【シネマVOYAGE】名作に魅せられた少女が、イタリア中を旅する『フェリーニに恋して』

2018年3月21日(水)20時0分 シネマカフェ

『フェリーニに恋して』(C) 2016 In Search of Fellini, LLC. All Rights Reserved.

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誰にでも映画に興味を持つきっかけとなった特別な1本があるのではないだろうか。子供の頃に観た強烈なホラーだったり、うっとり憧れるロマンスだったり、お医者さんや警察官、消防士…映画のキャラクターや職業に刺激を受けて将来を決めた人だっているだろう。

『フェリーニに恋して』の主人公のルーシーにとってのその1本、人生を変えることになるその1本は、フェデリコ・フェリーニの『道』だった。この映画はルーシーがイタリア映画の巨匠フェデリコ・フェリーニの作品と出会い、ローマ、ヴェネチア、ヴェローナ、美しいイタリアの都市を旅する物語だ。


ルーシー(クセニア・ソロ)は、母クレア(マリア・ベロ)に大切に育てられた。世の中の全ての悪い事や苦しみから守られるように…。だから20歳になっても男の子とキスをしたこともない、もちろんつき合ったこともない、友だちもいない、アルバイトもしたことがなかったが、母が自分の将来を心配していることを知り仕事を探し始める。

ある日、ルーシーは「製作者を求む」という新聞の広告を見て映画会社の面接に行くが、そこは彼女が思い描いていたような会社でも仕事でもなかった。落胆するなか、街で「フェリーニ映画祭」のチラシを受け取り、吸い込まれるように映画館へ──。


映画祭で『道』を鑑賞し、フェデリコ・フェリーニという映画監督の存在を知り、その世界観に魅了されたルーシーは、帰宅後フェリーニの作品を片っ端から観て過ごす。そして「フェリーニに会いたい! 会って話しをしたい!」と、彼に会うためにイタリアへ行くことを決めてしまうのだった。好奇心や興味によって引き出される行動力はものすごいもので、母に守られてきた娘は、母を想いながら籠から羽ばたき、旅に出る。離れていても心は繋がっている──そんな母と娘の愛の描き方も素敵だ。


旅の途中で、フェリーニの映画に登場するキャラクターが現れるのがユニークだ。『道』のザンパノが幻想の世界への誘導役として登場するほか、『甘い生活』のシルヴィアとマルチェロ、『8 1/2』のグイド、16作品以上の名シーンへのオマージュが散りばめられている。たとえフェリーニの映画を観たことがなかったとしても、ルーシーがフェリーニに導かれたように、観客はルーシーに導かれ、ルーシーと一緒に旅をしているように感じるだろう。ローマ、ヴェネチア、ヴェローナ…イタリアに行きたくなる。

なかでも行ってみたいのは、ルーシーの旅の終わりと人生の始まりを感じる、とてもファンタジックなシーンとして描かれている場所、ラストシーンで登場する「Osteria Margutta」。


ローマのポポロ広場とスペイン広場のちょうど中間にある裏道、マルグッタ通りにあるレストランだ。この通りは『ローマの休日』のロケ地としても有名。グレゴリー・ペックの演じたジョー・ブラッドリーのあのアパートがある通りだ。また、110/113番地にはフェリーニが住んでいたアパートもあり、フェリーニと彼の妻で女優のジュリエッタ・マシーナの名前が書かれたプレートがいまでも残っている。(text:Rie Shintani)

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