『脱力タイムズ』は“到達点”――有田哲平、理想にたどり着いた番組「死ぬまで続けたい」
2025年3月21日(金)4時30分 マイナビニュース
フジテレビ系バラエティ番組『全力!脱力タイムズ』(毎週金曜23:00〜)が、4月で10周年を迎える。報道番組という硬いスタイルを採りながら、ゲストの芸人を毎週様々な手口で追い込み、極限の状況で生み出されるミラクルや、思わぬサプライズ人物の登場でSNSを沸かせる同番組。このメインキャスター兼総合演出として表から裏から仕掛けるのが、くりぃむしちゅーの有田哲平だ。
このほど取材に応じ、10年続いた秘けつや、4月から放送枠が縮小することの受け止め、そして今後の目標などを語った——。
○フジテレビがずっとこらえてくれた
——10周年に到達しましたが、この心境からお聞かせください。
始めた時にはまさか10年続くとは思いませんでしたね。レギュラー1回目はニュース形式で、例えば「アメリカで大事故が起きました。どうぞご覧ください」って振ったら、猫と猫がぶつかるVTRが流れて、「いや全然大丈夫じゃないですか!」ってツッコんでいただくと、先生が「これはね、今の経済のことなんですよ」って解説してもらってふざけていく…みたいなことをやってたんです。でも、だんだんスタッフも自分も飽きてきちゃって(笑)、「ちなみにだけど、海外のVTRって見なきゃダメ?」「スタジオだけでできない?」って言って、そこからガラッと変えたんですよ。それを作り上げたくらいから、方向性がバシッと見えてきた感じがしますね。
——10年続いた秘けつは何でしょうか?
最初からずっと順風満帆だったとは言えないので、「いよいよ次の春で終了かな」「秋かな」とかいう時期もありました。でも、そこで乗り越えてくれたスタッフの頑張りや、「ここは踏ん張って、もうちょっと頑張ってみよう」とずっとこらえてくれたフジテレビさんのおかげもあると思います。
あとは、1個フォーマットを作って、それを上手く使ってラクしていきたいんですけど、やっぱり毎回ゼロから考えちゃうんですよね。「今こいつ面白いな」「こんなふうになったらみんなびっくりするかな」とか、その都度その都度考えるので、スタッフ一同安住してない感じがありますね。もちろん人気コーナーもだいぶできてきたので、そういうのに頼ってる部分もありますが、毎回新番組を作るみたいな感覚でやってるのが大きいのかもしれないです。
○10周年で放送枠短縮「うちの番組らしい(笑)」
——4月から放送が40分枠から30分枠になるわけですが、どのように受け止めていますか?
収録で「10周年を記念しまして、放送時間が短縮になります」って発表させていただいたんです。普通は記念すべきことですから、1時間番組になったり、時間帯が上がっていったりするんでしょうけど、うちの番組らしいなと思いますね(笑)
ただ、もとは30分だったので、40分になるときにザワザワしたのを覚えています。10分伸びてダラダラ見せるのは良くないじゃないですか。金曜の夜にサッとやってやり逃げしていくような感じを目指しているので(笑)、ああでもないこうでもないって揉めたんですよ。そういう意味では原点回帰として、30分にスカッと凝縮してお届けしたいと思います。
——30分版の収録も終えているということですが、変化はあるのですか?
この番組はゲストに来てくれる芸人さんが何も知らない状態なので、こっちが想定してる方向にいかないことがあるんですよ。「ちょっとこの人と軽く漫才やってみよう」とか「この人と2人きりで部屋の中でしゃべらせてみよう」と仕掛けてみたら、全く盛り上がらないこともある。誰が悪いとかじゃないんです、いろんな想定がうまくいかない。そうなると、収録が終わってみたら3時間ぐらい経ったこともあります。
逆に盛り上がりすぎて長くなったので、2回に分けようかってなることも稀にありますけど、そう考えると、収録時間が短くなるということは全くございません。本当芸人さん次第で、心と心が通じ合えばすごく短く終わるんですけど、通じ合わない場合は2時間でも3時間でもやってしまうということですね。
——4月から何か新しい要素はあるのでしょうか?
正直、10年だろうが何年だろうが、訳の分からないことばっかりやってますからね(笑)。「この人がゲストだから、こんな感じのことするんじゃない?」っていうのを少しずつ裏切り続けていきたい気持ちがありますので、今に限らず、これからもチャレンジしていきたいなと思っています。
○「これをやりたかったのかもしれない」
——10年まで続きましたが、今後の目標はいかがですか?
やっぱり毎回ゼロから作るのはしんどいので、始めて2年目か3年目ぐらいの頃は、打ち合わせするたびに「10年やったらもう満足だよ」なんて言ってたんですよ。でもそれを超えちゃったんで、もう20年、30年いくしかないですかね。いやあ、こんな生活あと10年20年続けたら、もう頭おかしくなるな(笑)。でも笑っていただけるうちは、死ぬまで続けたいですね。
——最後に、『脱力タイムズ』は有田さんにとってどんな存在ですか?
言ってしまうと“到達点”かもしれないですね。「テレビで面白いと思ったことをやりたい」とこの世界に入ってますので、コント番組もやらせてもらったし、面白い番組をたくさんやらせてもらいましたけど、「こんなことやったら面白いんじゃないの?」ってアイデアを次の週にやれるとか、免罪符みたいなものを頂いて結構好き勝手やらせてもらえているので、「これをやりたかったのかもしれない」という感じがしますね。