汗ばむと頭皮から「古い油のニオイ」がする…「加齢臭はないのにくさい人」に男性美容師が勧める簡単チェック法
2025年5月29日(木)8時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PonyWang
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■「くさいかも」と思ったら美容師に相談を
だんだんと汗ばむ日が多くなってきた日本列島。ワイシャツににじむ汗と共に気になるのは、頭皮の臭い。
昨今、「スメハラ=スメルハラスメント)」なる言葉も広がり、「自分は周りを不快にさせていないだろうか……」と不安になっている方も多いのではないでしょうか。
ですが自分の頭皮のニオイは中々嗅げないし、どうやってケアをしたらいいのかもよくわからない。
そこで今回は、アラフォー男性美容師である筆者が、頭皮の気になる臭いを予防・解消することに特化した、簡単頭皮ケアのお話をさせていただきます。
例えば美容室に行く際にも、美容師さんに「頭がくさい」と思われていないか、気になりますよね。
これから暑い日も多くなり、お客さまが来店するのはお仕事帰りもあるでしょう。ですから美容師からすると、老若男女問わず頭皮から臭いがしている場合は少なくありません。
ですが過剰な状態でなければ、不快に感じることもありません。
仮に過剰な状態だった場合は、「先にシャンプーする」などの対処もできます。そしてその状態は頭皮にも髪にも良くありませんから、「日常でどのようなケアをしているのか?」など、質問や提案をします。
ですからカットの際にでも、それらの悩みは気兼ねなくご相談いただければと思います。
■「古くなった油のニオイ」の正体は「皮脂」
この頭皮の臭いは、汗の臭いとはまた異なる、独特の臭いがします。例えるなら「古くなった油」の臭いです。
この頭皮の臭いの原因は「皮脂」です。
頭皮に古くなった油の臭いを感じるのは、シャンプーで皮脂を洗い流すことができず、毛穴に長く留まっているからです。
皮脂は、毛穴の中にある「皮脂腺」から分泌されています。「皮脂腺」は、毛が生えているかどうかに限らず「毛穴」にセットで付いています。そのため全身に皮脂腺はありますが、必然的に毛穴の多い「頭皮」からたくさん分泌されるようになります。
皮脂は「お肌を守るため」に分泌されていますが、適切に洗い流さないと悪影響をもたらします。「ニキビ」などがわかりやすい例ですが、油は古くなると固い塊になってしまうため、毛穴を塞いでしまいます。すると、かぶれや湿疹の原因になり、薄毛を誘発するキッカケにもなります。
このことから、実は頭皮の臭い問題は老若男女を問わず、誰にでも当てはまる可能性があります。男性のほうが皮脂が多く分泌される傾向にあり、「ニオイ」というと「中年男性」と紐付けてしまいがちです。ですが、かなりの個人差がある上に、頭皮の臭いの要因は衛生管理だけではなく、不摂生や季節によることもあります。
筆者作成
■「自分の頭皮は大丈夫?」チェックする方法
皆さんもお察しの通り、頭皮の臭いは夏に特に強くなります。その理由は、皮脂は夏場には平常時に比べ2倍も分泌されているからです。
そして皮脂の過剰な分泌は、不摂生が強く影響します。ラーメンやハンバーガー、コンビニ飯などのインスタントで油分の多い食生活は、頭の臭いに直結します。
加えて、タバコを吸っている方も皮脂が出やすい傾向があります。そのため、紙タバコを吸っている方は「タバコの臭い」と混ざって、周りの人にとって不快感が強くなります。
皮脂が一概に悪者というわけではありません。しかし過剰に出てしまうと、いつも通りのケアでは間に合わず、夏場にくさい人は激増してしまうのです。
皮脂が分泌すると、頭皮全体が湿り気をおびます。ですから日々営業に勤しむ美容師からすると、「この人、ちゃんと頭を洗えてないな」と感じる場面は多々あります。これも珍しいことではないので、「触りたくない」とはなりませんし、不快な臭いにも耐性がついていると言えるかもしれません。
とはいえ、美容師さんに怪訝な顔はされたくない。そこで、簡単に自分の頭皮の臭いをチェックする方法をご紹介します。それは、帽子をかぶることです。今の時期なら、休みの日に2〜3時間程度被って外へお出かけすれば、頭皮の臭いは帽子に移っています。もし油っぽい臭いがしたら、対策を意識してみましょう。
■原因はずばり「シャンプーの流し方」
では、頭皮ケアの方法をご紹介します。もっとも身近なケア方法は、やはりシャンプーです。
頭の臭いは、「シャンプーできちんと洗えていない」ことが原因のひとつです。頭皮ケアは、くさくなる前に普段のシャンプーで皮脂を落とす「予防」が重要。
ですが昨今、「正しいシャンプーの仕方」を講じるコンテンツは数々あるものの、そのほとんどは「細かい工程を手順通り丁寧にやってくださいね」と、難しくて継続できないものばかり。
写真=iStock.com/Tatiana
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Tatiana
正直、臭いを防ぐ頭皮ケアに難しい工程はありません。ここでご紹介するポイントはたったひとつ、「シャンプーをしっかり洗い流す」ことです。
そもそも「シャンプーのやり方」は子供の頃に親に教わっている程度で、美容師目線では誰もが正しいやり方ではないと感じます。
ですが、頭をかく工程は普段通りで構いません。それより、長めにシャンプーを「流す」ようにしましょう。具体的には「頭をかく」時間よりも「シャンプーを流す」時間を多くかけてみてください。
■ニオイが出やすい「襟足」は入念に
なぜなら、シャンプーの工程の中で特に怠りやすいのが「シャンプーの流し」だからです。
シャンプーは、泡が無くなった程度では流し切れていません。キチンと洗い流さないと、「洗い残したシャンプー」も凝り固まった汚れと化し、臭いや痒みの原因になります。
ご自身が「烏の行水」だと自覚されている方は、普段の3倍の時間をかけて流してください。特に、「風呂桶でバシャっと流して終わり」という方も多いのではないでしょうか。正直これでは、シャンプーは流せていません。
シャンプーは必ず、頭を軽く掻きながらシャワーで流しましょう。
そして、流すときに注意したほうがいいのが、襟足部分です。
襟足のくぼんだ部分は、頭の中でも髪が一番密集する箇所です。ここはシャワーでもお湯が頭皮まで通りにくいため、しっかり流せていないことが多くなります。さらに通気性も悪いため、頭皮の臭いが出やすくなってしまいます。
残念ながら、シャンプーの仕方を改めても「これで万事解決!」とはいきません。これらは、あくまで「予防」ですから、すでに凝り固まってしまった皮脂は、日常的なシャンプーでは落とせなくなっています。
キッチンのしつこい油汚れが簡単に落とせないように、頭皮の皮脂もまた、しっかりと洗浄しないと落とすことができません。固まった皮脂を落とすためには、「頭皮用のクレンジングオイル」が必要になります。
■「カット」以外のスパメニューもオーダーしてみよう
「頭皮用のクレンジング」はメイク落としなどと同様に、「油は油で浮き立たせて落とす」工程が必要になります。
そこで、美容室で「頭皮クレンジングスパ」などのスパメニューをオーダーしてみましょう。頻度は月1回程度から、カットの来店に合わせてするのが良いでしょう。
クレンジングのメニューは5〜10分程度が多く、料金も比較的お手軽。イタ気持ちいいマッサージで満足度も高いことから、多くの美容室で取り入れられています。
そして最近では、手軽に「頭皮用のクレンジングオイル」が購入できるようになりました。ですから、手軽におうちで取り入れるのもオススメです。
しかし皮脂は、取りすぎてもよくありません。我流は“やりすぎ”になりやすいため注意です。
ホームケア用は商品によって洗浄力が異なるので、週1回程度を目安にしましょう。
加えて、ヘッドスパ用の「シャンプーブラシ」を利用するのも良いでしょう。自分の手では再現できない触感で、イタ気持ちよくシャンプーすることができます。
しかしその品質は、ピンキリ。触感の良し悪しがあるので、安価なものは頭皮を傷付ける可能性もありますから控えましょう。
いかがでしたか。正しい頭皮ケアをして、自分も周りも快適になる夏を乗り越えましょう。
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操作イトウ(そうさいとう)
美容師
東京・二子玉川と自由が丘を拠点にする30代美容師。「ヘアスタイルはロジックで美しく、カッコよくなる」「ステキな美容師さんに出会ってほしい」をメインテーマにしたブログをnoteにて執筆している。
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(美容師 操作イトウ)