証券口座乗っ取り、証券大手各社が「異例」の被害補償検討…日本証券業協会が方針表明へ
2025年5月2日(金)14時50分 読売新聞
インターネット上で証券口座が乗っ取られ、不正に株を売買される被害が相次ぐ問題で、証券大手各社が被害の補償を検討していることがわかった。多くの証券会社はこうしたケースでは被害を補償する義務がないと約款などで定めているものの、被害拡大を受けて異例の対応を取る。
業界団体の日本証券業協会が2日午後にも補償の詳細を発表する。補償の水準は、個別の事情を各社で考慮する模様だ。
金融庁によると、2月から4月中旬までに発生した不正な取引は1400件を超え、売買額は約954億円に上った。証券会社の偽サイトに誘導する「フィッシング詐欺」や「マルウェア」(悪意あるプログラム)によって、IDやパスワードを盗み取る手口が多いとみられる。関係者によると、不正に一部銘柄の株価をつり上げる「株価操縦」が行われた可能性がある。
日証協は先月、口座の乗っ取りを防ぐ手段として、証券各社がそれぞれの顧客に対して「多要素認証」を義務化するよう求めた。ログイン時に、通常のIDとパスワードのほかに一時的に発行する「ワンタイムパスワード」の入力など複数の方法で本人確認をする。