杢代和人、『仮面ライダーギーツ』1年間で「大切なことを教わった」ラスト・エピソードでも新しい一面

2024年3月18日(月)19時0分 マイナビニュース

●『仮面ライダーギーツ』が「今終わったんだ」という達成感
3月8日より劇場上映、そして7月24日にBlu-ray&DVDが発売されるVシネクスト『仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング』は、2022年から2023年にかけて放送された特撮テレビドラマ『仮面ライダーギーツ』のラスト・エピソードとして、多くの特撮ファンからの注目を集めている。
仮面ライダーギーツ/浮世英寿が世界を見守る「神」となり、かつて仮面ライダーだった者たちがそれぞれの「叶えたい願い」のため精一杯生きている中、ふたたび人類の平和を脅かす未曾有の脅威が訪れた。変異種ジャマトの出現をきっかけとして、バッファ、タイクーン、ナーゴたち「仮面ライダー」はふたたび激しい戦いの道を歩み出す……。
テレビ地上波では見られないバイオレンス風味のアクションや、異なる種族同士の「種の垣根を越えた愛情」といった深いテーマを追い求めた本作は、まさに『仮面ライダーギーツ』の集大成というべき骨太のVシネクスト作品に仕上がっている。ここでは、仮面ライダーギーツ/浮世英寿(演:簡秀吉)と共に物語の中核を担う仮面ライダーバッファ/吾妻道長を演じる杢代和人にご登場いただき、1年もの長きにわたる『ギーツ』撮影の日々を振り返っての感想や、熱い応援をしてくれたファンへの強い感謝の気持ち、そしてヒューマニズムにあふれたVシネクストのストーリー性、本作で初披露されたバッファ強化フォーム(バッファプロージョンレイジ)の変身に込めた思いなどを聞いた。
※本インタビューには作品内容のネタバレを含みます。
○『仮面ライダーギーツ』仮面ライダーバッファ/吾妻道長を演じる杢代和人
——まずは、『仮面ライダーギーツ』テレビシリーズの撮影が終わったときのお気持ちから教えてください。
1年という長きにわたって続いてきた作品が、今終わったんだという達成感や、ずっとお世話になったキャスト、スタッフの方々への感謝とか、いろんな感情が押し寄せました。もちろん、すぐにみんなと会えなくなるわけじゃなくて、このあとVシネクストを撮ったりもすることはわかっていましたが、1年間やってきた「節目」を迎えたという意味で、やっぱりクランクアップ(撮影完了)の瞬間は自分にとって感慨深かったです。
——道長という人物を演じたことで、杢代さんご自身がキャラクターから影響を受けたことはありますか。
道長は最初、デザイアグランプリのプレーヤーとして登場し、1度退場して今度は「ジャマト」側について、やがて「すべての仮面ライダーをぶっつぶす力」を手に入れて、最終的にはギーツ/英寿と一緒にデザイアグランプリの運営側に立ち向かうという、1年間の振り幅が大きいキャラクターでした。
そんな中で、道長の気持ちは最初から最後まで芯がまったく曲がっていない。デザイアグランプリで誰かが望みを叶えようとすると、他の大勢の人が幸せを奪われる。そんな「不幸」の連鎖を断ち切りたいというのが道長の考えです。演じる僕としても、自分の中にある芯は曲げてはいけないとか、どんなことがあっても意志を貫こうとか、そういう思いを持っておいたほうがいいかな、と思うようになりました。
——とてもたくさんの仮面ライダーが登場し、生き残りをかけて争う場面が多くありました。他のインタビュー記事を読んでいると、キャスト陣のチームワークがとてもよい印象です。杢代さんと共演者のみなさんとの関係性について聞かせてください。
『ギーツ』は個人戦といいますか、作品の中でキャラクター同士がずっと一緒にいるという場面がないんです。道長、英寿、景和、祢音をメインとして、個々のストーリーがしっかり描かれていて、みんなが役に向き合ったからこそ、いざ集まったときのパワーがすごい。僕はそれがとてもいいなと思っていました。芝居から離れて、みんなでいるときのチーム感もありますが、全体ではなく、一人ひとりの個性が強いというのが『ギーツ』の魅力だと思います。
——道長が英寿に抱いていたような、ライバル同士の火花バチバチ感というのは、キャスト同士であったりしましたか。
簡(秀吉)とはふだんから仲良くしていましたが、役の上ではライバルですから、撮影では常に緊張感を持ちながら取り組んでいました。僕自身、現状に満足するのではなく常に戦っていきたいと思っていましたし、道長と英寿が一緒にいるシーンは、他よりもいろいろなことを考えていたので、どの共演シーンもすごく印象に残っています。最初は少しピリピリした緊張感もあったとと思いますが、撮影も中盤に入り、アルキメデルに2人で挑むというくだりで初めて英寿との「同時変身」をしたとき「やっと一緒に(敵を)倒せるやん」なんて言葉を交わしたことで、お互いの意識を共有できたというか、よい緊張感に変化した気がしました。
○『仮面ライダーギーツ』で過酷な体験
——テレビシリーズで、杢代さんがいちばん「大変だった」と思う撮影を教えてください。
もう何年も俳優をやっていて、過酷な体験をしてきた僕が「もうツラい!」と思ったロケが『ギーツ』でありました。テレビシリーズ31話で「さいたまスーパーアリーナ」の、ここ絶対に一般の人が入れないよねっていう高さまで、螺旋階段をのぼり、ハシゴをのぼり、トタン屋根の上をカンカンと渡った場所で撮影をしたんです。この回は田崎(竜太)監督の『ギーツ』初登板だったんですが、僕が思わず「ここ、撮影する場所じゃないんじゃないですか?」と尋ねてしまいました(笑)
真冬の寒い時期、周りに高層ビルが建っているために冷たい風が吹きまくっていて、僕らは寒いというより「痛い」という感覚でした。簡と一緒のシーンだったんですけど、カットがかかったら少しでも暖かい場所へ避難するべきなのに、そんな元気もなくて2人とも思わずその場にしゃがんでしまったという(笑)。田崎監督もあまりの寒さに、途中からキツそうになって「みんなで頑張って(ここの撮影を)終わらせよう!」と言うものですから、ああ、みんなキツいんだなって思ったりして。僕のこれまでの俳優人生でトップクラスのツラい撮影でした。今でも、さいたまスーパーアリーナへ行くと、てっぺんのほうを見ちゃうんですよ。「ああ、あそこでとんでもなくツラい撮影をしたなあ」という、思い出深い場所ですね(笑)
——Vシネクストの上映以前、昨年の12月に『仮面ライダーTHE WINTER MOVIEガッチャード&ギーツ 最強ケミー★ガッチャ大作戦』が上映されました。このとき『仮面ライダーガッチャード』チームと『仮面ライダーギーツ』チームのコラボがあり、道長、景和、祢音がそれぞれバッファケミー、タイクーンケミー、ナーゴケミーに変身してしまう場面がコミカルに描かれましたね。杢代さんがかわいいバッファケミーの声を演じたときの感想はいかがでしたか。
とても楽しかったです。僕はアフレコが好きなので変身後のバッファのかけ声を入れるときも、体力を使いますけど楽しんでやっていました。バッファケミーの姿がかわいいので、いつもの道長の雰囲気とケミーっぽさの「間」をとって、山口(恭平)監督と話し合いながらセリフの言い方を工夫しています。自分とは違うキャラクターの声を演じるって、もっとやりたいんです。声優のお仕事とかも憧れがあります。今度、アプリゲームの『ライドカメンズ』って始まるじゃないですか。追加の仮面ライダーが出てくるとき、僕も声を演じてみたい! この発言、強調しておいてもらえると嬉しいです(笑)
●『ジャマト・アウェイキング』はコアな『ギーツ』ファンに向けている
○『ジャマト・アウェイキング』で道長の優しさが表現できた
——さていよいよVシネクスト『ジャマト・アウェイキング』の話題に移りたいと思います。台本を読まれて、本作のストーリーを知ったときのお気持ちを聞かせてください。
今までの『ギーツ』では描けないようなショッキングな描写であるとか、種族間で争うような、わりと生々しい表現とかがある作品だなと思いました。テレビだと、子どもたちから大人まで、幅広い年齢層にアピールできるよう作られていますが、今回はコアな『ギーツ』ファンに向けていると思うんです。「争いだけじゃ問題は解決しない」といった、深いメッセージ性のある作品なので、様々な世代の方たちにも観ていただき、メッセージを受け取ってほしいという気持ちになりました。
——杢代さんが本作のドラマ部分で特に印象に残っているのは、どんなところですか。
春樹を演じた(正垣)湊都くんと、ベンチに座って話すという静かなシーンです。あそこでは、ふだんの『ギーツ』では見せることのなかった、道長の優しさが表現できたと思っています。いつも、誰に対しても反抗してきた道長だけど、今回は雰囲気が違うぞ? と感じてもらえれば、と思いながら演じていました。道長の新しい部分をお見せすることができたのではないでしょうか。
——また、アクションシーンではバッファ、タイクーン、ナーゴの3人同時キックで道長、景和、祢音に戻り、背後で大爆発が起きるというところが迫力満点でした。あの爆発シーンを変身前で体験されたときのことについて詳しく聞かせてください。
変身解除してから着地、そして後ろで爆発というのは、珍しいですよね。僕だけじゃなく、2人もめっちゃ興奮していました。あの規模の爆発は撮り直しがききませんから、坂本監督には「もう、目だけはつぶらないで!」と念を押されました。目をつぶっているとNGになりますから……。しっかり目を開けて、キメキメで頑張ったところです!
○新フォーム「プロージョンレイジ」には「やっと!」
——バッファが新フォーム「プロージョンレイジ」に変身したことも大きなトピックスですね。プロージョンレイジが出る、と知ったときどう思いましたか。
それはもう「やっと!」という思いでした。同級生(ギーツ、タイクーン、ナーゴ)が次々と強化フォームに進化しているのに、バッファだけ変わらず、置いていかれている感がありましたから。あれ、景和も祢音も、英寿もずいぶんカッコよくなっちゃって〜って(笑)。テレビのころから「バッファはいつ強化フォームになるんですか」とプロデューサーに質問しても、ご返答がなく(笑)。やっとVシネクストでプロージョンレイジに変身できて、嬉しい限りです。
——バッファプロージョンレイジへの変身は、従来のバッファの変身とどういう変化をつけようとされましたか。
今回の新フォームの特徴である「盾」と「チェンソーの爪」を意識して、いつもの変身ポーズのときに突き出す左腕に「武器を装着するぞ」という動きを加えています。通常のバッファの変身と、ぜひ見比べてほしいです!
——エンディングでは、それまでの世界を揺るがす凄絶な戦いから一転し、道長をはじめみなさんがにこやかに歩み寄る、よい雰囲気のシーンが観られました。
先ほど話したように、道長が春樹に優しく接するという部分を意識して、安らぎをもたらすようなシーンになっていたと思います。僕たちキャストも同じように、ほのぼのとしたかったんですけど、撮影時期がちょうど真夏の猛暑の真っ只中でロケでしたから、みんな汗だくになりながら芝居をしていました。でも、そんな苦労があったからこそ、思い出に残るシーンになりました。
——1年以上にわたる『仮面ライダーギーツ』の撮影の日々をふりかえり、改めて今どんなお気持ちでいるでしょうか。
1年間ずっと一緒に仕事をしていたキャスト、スタッフ、すべての方たちに感謝の言葉を贈りたいです。全員が『仮面ライダーギーツ』への愛を持って、作品作りに取り込んでいました。それぞれが真剣に、いろんな作業をしなければならない中、作品への愛情、情熱があるからこそこんなに頑張ってくださるんだと、現場にいてすごく感じていました。これからも、作品作りに取り組む際には必ず「愛」を込めなければならないという、大切なことを『ギーツ』に携わったすべての人から教えていただきました。
——最後に、仮面ライダーバッファ/吾妻道長を愛するファンのみなさんに向け、メッセージをお願いします。
長い間『仮面ライダーギーツ』、そして仮面ライダーバッファ/吾妻道長を応援してくださって、ありがとうございます。『ギーツ』の物語は今回のVシネクストでひとつの区切りを迎えますが、映像はさまざまな形で何度でも観返すことができますし、もしこれからみなさんが「新しい挑戦」をしようかなというときなど、ぜひテレビシリーズの最初から観てほしいです。これから先、自分自身にちょっときつそうな「壁」が待っているなというときがあれば『ギーツ』の仮面ライダーたちの戦いを思い出して、一緒に壁を乗り越えていくことができれば嬉しいです。いつまでも、みなさんの心の中に『ギーツ』がいると信じています。これからも『ギーツ』を好きでいていただいて、大きな夢や、達成したい「願い」と向き合っていってほしいなと思います!
■杢代和人
2004年5月20日生まれ、東京都出身。ダンスボーカルユニット「原因は自分にある。」メンバー。テレビドラマ『FAKE MOTION -たったひとつの願い-』『あせとせっけん』『卒業式に、神谷詩子がいない』、『最高の生徒〜余命1年のラストダンス〜』などで活躍。
秋田英夫 あきたひでお 主に特撮ヒーロー作品や怪獣映画を扱う雑誌・書籍でインタビュー取材・解説記事などを執筆。これまでの仕事は『宇宙刑事大全』『大人のウルトラマンシリーズ大図鑑』『ゴジラの常識』『仮面ライダー昭和最強伝説』『日本特撮技術大全』『東映スーパー戦隊大全』『上原正三シナリオ選集』『DVDバトルフィーバーJ(解説書)』ほか多数。 この著者の記事一覧はこちら

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