【インタビュー】杉咲花×新田真剣佑×北村匠海×高杉真宙×黒島結菜×橋本環奈「今を生きる俳優たち」

2019年2月4日(月)16時45分 シネマカフェ

杉咲花×新田真剣佑×北村匠海×高杉真宙×黒島結菜×橋本環奈『十二人の死にたい子どもたち』/photo:Masashi Kuroha

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映画『十二人の死にたい子どもたち』では、本件が最後のそろってのインタビューになるらしいと告げると、出演する杉咲花新田真剣佑北村匠海高杉真宙黒島結菜、橋本環奈は、即座に名残惜しそうなムードを漂わせた。インタビュー内で、「これだけ同世代が集まることはなかなかないですし、すごくうれしかった」と杉咲さんが触れた通り、一緒にいることの心地よさと、慣れ合いではない、ほどよい緊張感が彼らを前にすると伝わってくる。それはそれは、実り多く刺激的な撮影現場だったのだろう。

情報解禁時のトレーラー再生数は24時間で600万回という驚異的な記録を叩き出した本作は、前評判の高さのままに、1月25日に封切られるやいなや初週2位をマークし「二度観」をするリピーターも後を絶たない。主人公は、安楽死を求めて集団自殺をするべく廃病院に集った未成年十二名。おもな登場人物は以上となり、いるはずのなかった「十三人目」の死体をめぐって、疑心暗鬼になりながら互いに嫌疑をかけていく。手に汗握る心理戦、つまり彼らの演技こそ最大の見どころとなった。


冲方丁の原作を基に映画化を手掛けたのは、『ケイゾク』、『天空の蜂』、『イニシエーション・ラブ』など多彩なジャンルを自分色に染め上げる名手・堤幸彦。密室でスリリングに物語が展開していく本作において、肝になるキャスト勢は、有名・無名問わず堤監督の御眼鏡に適う精鋭が集められた。キャリアも性格も容姿も性別もバラバラの彼らだが、同世代ということ、こと芝居にかける熱量がほとばしっている点こそ共通項。インタビューでは、互いへの想いを解放してもらい、存分に本音を語ってもらった。


杉咲花「喉元までグーーッとせり上がる」ほど、同世代の皆としゃべりたかった

——皆さんにとって、新たな代表作が加わった印象の力強い作品でした。十二名で演技をしていて、触発されたり、「ああ、ここすごいな」と思うような場面はどこでしたか?

杉咲:たくさんあるんですけど、私は結菜ちゃんと一緒のシーンです。アンリ(杉咲さん)はメイコ(黒島さん)とは、ずっとバチバチ火花を散らしていますけど、あるシーンで向き合うことになるんです。メイコが感情的になるところなので、撮る前日に、堤監督から「アンリはメイコにちょっとグズグズする感じで言ってもらおうかな」と言われていたんです。「どんな感じになるのかな…!?」と思っていたら、結菜ちゃんがすごい演技をしてくれて…。台本以上の、自分が思っていた以上の感情が溢れ出している姿を目の当たりにして、「何としてでも目の前のこの人をどうにかできないだろうか」という思いにさせてもらいました。アンリとして、それまでに出てこなかった感情にさせてもらえたので、私にとって忘れられないシーンです。


橋本:自分のシーンではないんですけど、私もアンリとメイコのシーンが、この映画を観て一番感動したところでした! というのも、私、そのシーンのときに撮影現場にいなかったんです。だから完成作を初めて観たとき、「こういうシーンになっていたんだ!!」と驚きました。花ちゃんと結菜ちゃんが、アンリとメイコとして本当に対峙していましたし、ふたりの関係性の変化が、観ていてもはっきりわかるんですよね。繊細な気持ちや、つかめるようでつかめない感じのもどかしさがすごく伝わってきて…とても感動しました。だから、生で見たかったなと思いました(笑)。

黒島:ありがとう…! そのシーン、私もすごく印象に残っています。堤監督には、撮影前から「ここでブワーッと泣いてくれ」と言われていたんですけど、台本には泣く描写がないから、「どうしよう」と最初は戸惑っていて。けど、「メイコは自分でもわけがわからなくなって、その感情表現として涙があふれてくるんだよ」と堤監督に説明されて、実際、アンリとシンジロウ(新田さん)のお芝居を見ていたら、メイコの孤独が浮かび上がってきて、本当にそういう感情になっていきました。


さっき花ちゃんは私のことを言ってくれたけど、私としては、アンリが歩み寄ってくれて、何とも言えない微笑みをしてくれたから、その表情を見たときに全部が一気に楽になった感じがあって…。だから、花ちゃんのおかげです。役柄的に、アンリとメイコは仲良くする感じではなかったので、花ちゃんは現場で距離を置いてくれていたんですけど、私にはすごくありがたかったというか。現場で役を作っていったからこそ、できたお芝居だったんじゃないかな、といまでも感じています。

——杉咲さんは、あえて距離を置かれていたんですね。

杉咲:そうですね。(物語は)たった1日のお話なので。私個人としては…、これだけ同世代が集まることはなかなかないですし、すごくうれしかったので、「みんなと一緒にしゃべりたい!」という思いが、喉元までグーーッとせり上がるくらいだったんですけど(笑)。アンリはすごく孤独な人というのもありましたし、みんなといることに慣れたくなかったので、そこだけは決めていました。


橋本:うん、そうだったね。花ちゃんだけモニター前にいたりしていたよね。

——反対に、男性陣は現場ですごく仲良くしていたと伺っていますが…?

北村:どちらかというと、僕らふたり(北村&高杉)は見守っていたタイプです。僕らの役って、ほかのみんなとはまたちょっと違うのもあったので、僕ら以外の4人の男性陣は、坂東(龍汰)くんが中心になって仲良くしていました(笑)。まっけんは台詞量がとにかく多くて、すごく大変だったから、皆で合宿したり、夜な夜な台詞合わせをやっていたんでしょう?

新田:坂ちゃんと利久は毎日のように僕の家に来てセリフあわせにつき合ってくれていました。


北村:まっけんは自分の世界も持ちながら、現場にいたようなイメージです。ちなみにですけど、真宙くんは「現場の妖精」と言われていて…。

高杉:ちょっと、ちょっと(笑)!

橋本:そうそう(笑)。

北村:妖精さんは、ごはんどきだけポッと来て、みんなで一緒にお弁当は食べるんですよ。

高杉:そう、たまに人前に現れないとね(笑)。

北村匠海が「ああ、演技すごいなぁ」と思った役者は…

——男性陣にも同じ質問をしたいです。お芝居をしていて、あえて挙げるならばどのシーンに一番ぐっときましたか?

新田:どのシーンも思い入れはありますが、長まわしのシーンは特に印象的でした。撮影中はあまり記憶がなくスクリーンで観て、ああ、こういうシーンだったんだと。

橋本:そうなんだ。私はアンリとシンジロウのシーンと、シンジロウがひとりで打ち明けるシーンにも、すごくぐっときたよ。みんなも…うん、そうだったと思います。この作品って、同世代しかいないじゃないですか。普通の映画はバックボーンを撮っていくと思うんですけど、これだけ同じシーンの中で場面も変わらずいるのに飽きないですし、個々のエネルギーで相乗効果があった感じでした。だから、現場は集中力が切れるというよりも、空気を保たないといけないという、いい意味でのピリッとした感じはあったと思っています。


——北村さん、高杉さんはいかがですか?

北村:シーンではないんですけど、僕が「ああ、演技すごいなあ…」と思ったのは萩原利久くん。

全員:ああ〜。

北村:タカヒロ(荻原さん)はガラスのような心の持ち主なので、一番繊細なお芝居をしていた印象です。吃音症状のある役なんですけど、作品の中で少しずつ、少しずつ症状が治っていくんです。その治り具合が、もう絶妙で…! 僕がもし、「タカヒロ役で」とオファーされたら、絶対に難しいし悩むと思うのに、彼は台本読みの段階で完成していたから。ひょうひょうとして見えるんですけど、すごく刺激を受けましたね。役者魂を感じる人です。


——役どころの話で言えば、高杉さんの演じたサトシは主催者という立場上、最も特殊というか、何をどこまで見せるかも肝だと感じました。苦心したことはありましたか?

高杉:そうなんですよ。最初に台本を読んだ時点では、サトシはずっと無表情で最後に笑うとかなのかな、それくらいの流れを作っていこう、という感じでした。いざ台本読みに行ったら、堤監督に「ずっと不思議な笑みを浮かべていて」、「台詞も、もっとやさしく」と演出を受けたりしたので、自分が思うキャラクターとの造形のズレを修正して作った感じです。印象的なシーンは…結構みんながいいシーン、言っちゃっているからな(笑)。

全員:(笑)。


高杉:全体のお話になりますけど、死を題材にしている映画だから、当然、暗い役が多いじゃないですか。だからこそ、吉川(愛)さんと坂東くんのような明るいキャラクターがいてくれてよかったな、と思いました。映画の中でも、現場にいても、ふたりのことは明るく、すごく目立っているなと思って見ていました。


橋本:…あの…明るい役は坂東くんじゃなくて、渕野(右登)くんの役じゃない?

高杉:ああ、そうだ!! 間違えた(笑)。

全員:(笑)。

高杉:坂東くんは、本人の明るいキャラクターに引っ張られちゃいました(笑)! 劇中に明るいキャラクターがいるからこそ、ほかのシーンがすごく際立つんだなと思ったんです。僕自身はあまり表情筋を動かさない役だったこともあって、みんなの表情の変化を見ていて「羨ましいな」と思っていました。


堤監督からの一言コメントに、6人が過剰反応!?

——ところで、マスコミ向けのプレス内で、堤監督から皆さんへの一言コメントが書かれているのを読みましたか?

全員:はい!

橋本:監督の一言コメントって面白いですよね。

——そうなんです。珍しいので、皆さんからもリターンの一言をいただきたく。まず杉咲さんには、「モナリザもびっくりの、怒ってるとも泣いてるともとれる表情が圧巻」というコメントでしたが。

橋本:うん! まさにだよね!

黒島:うん!

北村:モナリザもびっくりだよ!

杉咲:え、本当…? うれしいです(笑)。


橋本:花ちゃんの演技は、後半になるにつれて、より何を考えているかわからないもんね。アンリの一言で、空気が一変したりもしますし。あれだけバッと切り替わるのはなかなかできないので「すごいな…」と現場で見ていて思いました。

——黒島さんには「あっけらかんとしながら揺れる女子の心の表現がみごとでした」と。メイコはファザコンで利己主義と、黒島さんご自身とは正反対にも思える役柄で、なかなか感情移入もしづらかったのでは?

黒島:まったく共感できない役でした(苦笑)。最初、堤監督からは、メイコが責め立てるときには「目をギョロギョロ動かして」「目を開いて」とかは言われていて、形から教えていただきました。そうやって何か演出をつけられても「やるしかない!」と思って「はい」としか答えられなかったので、それがあっけらかんとした感じに見えたのかな、と思います。


——橋本さんには「国宝級の美少女。今回はおもしろさは一切なく人間の光と影を演じてくれた」とあります。

橋本:おもしろさは、一切ないと思います! 美少女は…ただただいじられているだけです!


——けど、ノブオもリョウコに対して「やっぱりかわいいね」と言っていました。

北村:あの台詞が、今回いっちばん難しかったです。

全員:(笑)。

橋本:思わず笑いそうになった(笑)。もう笑いをこらえるのに必死で!

杉咲:でも、リョウコが帽子とマスクを取った瞬間は、すごく神秘的だった!

黒島:すごく素敵だった。ずっと顔が隠れているのがもったいない〜。

橋本:いやいや。けど、それこそ私、帽子もマスクもつけているから「楽させてもらってすみません」と思っていましたよ(笑)。

北村:ヘアメイク時間、0分だったもんね(笑)。


「逸材」新田真剣佑は、実は褒めてほしい人…!?

——新田さんには「神演技をいただきました。すごい逸材!」と絶賛のコメントが寄せられています。

新田:恐れ多いです。

北村:堤監督のコメントの通りだと思います。

橋本:台詞が多いという大変さを抜かしたとしても、シンジロウとして場を次の展開に変わっていくときの流れの波が秀逸で。こんなに何も気にしていなさそうな感じなのに、すべてに気を張っているから。

北村:体はめっちゃでかいのに、すっごい繊細だよね。

全員:うん、うん。


北村:それでいて国宝級イケメンですから、逸材すぎて!

橋本:それ、ちょっといじってるよね(笑)。現場で、まっけんは「台詞が多くて言えない」と苦しんでいる感じだったけど、カメラが回ると全然そんなことはなくて。私たちが引っ張られていく感じはあったかな、と思います。

北村:…そこね、「できない、できない」と言いながら「できる」パターンだから、まっけん、ちょっと褒めてほしいんでしょ(笑)?

全員:(笑)。

——北村さんへのコメントは「イケメンの顔の内側に硬い信念や、独特のリズムがあっておもしろい」とあります。一緒に芝居をされている皆さんは、独特のリズムを感じますか?

杉咲:匠海は左右されないというか、その空気に飲まれない強さをずっと感じていました。それをリズムというなら、確かにお芝居は独特のリズムだと思います。

北村:「独特だね」とは、ほかの監督や役者の友達からも、昔からすごく言われるんですよ。自分では全然わからないんですけど…間とかなのかなあ。


杉咲:普段、すごく落ち着いているから、ノブオに通じるものがあるなとも、私は感じていました。どこか達観して俯瞰で見ているような一面があると思っています。

——では最後に、高杉さんです。「こんなにまじめな人がこの世にいるのか。実直を絵に描いたような俳優」とあります、皆さんからは、どう見えますか?

全員:まじめ!!

高杉:(首を振る)

黒島:神様みたい。

橋本:妖精、越えたね(笑)。

高杉:何なんだ!?


北村:いや、もう真宙くんは雲の上の存在ですよ。

杉咲:確かに。

新田:うんうん。

高杉:私だって、悪いことのひとつやふたつ…。

橋本:そういうところが、もう(笑)。

全員:(笑)。

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