山崎賢人主演『陰陽師0』呪術監修者・加門七海が激白「呪術とは何かにクールな答えが示されている」

2024年3月2日(土)12時0分 シネマカフェ

『陰陽師0』©2024映画「陰陽師0」製作委員会

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安倍晴明が陰陽師になる前の知られざる学生時代を描いた完全オリジナルストーリーを、山崎賢人主演で映画化した『陰陽師0』。本作で“呪術監修”を担当した日本呪術界の第一人者・加門七海が「『陰陽師0』は主役が呪術。そんな映画は日本どころか、世界でもはじめて」と本作について語った。

人嫌いで変わり者の陰陽師・安倍晴明が、雅楽家としても名を残した貴族・源博雅と共に怪奇事件を解決していく夢枕獏による人気小説シリーズ「陰陽師」。自らを“呪術オタク”と名乗るほど呪術に精通した佐藤嗣麻子監督がメガホンをとり、誰も知らない安倍晴明の若き日の物語を描いたのが本作。

長い構想期間を経た待望の映画化に、佐藤監督が最もこだわったのは、本作の核となる“呪術”だ。今回、佐藤監督が「呪術監修に呪術界の第一人者・加門七海さんをお迎えするのが念願でした」と語るほど、絶大なる信頼を置き、「呪術廻戦」のキャラクターや呪術を実在した呪術の歴史から独自考察した書籍「呪術の日本史」を監修したことでも話題の小説家・加門七海が呪術監修を務めている。

初めて脚本を読んだ際、加門氏は「ここまで本格的にやるのか!」と驚かされたという。それほど呪術を研究し尽くした佐藤監督の脚本に沿い、平安時代当時の資料が少ない中、中国の古文書などを参考に呪術シーンで用いる道具や呪符、呪文、手印の1つ1つを構築していったそうだ。

呪術とは何か、古来の人々にどのような影響をもたらしたのか、“呪術のはじまり”を感じさせる本作の魅力について聞くと「作品そのものが、ある意味、ひとつの呪術になっており、呪術とは何かという問いに対するクールな答えが示されています。そこが一番の魅力です。エンターテインメントとしてはもちろん、呪術に詳しい人、興味のある人ほど楽しめるものだと確信しています」と自信を覗かせる。



さらに、「今、本予告が公開されていますが、それに対するSNSの反応を見る限り、多くの方が既に思い込みという“呪”に掛かっているように思われます」と加門氏。

「過去に呪術を扱った多くの映画は、問題を起こしたり、解決する方法として、呪術が描かれます。なぜ、この呪術によって、そういう結果がもたらされるのかというところには、ほとんど視線が向きません。しかし、『陰陽師0』は主役が呪術。そんな映画は日本どころか、世界でもはじめてではないでしょうか」と、呪術に向き合ってきた加門氏にとっても、新感覚のエンターテイメントになったと明かしている。

1988年に小説が刊行されてから様々なメディアミックスを繰り返し、いまなお愛され続ける「陰陽師」シリーズ。近年では「呪術廻戦」の大ヒットにより、さらに呪術が注目されるようになったが、人々が呪術に惹きつけられる理由を加門氏はこう分析する。

「呪術は元々、天災や病などをはじめとする人の力が及ばない物事への唯一の手段であり、社会的弱者が持てる最大の武器でもあったのです。フィクションの中での呪術は派手で面白い素材ですが、『陰陽師』も『呪術廻戦』も扱われている呪術にはそれぞれ元となる歴史背景があります。そこに通底する我々の期待や憧れが、呪術を魅力的に思わせるのでしょう」。

目に見えないものに対する不安と恐怖は古今も共通、戦争や災害が身近に迫るからこそ佐藤監督も「今こそ陰陽師を復活させなければならない」と強く誓ったそうだ。現代人が陥りやすいフェイクニュースを例に挙げた加門氏は、「フェイクニュースに踊らされるのは、自縄自縛的な感情によるものがほとんどです。現代に限らず、人は信じたいもの、見たいものに引っ張られます。その中で、公平性や公共性を装った記事は信じる人も多い。そこに少しの暗示を掛ければ、立派な《呪い》として成立してしまうのです。映画の中のキーワードのひとつでもある《真実》と《事実》、それを冷静に切り分ける洞察力が、今、必要なのだと思います」と語る。

フェイクニュースが蔓延る現代だからこそ、我々は闇を祓う“陰陽師”安倍晴明を必要としているのかもしれない。

『陰陽師0』は4月19日(金)より全国にて公開。

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