これだけで好感度が爆上がりする…社交スキルの高い人が会話中にやっている「極めてシンプルなこと」

2025年5月6日(火)9時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/itakayuki

他人に良い印象を与える人はどんな人か。経済評論家の勝間和代さんは「相手の話を遮らずに丁寧に耳を傾けるだけで好感度は勝手に上がる。一方、途中で割り込んだり、余計なアドバイスをしたりすると人間関係が崩れる」という——。

※本稿は、勝間和代『人づきあいはコスパで考えるとうまくいく コミュニケーションはスキルが9割』(Gakken)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/itakayuki
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■なぜ人間関係がうまくいかなくなるのか


人間関係でのトラブルやストレスは、それぞれの立場や価値観、能力の違いによって起こります。


だからこそ、自分の考えを軸に状況を俯瞰して捉えながら、相手の立場や気持ちになって考える必要があるのですが、多くの人は自分の狭い価値観や考えに囚われて、相手の価値観や考えを丁寧に聞くことを疎かにしがちです。


また、結論ありきで進めようとすると、お互いの理解が進まず、齟齬が生じてしまい結局うまくいきません。結論を出すことよりも、まずは丁寧に傾聴することを大切にし、相手とのつながりや信頼関係を築いていきましょう。


自分の価値観と相手の価値観を擦り合わせるためには傾聴することが必須です。


しかし、傾聴力というのは、誰もが生まれながらにして持っているわけではありません。


■相手の話をただ聞くだけで傾聴になる


傾聴というと、慣れていない人にとっては「相手が話すことにとにかく合わせて、自分は言いたいことも言わずに我慢すること」と捉えがちですが、そうではありません。相手のことを否定せずにちゃんと聞くだけで十分傾聴と言えます。


私たちは、普段から人に話を聞いてもらえていませんし、否定の嵐の中で生きています。そして人は誰もが、他人から干渉はされたくないが、自分の話は十分に聞いてほしいと願っているのです。占い師やカウンセラーが人気なのはそのためです。


特にトラブルを抱えている人は、気の置けない人がいたらすぐに、そのトラブルの内容を話したいものです。ここで大切なのは、「相談がある」と言っていたとしても、相手に対して「解決策を見つけてほしい」とは思っていないということ。


話すことは、手放すこと。


ただただ、そのトラブルについて自分ひとりで抱え込んでいるのがつら過ぎるので、人に打ち明けたい。ただそれだけなのです。


■傾聴力を磨くことはコスパが良い


問題を打ち明ける過程の中で、自然と俯瞰することができるようになり、気持ちも整理されてきて、なんとなく自己解決していきますから、私たちはただ傾聴し、その自己解決のプロセスの伴走者になればよいのです。


傾聴するスキルを磨いてこなかったという人は、今こそ、そのスキルを磨くチャンスだと考えて取り組んでみてください。もちろん、傾聴することに慣れていない人が傾聴力を高めようとすると、最初のうちは相手の話をしっかりと聞くことに苦痛を感じるかもしれません。


しかし、相手の話をよく理解した方が、結果的には関係性がよくなり、よいアウトプットに結びつきやすいので、コストパフォーマンスとしてもよいのです。


写真=iStock.com/FangXiaNuo
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■「会話泥棒」は信頼関係を崩す


私が傾聴力に強い関心を持ったのは、『7つの習慣』の著者で、経営コンサルタントのスティーブン・R・コヴィー博士が来日されたときに、ご本人に「7つの習慣が身についていない人と対峙するにはどうしたらいいのか?」と質問したところ、「傾聴と忍耐です」という答えが返ってきたことからです。


それ以降、傾聴に関する本を読んだり、傾聴を心がけたりすることによって、確かに人間関係の質は向上していき、物事がうまく回るようになりました。


傾聴で大切なのは文字通り、「相手の話に耳を傾けること」ですが、傾聴を意識していない多くの人は、聞いているうちに自分の話をしたくなるものです。


相手の話を聞いているうちに「それは違う」「自分の意見はこうだ」と、反論したくなってしまい、次に自分が「言ってやろう」と思うことで頭がいっぱいになってしまうのです。


これを繰り返していると、相手との信頼関係が崩れていきますし、だんだんと話をしてくれなくなっていきます。


これは、傾聴ではなく、自分が言いたいことを言うために聞いているだけです。傾聴するということは、相手の話を否定せず、相手をジャッジしないことだと心得ましょう。まず、相手の話を正確に、よく聞くようにします。


■小手先のテクニックは相手に響かない


また、「聞いているふり」も相手にはすぐに伝わります。


聞き方に関する本もたくさん出ていて、相槌を打つとか共感する、相手の言ったことをオウム返しするなどの技術が書かれていると思いますが、これらのテクニックを使って聞いたふりをしても相手は「聞いてもらえた」とは思ってくれません。


さらに、相手が話していることを自分の価値観で勝手に受け取ってしまうと、会話がチグハグになり、これもまた相手は「聞いてもらえた」とは思えないでしょう。


人の話を聞くときにもうひとつ注意するポイントがあります。それは、頼まれてもいないアドバイスをしないことです。


「あなたのためを思って」とアドバイスをしてくる人というのは相手から見ると「困った人」に分類されます。


■余計な「クソバイス」は軋轢を生む


私も時折この頼んでもいないアドバイスに遭遇します。


たとえば、愛車のアリアでドライブや旅行をする合間に、運転席のヘッドレストを取って運転席のシートを前に倒し、後部座席との間にテーブルを渡して仕事をすることがあります。その話をすると、しばしば「ヘッドレストを抜いていると交通違反になりますよ、やめたほうがいいですよ」と、言われます。


これは、相手は「止まっているときにのみそうしている」という私の話を正確に聞いておらず、さらに、頼んでもいないアドバイスをしてくるわけです。


私はこうした余計なアドバイスのことを、口は悪いのですが、「クソバイス」と表現しています。


もちろん、相手の話を聞いているうちに、どうしてもアドバイスがしたくなることはあると思います。その場合は、「自分を主語にして話すこと」です。たとえば、「私はヘッドレストを外すと交通違反になる可能性があるので、気をつけています」というように自分を主語にして話せば、軋轢は生まれにくいでしょう。


相手が話していることや相手の領域に土足で踏み込まないこと。


これは傾聴のマナーだと考えましょう。


■ゴルフが社交場になっている理由


以前、「アイアンマンカップ」といわれる、アイアンのみを使うゴルフの決勝に出ていて改めて感じたことがあります。



勝間和代『人づきあいはコスパで考えるとうまくいく コミュニケーションはスキルが9割』(Gakken)

ゴルフがなぜ多くの人に愛されるのか、社交場として大切にされるのか。それは、打つ間の雑談にあるのだということです。


日常から少し距離を取った緑の多い空間の中で、相手の話を聞き、自分の話も丁寧に聞いてもらえる時間というのは、実はゴルフでボールを打つ以上に心が癒され、解放されます。ひとりで黙々と練習をしたり、シミュレーションをしたりしても、ちょっと寂しいのです。


女性の活躍推進やワーク・ライフ・バランス、少子化などを研究する米シカゴ大学の社会学者山口一男教授の研究によると、平日に夫婦の会話が1日あたり15分程度増えるだけで、月収が10万円上がったのと同じだけの夫婦関係満足度が得られるといいます。


私たちは幸せになろうとするときに、どうしても「もっとお金があったら」と考えがちですが、身近な人とのつながり、特に会話のつながりを大切にすることに着目する必要があるのではないでしょうか。


■傾聴する人は好印象を与える


私たちは、生まれながらにして傾聴ができるわけではありません。多くの人は、相手の話を聞いているふりをして、次に自分が何を言おうかと考えています。相手の話も、自分が話したいことを話すためのきっかけになっていて、相手の話をきちんとじっくり聞こうとしている人は少ないのです。


だからこそ「傾聴力」は身につけるべきスキルです。スキルアップする度に、人間関係において有利なポジションに立つことができるようになります。


まずは、「相手の話をきちんと聞き、理解する」ということを意識することから始めてみてください。


傾聴を重ねることによって、相手から信頼されたり、好印象を持たれたり、柔らかく対応してくれるようになるのを体感できたり、いろいろと自分にとってよいことが起きるようになってくるでしょう。徐々に傾聴が習慣になっていきます。


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勝間 和代(かつま・かずよ)
経済評論家、株式会社監査と分析取締役
1968年東京生まれ。早稲田大学ファイナンスMBA、慶應義塾大学商学部卒業。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー・アンド・カンパニー、JPモルガンを経て独立。少子化問題、若者の雇用問題、ワーク・ライフ・バランス、ITを活用した個人の生産性向上など、幅広い分
野で発言を行う。なりたい自分になるための教育プログラム「勝間塾」を主宰。知見と実体験、研究をもとにしたアドバイスが人気。
起きていることはすべて正しい』(ダイヤモンド社)、『40歳からの「仕事の壁」を越える勝間式思考』(日経BP)、『一生自由に豊かに生きる!100歳時代の勝間式人生戦略ハック100』(KADOKAWA)など、著書多数。著作累計発行部数は500万部を超える。
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(経済評論家、株式会社監査と分析取締役 勝間 和代)

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