「光る君へ」第十一回「まどう心」互いの思いとは裏腹に、さらに開くまひろと道長の距離【大河ドラマコラム】
2024年3月23日(土)8時20分 エンタメOVO
兼家のクーデターによって花山天皇(本郷奏多)が退位。これにより、官職を失った父・藤原為時(岸谷五朗)を救おうと、旧知の源倫子(黒木華)から「おやめない」と止められていたにもかかわらず、摂政となった兼家の元に直談判に訪れるまひろ。そして「どうか、父に官職をお与えください」と必死に懇願するが、兼家からは「わしの目の黒いうちに、そなたの父が官職を得ることはない」と一蹴される。
このとき、兼家の邸宅である東三条殿を訪れたまひろが、「ここが、あの人(=道長)の家…」と思いをはせるモノローグや、兼家が道長に「虫けらが迷い込んだだけじゃ」と告げる一幕もあり、同じ「貴族」でも、まひろと道長の間に横たわる厳然たる格差が強く印象付けられた。
こうして、自分の立場を思い知ったまひろは、為時のことはやむなく諦めるが、諦めきれないのが、道長への思いだ。
道長は、一条天皇即位の際、高御座のトラブルを無事に処理したこともあり、兼家の力によって出世。さらにまひろとの距離が開くこととなった。だが、その距離が開けば開くほど、ますます強くなるのが、互いへの思いだ。それを埋めようとした道長は、「妻になってくれ」とまひろに告げる。だがまひろは「正妻は無理だが、妾(めかけ)に」という道長の申し出を受け入れることができない。結局、「勝手なことばかり言うな」と憤慨した道長はその場を去り、そのまま兼家に「お願いがございます」と申し出る。その道長の「お願い」とは、果たして一体何なのか。
もどかしい2人の関係が強く印象に残るが、それと同時にこの回、忘れてはいけないのが、まひろと倫子のやりとりだ。「なぜ倫子さまは、婿をとられないのですか」と尋ねるまひろに、倫子は「私、今狙っている人がいるの」と打ち明ける。倫子が思いを寄せる相手が道長であることは、視聴者にとっては周知の事実だが、それを知らないまひろは「それは、どなたでございますか?」と無邪気に尋ね、「言えない」と答える倫子と共に笑い合う。立場的に、まひろよりずっと有利な倫子は、どのように道長にアプローチしていくのだろうか。そして、それを知ったとき、まひろはどうなるのか。
ケンカ別れしたまひろと道長。そして、その間に割って入りそうな倫子。次回予告では「私は生涯、猫しか愛でません」と思い詰めたように語る倫子の姿や、「まだ三郎と付き合ってたの」と弟・惟規(高杉真宙)にからかわれるまひろの姿も見られた。「思いの果て」というサブタイトルの意味も含め、3人の関係がどうなるのか、気になるところだ。
(井上健一)
関連記事(外部サイト)
- 吉高由里子、平安貴族役に慣れ「袖をさばくしぐさが癖になりすぎ、私服のときもやってしまう」柄本佑、町田啓太、ファーストサマーウイカと共にファンの前でトーク 大河ドラマ「光る君へ」ファンミーティング
- Harukaze(NAQT VANE)、志田彩良&本郷奏多の前でドラマ主題歌「Break Free」アカペラ披露
- 「光る君へ」第二回「めぐりあい」初登場した吉高由里子と柄本佑への期待【大河ドラマコラム】
- 吉高由里子「なるべくみんなを巻き込んで、この作品にみんなで没頭できたらいいなと思います」 大河ドラマ「光る君へ」合同取材会
- 「ゼイチョー」“相楽”本郷奏多が副市長になった理由が判明 「最後は驚きだった」「“饗庭”菊池風磨との共闘が見たい」