため、将来のために貯める口座(NISAなど)とは別に「取り分け口座」をつくることを推奨する。
取り分け口座は、急な出費に対応するために使う。スマホやPCの買い替え費用や、アパートの更新料、半年後の海外旅行の費用など、毎月の収入ではまかなえない支出に対応するために貯めておく口座だ。
収入も貯金も少ないうちは、この「急な大きな出費」が来るときつい。だが、払わなければならないお金が多いのも事実だ。
足りないからとキャッシングやローンに走っては、いつまでも借金生活になる。見通して、頑張って備えていかなければならない。
前述の「手取り15%」の貯金は、「殖やしていく貯金」なので、取り分け用は別に用意する必要がある。
ボーナスがあるならボーナスから取り分ければよいが、なければ毎月の収入からやはり10%程度を取り分けておくといいという。
取り分け用に10%取ると、将来用の15%の貯金が厳しくなってしまうなら、将来用の15%を10%に下げてもいい。
中村氏が推奨する月の貯金額の最低ラインは10%だ。
「取り分け口座」をつくることで、「将来のための貯金」は無傷で貯められるようになる。
給料やボーナスから、両方の口座に一定額を入れ、残りのお金でやりくりできるようになれば、殖えるスピードはぐんぐん上がる。
逆にいえば、旅行や買い物で「殖やしていく貯金」を取り崩していては、いくら運用のタイヤを追加しても上手く走っていけない。
本書を読み、息子には次のようにアドバイスしようと思った。
・まずは、手取り10〜15%の貯蓄を安定させるべし ・それとは別に「取り分け口座」をつくるべし ・NISAで積み立てる額をいったん減らすべし
今のところNISAにはつまずいているが、興味を持ったのはいいことだ。
これを機に自分のお金の使い方について考えるようになってくれたらいいなと思う。