92歳で週4日勤務をこなすマックの人気クルー「民ちゃん」が毎日3回食べる"ヨボヨボ回避のヘルシー食材"

2025年5月1日(木)7時16分 プレジデント社

マクドナルド熊本下通り店 本田民子さん - 撮影=プレジデントオンライン編集部

全国のマクドナルドの女性クルーで最高齢の本田民子さんは「90歳まで腰痛知らず」だったという。本田さんは「健康のために、毎食必ず食べている食材がある。あとは歩くことも大切。動かないとだめで、私は朝昼晩にそれぞれ20回腕立て伏せも習慣にしている」という——。

■出勤のたびに店長にかける一言


「働くことが好き、家でじっとしているのが寂しい」と仕事愛を語る本田さん。しかし、実は2年前に一度、店長の北住さんは「腰が痛いので、辞めようと思う」という電話を本田さんから受けたという。


撮影=プレジデントオンライン編集部
マクドナルド熊本下通り店 本田民子さん - 撮影=プレジデントオンライン編集部

「そのあと少しして、本田さんが制服を返しに来られたんですけど、10代、20代の若いクルー(店舗アルバイトスタッフ)のみんなが、『わー、久しぶりです!』って、一斉に喜んじゃって。そのままクルールームでお話をしていたら、本田さんが『やっぱり、人気者だから、辞めんでおこうかな』って(笑)」


本田さんを慕うのは若い世代だけではない。店舗で働く幅広い世代のクルーみんなから、好かれているらしいが、それはなぜなのか。店長の北住さんはこう見ている。


「本田さんは、みんなに優しいんですよ。いつも穏やかで、笑顔で。そして、みんなのことを覚えてらっしゃるんです。この人はお母さんと2人で暮らしているとか、この人は子どもさんがいてとか、話したことを覚えてくださっている。例えば、10年前に一緒に働いていた主婦の方がいたのですが、その後、息子さんが大きくなってクルーになられたら、本田さんが息子さんに手作りのらっきょうを持って来て、『お母さんに、あげなっせ』って言ってくださったり、そのお母さんが喜ぶからと、一緒に働いていた時に毎年あげていたお寺の干支の絵馬を、息子さんに引き継いで渡したり……」(北住さん)


できたご縁を、長く、ずっと大切にする本田さんだからこそ、接しているうちに、自然と相手も本田さんとの縁を大切にしたくなってしまうのだろう。


「あと、本田さんをすごいなって思うのは、出会った時からずっと、出勤のたびに、私のところに来て、感謝してくださるんです。『今日も、働けてうれしい』って言って。その感謝される心の、きれいさと言いますか、毎日、お仏壇にお米をあげる時も、感謝から始まるとおっしゃっていました。本田さんの話を聞いてから、私も働けることはありがたいことなんだって思っています」(北住さん)


■取材中に握手を求められる姿も…


店のクルーだけではない。アーケードの商店街の人たちからも、本田さんは愛されている。


「目の前の商店の清掃の方が、朝、わざわざ、本田さんに会いに来ます。腰を痛めて、数カ月お休みされたあとも、『戻って来たんだねー』って喜んでおられました。熊本下通り店の朝は7割が常連のお客様なのですが、よくお話しする仲良しの方が多くいらっしゃいます」(北住さん)


撮影=プレジデントオンライン編集部

毎朝、アーケードの通路にキビキビとモップ掛けをする本田さんの存在は、商店街にはもはや、欠かせないものなのだ。


女性で日本最高齢のマッククルーということで、本田さんは近年メディアにも多々、取り上げられている。



連載「Over80 50年働いてきました」はこちら

「全国から、お手紙やファンレターが届きますね。東京から熊本に遊びに来たという若い男の子が本田さんを訪ねて来たこともあります。海外の方も、何人か来られています」(北住さん)


実際に、取材中にも握手を求めるファンが何人もやってきた。


92歳という高齢でマックの制服に身を包み、はつらつと働く姿に誰もが、励まされる思いになるのだろう。


■本田さんが「弱音をはく」代わりにしたこと


山あり谷あり、決してずっと平穏だったわけではない本田さんの人生。「逆縁」という、これ以上ない痛苦も味わった。


しかし、本田さんは天を恨むのでも弱音をはくのでもなく、お寺の花の水を替え、仏様を磨き上げることを一心不乱に続けることで哀しみや悔しさを「感謝」という心に昇華させてきた。なんと我慢強い、嘘のない、真摯(しんし)な人生なのだろう。


■92歳でも超健康! の秘訣


最後に、92歳にしてなおパワフルに働く本田さんの「健康の秘訣」をお聞きした。67歳からマックで働いて25年。その前は大学での清掃業務、若い時は病院で介護助手の仕事を25年と、働きずくめの人生にもかかわらず、90歳まで腰痛知らずだったというのだからすごい。


自慢の健康の秘訣(ひけつ)は「ねば納豆」という。


「朝、昼、夜と三度、納豆を必ず食べます。2箱、食べる時もありますね。50回は、必ず混ぜて。孫の嫁はそこまでせんでもと思うくらい、よくしてくれる。ちゃんと栄養面を考えてくれて。あとは、歩きもせないかん。家でじっとしてたら、足腰がダメになって、骨も筋力も固まってしまう。歩くだけで、健康になる。動かな、いかん」


驚かされるのは、92歳の身体で、腕立て伏せを朝昼晩、毎回、20回しているということ。ひ孫たちと、ボールを蹴ってサッカーや一緒に体操もするという。


「私は仕事が好きだから、腰はちょっと痛めたけど、こうして元気でおって、仕事をさせていただいているのは全てご先祖様、神様、仏様のお陰。そうやって、頑張りよりました」


マックの好物は、チーズバーガー。仕事が終わればマックを頬張り、コーヒーを飲む。ひ孫へのお土産は、ナゲット。買って帰れば、ひ孫の喜ぶ顔が見られる。


撮影=プレジデントオンライン編集部
「新商品が出たら必ず食べる」(本田さん) - 撮影=プレジデントオンライン編集部

孫夫婦とひ孫たちに囲まれ、本田さんの現役生活は続いていく。


----------
黒川 祥子(くろかわ・しょうこ)
ノンフィクション作家
福島県生まれ。ノンフィクション作家。東京女子大卒。2013年、『誕生日を知らない女の子 虐待——その後の子どもたち』(集英社)で、第11 回開高健ノンフィクション賞を受賞。このほか『8050問題 中高年ひきこもり、7つの家族の再生物語』(集英社)、『県立!再チャレンジ高校』(講談社現代新書)、『シングルマザー、その後』(集英社新書)、『母と娘。それでも生きることにした』(集英社インターナショナル)などがある。
----------


(ノンフィクション作家 黒川 祥子)

プレジデント社

「食材」をもっと詳しく

「食材」のニュース

「食材」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ