堀田真由、『御上先生』犯人役で新境地「今までにない感覚ばかり」 接見室シーンでのこだわりも明かす
2025年3月13日(木)15時0分 マイナビニュース
●接見室シーンでのこだわり「椅子に座るところで、いつも私は…」
俳優の松坂桃李が主演を務めるTBS系日曜劇場『御上先生』(毎週日曜21:00〜)で殺人事件の犯人・真山弓弦を演じている堀田真由にインタビュー。初挑戦となる殺人事件の犯人役をどのように作り上げていったのか、そして本作への参加が自身にとってどんな経験になっているか話を聞いた。
本作は、教育のあるべき真の姿を描く完全オリジナルの大逆転教育再生ストーリー。東大卒のエリート文科省官僚の御上孝(松坂桃李)が隣徳学院3年2組の担任教師になり、令和の時代を生きる高校生を導きながら、権力に立ち向かっていく。
堀田が演じる弓弦は、国家公務員採用総合職試験の会場で殺人事件を起こした犯人。隣徳学院に御上が赴任する約1年前、神崎拓斗(奥平大兼)が隣徳新聞で教師同士の不倫を暴露したことをきっかけに、辞職に追い込まれた冴島悠子(常盤貴子)の娘である。
第2話の放送内で犯人役が堀田だと明らかになると、SNS上では「犯人は男性だと思っていた」と驚きの声が続出。堀田自身もそういった先入観があったという。
「こういう事件を起こす方はこういうイメージなのではないか、という先入観は私もなくはないなと思い、ハッとさせられましたし、視聴者の皆さんも本当に驚かれていて。この事件やこのドラマだけに限らず、日常でも勝手にいろいろな先入観を持ってしまうとか、目の見えない相手の言葉の怖さなどをすごく感じました」
飯田和孝プロデューサーは当初、犯人役に男性を想定していたが、心の中が透けて見えるような堀田の芝居を見て、女性に変更したと明かしている。
堀田は、同じく飯田氏が手掛けた昨年4月期の日曜劇場『アンチヒーロー』にも出演。「『アンチヒーロー』の撮影中に『御上先生』もご一緒できるとお聞きし、また新しい挑戦を一緒にさせていただけることがうれしかったです。『アンチヒーロー』は私の役者人生の中でも大事な作品の1つなので、また同じスタッフの皆さんと一緒にものづくりができることがすごくうれしかったです」と喜びを語る。
現場ではシーンごとに監督と話しながら弓弦という人物を作り上げていったという。
「どのキャラクターも自分ではない他者を演じるというのは同じですが、人を殺めてしまうというのは到底想像ができないところで。私自身もずっとわからなさを抱えながら現場に立っていて、シーンごとにみんなで悩みながら作っていきました」
堀田の出演シーンは接見室が多い。
「接見室は無機質な空間。ほかの作品や現場では、小道具を使ってキャラクターを深めたり、いろんなことができますが、接見室はすべてを見られているような、心を見透かされているような感覚でした」
接見室シーンでのこだわりも明かしてくれた。
「シーンによって映っていないところもありますが、弓弦が(部屋に)入ってきて椅子に座るところで、いつも私は椅子を引いています。人と距離を取るという、心の距離と実際の距離が少し反映して見えたらいいなと思って。そして、御上先生や神崎くんと会って、自分自身や社会に対して向き合えてくると、椅子を引かずにすんなり座って。ちょっとした自分の中でのこだわりが出せたらいいなと思ってやっていました」
●「違う角度から物事を考えられた作品」「すごく大事な時間だった」
『アンチヒーロー』が特別な作品になったと話していたが、自身のキャリアにおいてどんな経験になったのだろうか。
「約5カ月撮影があったのですが、それだけ長く1つの役を演じ続けるという経験がなかったので、それが大きな変化でした。そして、5カ月間も紫ノ宮を演じていると、自分でも気づかないうちに役と同居しているというか、その感覚が初めてで。いつも現場に行くときはギアを切り替えていましたが、役にすんなりと入っていける自分がいるという変化は不思議だなと思いました」
同じシーンが多かった主演の長谷川博己や共演の北村匠海とは、撮影後も交流が続いているという。
「『アンチヒーロー』の話もそうですが、これから大きい目で、日本がどういう作品を作っていかなきゃいけないんだろうとか、世界と戦うにはこういうものを作らなきゃいけないみたいな熱い話ができるで、撮影中も前室でいろんな話をしていました。自分自身がこれからもキャリアを重ねていく上で、出会えてよかったなという作品と先輩方にお会いできたというのがすごくうれしかったです」
『御上先生』でも新たな境地を感じているようだ。
「人を殺めてしまっているところに関しては、実際の自分は受け入れてはいけないけれど、受け入れないとキャラクターを全うすることができないという感覚が不思議で。理解できるけど共感できない役や、理解も共感もできる役はありますが、今回に関しては、どこか理解はできるけど本当は理解してはいけないし、でも受け入れないと演じられないという、今までにない感覚ばかりで、そういった経験は初めてでした」
続けて、「ずっとわからなさを抱えたまま現場にいましたが、ふとわからないことって全然悪いことではないなと。逆にこれまで、役を演じる上でわかったつもりになって日々撮影を重ねていたこともあったのではと思ったときに、お芝居に限らず生きていく中でも、わかったつもりで物事を進めていくことの方が怖いのではないかと思いました」と芽生えた思いを明かし、「違う角度から物事を考えられた作品だったので、これからこのお仕事を続けていく上ですごく大事な時間だったなと思います」と語っていた。
■堀田真由
1998年4月2日生まれ、滋賀県出身。2015年にWOWOWのドラマ『テミスの求刑』でデビュー。2017年にNHK連続テレビ小説『わろてんか』で主人公の妹を演じて注目を集める。近年の主な出演作は、ドラマ『鎌倉殿の13人』(22)、『大奥』『風間公親-教場0-』『たとえあなたを忘れても』(23)、『アンチヒーロー』『若草物語-恋する姉妹と恋せぬ私-』、映画『バカ塗りの娘』『禁じられた遊び』『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』(23)、『ある閉ざされた雪の山荘で』『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』(24)など。
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