だからお金を使わないケチな人は人生の質がダダ下がる…お金に愛されない人の6文字の口癖

2025年4月25日(金)16時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

人生を豊かにするお金の扱い方は何か。禅僧の枡野俊明さんは「倹約とケチを仏教の観点から見ると、倹約は『正しいお金の使い方』であり、ケチは『執着に基づく行動』と考えられる。仏教では人間を苦しめる根元的な悪徳として三毒がある。お金に関する戒めもあり、これらを胆に銘じ適切にお金を得て使うように心がけるといい」という——。

※本稿は、枡野俊明『「し過ぎない」練習』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。


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■ケチと倹約家の決定的な違い


お金に関して、節約は良いこととされるいっぽうで、ケチケチした人はどこか嫌われる傾向にあります。とくに「あの人は、お金持ちのくせにケチだ」というような批判をよく耳にします。


「節約」と「ケチ」の違いを理解すると、お金の上手な扱い方や、お金と仲よくなって心豊かに生きるヒントが見えてきます。


倹約家とケチの違いはどこにあるのか——。


倹約家とは、ムダを省きつつ、必要なものにはお金を惜しみなく使う人のことです。


倹約家にとって節約は、より良い人生を送るための手段であり、その背景には目的意識があります。お金を効率的に使い、ムダ遣いや浪費をしません。


たとえば日々の食費を節約するいっぽうで、家族や友人との特別な日には十分にお金をかけて食事を楽しむのが倹約家です。また、長持ちする高品質なものを選択するというように、結果的にコストパフォーマンスを優先する傾向にあります。


いっぽうでケチとは、お金を使うことを極度に嫌がり、必要な支出すら避ける人です。すぐに「もったいない」と言い、損得勘定でものごとを考えます。


■目的がお金か、人生の豊かさか


たとえば友人との飲み会で細かく割り勘にしようとしたり、そもそも飲み会や食事会に参加しないこともあります。そのため、周囲の人を不快にさせ、結果的に自分自身の生活の質を下げる傾向にあります。


お金に対する考え方も違います。


倹約家は、人生を豊かにすることを目的と考え、お金はそのための道具としてとらえています。


いっぽうケチな人は、お金を失わないことを目的と考え、最優先します。


大切なもののためにお金を節約するのか、お金を守るために節約するのか、この考え方の違いが、お金の使い方にあらわれます。


つまり、「お金をどう使うか」と考えているのが倹約家で、「お金をどう使わないか」と考えているのがケチな人です。


ですから、心の余裕が違います。倹約家は、計画的な節約を通じて心に余裕を持っています。彼らは将来へ備えてムダを省くことで、心地よい生活を実現しています。


ケチな人は、お金を使うことへの不安や執着が強いため、精神的な余裕を欠き、結果的に周囲との関係性にも悪影響を及ぼすことがあります。


■節約にはルールがある


具体的にどのように節約すればいいのか——。基本的に三つのルールがあります。


第一に、節約の目的を明確にすることで、単なる「我慢」ではなくなります。旅行のために貯金する、老後の備えをするといった具体的な目標を立てると節約が楽しくなります。


第二に、ムダを削ることも大切です。買い物リストを作って衝動買いを避けたり、必要のないサブスクリプションを解約するなど、日々のムダを見直します。


第三は、価値に基づいて判断します。価格だけでなく、そのものの品質や使用頻度を考えます。長持ちするものや、頻繁に使うものには投資する価値があります。


当たり前のことばかりですが、これら三つの基本的なルールを守っていれば浪費はほとんどなくなると思います。


写真=iStock.com/mapo
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お金を使うべきところで惜しまず使うこともまた、豊かな生活を送るためには欠かせません。お金の適切な使い方を具体的に考えてみましょう。


まず、「スキルや知識を向上させる投資」があります。資格取得や語学学習にお金を使うことは、収入アップやキャリアの選択肢を広げることにつながり、将来的に自分の価値を高めます。


「人間関係を良好にする投資」もあります。友人や家族との時間を楽しむためにお金を使うことも重要です。特別な日のプレゼントや、一緒に出かけるための出費は、心のつながりを深め、思い出をつくります。


「健康を維持する投資」も大切です。健康によい食品や適切な医療にはお金を惜しむべきではありません。安価なジャンクフードを避け、バランスのよい食事に投資することは、長期的な健康につながります。


■人間を苦しめる「三毒」


倹約とケチを仏教の観点から見ると、倹約は「正しいお金の使い方」であり、ケチは「執着に基づく行動」と考えられます。


倹約して必要以上の消費を控え、環境や社会に配慮した行動をとることは、他者への配慮や感謝の心を育てることにつながります。また、倹約を通じて生まれた余裕を他者へ施すこと(布施)で、自身の心の平安や豊かさが得られるとも考えられます。



枡野俊明『「し過ぎない」練習』(クロスメディア・パブリッシング)

仏教では、人間を苦しめる根元的な悪徳として「貪(とん)・瞋(じん)・痴(ち)」という三毒があると教えます。貪は、むさぼることであり、欲望や執着が過剰になること。


瞋は、怒りや憎しみのこと。痴は、無知であることを意味し、真理を知らず、正しい判断ができない状態を指します。三毒は、お金に関しても以下のように戒めています。


【貪】お金を過剰に求めて貯め込むこと。浪費すること。
【瞋】お金を儲けた人に対する妬み、お金を儲けられない自分への怒り。
【痴】お金の使い方を理解せず、無計画に扱うこと。


これらを胆に銘じ、適切にお金を得て使うように心がけたいものです。


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枡野 俊明(ますの・しゅんみょう)
曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー
1953年、神奈川県生まれ。多摩美術大学環境デザイン学科教授。玉川大学農学部卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行ない、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。また、2006年『ニューズウィーク』誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」にも選出される。
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(曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー 枡野 俊明)

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