『あんぱん』北村匠海、やなせたかしモデル役に感じた「運命」 絵を描くことや平和への思い重なる

2025年4月12日(土)8時15分 マイナビニュース


●朝ドラのオファーに驚き「最近、血だらけな役が多く…」
女優の今田美桜が主演を務める連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合 毎週月〜土曜8:00〜ほか ※土曜は1週間の振り返り)で、漫画家・やなせたかしさんがモデルの柳井嵩を演じている北村匠海にインタビュー。「運命を感じざるを得なかった」という柳井嵩役への思いや役作りについて話を聞いた。
112作目の朝ドラとなる『あんぱん』は、アンパンマンを生み出したやなせたかしさんと妻・暢さん夫婦をモデルに、何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描く愛と勇気の物語。小松暢さんがモデルのヒロイン・朝田のぶ役を今田美桜、やなせたかしさんがモデルの柳井嵩を北村匠海が演じ、脚本は中園ミホ氏が手掛ける。
朝ドラ初出演の北村は、オファーを受けたときの率直な心境を「びっくりしました」と告白。「朝ドラや大河は役者人生の指標になるもの」と捉えていたものの、映画『東京リベンジャーズ』シリーズやNetflix『幽☆遊☆白書』など激しいバトルを描いた作品への出演も多く、“朝の顔”というイメージがなかったという。
「最近、血だらけな役が多く、自分が朝を彩る朝ドラに出ていいのだろうか、務まるのだろうかという思いがありました」
DISH//として音楽活動もしており、撮影期間が長い朝ドラに参加できるのかという物理的な問題も考えたと言い、その上で「人生の一つのチャレンジとして挑戦したい」と出演を決めた。
制作統括の倉崎憲氏から、自身の死生観とやなせさんの哲学がハマるという話を聞き、「あなたしかいない」と言われたことにも心を打たれたという。
「やなせさんを演じるということにやりがいも感じますし、今だからこそちゃんと伝えなきゃいけないメッセージが非常に多くあると思っています。そのきっかけを僕に任せていただいたならば、精一杯やらせてもらいたいという気持ちでした」
○やなせさんのインタビュー動画を役作りの参考に
昨年9月にクランクインしてから約半年。ちょうど半分程度撮影し、戦争シーンを撮っている最中だと明かす。
「のぶと別々の世界で、お互い人生でつまずいたり起き上がったりという段階。僕は戦争に行っていて、なかなか会えていない状況なので寂しいです。さっきは朝田家のシーンを撮影し、久々に軍服を脱いで朝田家にやってきたんですけど、しみじみしてしまいました」
役作りとしては、やなせさんのインタビュー動画がとても参考になったという。
「声と表情から見る情報がすごく助けになりました。戦争だったり、逆転しない正義ということへの思いを動画から学び、それを見ているうちに自分の中でいろんなことが腑に落ちて、やなせさんという偉大な方をモデルにした役を演じる上でパーツがやっとそろったなと思いました」
一般的に知られているのは、『アンパンマン』が知れ渡った後のやなせさん。その姿を見て、「ゴールを見たイメージだった」と語る。
「年齢を重ねて人生経験を踏んだやなせさんは、すごくユーモアもあるし、物腰も柔らかいですし。自分は最終的にここに行き着かないといけない、ここに至るまでの人生経験を柳井嵩として歩まなければならないという道筋が見えました」
そして、やなせさんに大きな影響を与えたのが戦争であり、「戦争を経てから、正義というものを嵩がのぶに対して言語化して伝えるシーンがあるのですが、そこに至る達観を戦争中に経験しなければならないという思いで今戦争シーンを撮影しています」と語った。
●絵画教室に通っていた過去「絵を描くことは馴染みがある」
作品の中では当然ながら嵩が絵を描くシーンが多く登場。それらも吹き替えなしで北村が演じているそうで、「絵を描くことは馴染みがある」と絵との関わりを明かす。
「僕は小学生の時から絵画教室に行っていて、選択授業も全部美術でした。油絵やボールペン画で抽象的な絵ばかり描いていて、漫画タッチの絵は描いたことがなかったですが、絵を描くことはすごく自分にとって馴染みのあることで、学生時代、ずっと絵を描いていたので、嵩と通ずるものがあるのかもしれません」
自身も絵との関わりが深いからこそ「運命的な役との出会いだなとすごく感じます」と語る北村。絵を描く基礎があったからか本作において絵のレッスンは全くなかったものの、自主的にアンパンマンを描く練習をしているという。
「アンパンマンは誰しも描いたことがあると思いますが、いざうまく描こうとすると全然うまく描けなくて。高知でロケしたときも、ホテルでアンパンマンを描いていました。やなせさんのように、よどみなく描けるようになりたいと思っています」
また、子供時代に『アンパンマン』を楽しんでいただけでなく、20代になって改めて『アンパンマン』と触れる機会があったという。
「コロナ禍とかその少し前ぐらいに『アンパンマン』と出会い直しました。子供のときよりももっと深い目線でやなせさんと出会っていたので、運命的だなとずっと感じています」
○東日本大震災で芽生えた思い「誰もが平和になる世の中のために頑張りたい」
戦争のシーンも描く本作。北村は「誰もが平和になる世の中のために頑張りたいという思いは3.11からずっとある」と、中学1年生のときに経験した東日本大震災によって芽生えた思いを明かす。
「震災当時、日活撮影所で『鈴木先生』というドラマを撮っていて、教室のシーンだったのですが、すごく揺れて、みんな机の下に隠れて。その日一睡もできなくて。そこから人生観というか、中学生ながらにいろんなことが変わりましたし、震災が起きるたびに何かできればなという思いがあります」
そして、エンタメを通して自分にできることを考えているという。
「作品を生んで、ドラマや映画で、今この時代に戦争などを忘れさせないために描き続ける仕事は僕らにしかできないと思っています」
さらに、「コロナ禍も人生観を変えた1つでしたし、やなせさんの役との出会いは運命を感じざるを得なかった」と語る。
「僕の人生いろいろあったので、そこと重ねるところもあって、戦争も経験されたやなせさんほどの紆余曲折は……僕はまだ27年しか生きてないので波風程度なのかもしれませんが、今自分ができることを精一杯やるために、自分自身の人生も回帰し、いろいろ思い返しながら演じています」
実在の人物を演じるのは、2017年に日本テレビ系の番組で明石家さんま役を演じて以来。「実在する方を演じるのは自問自答の日々です」と語る。
「基本的にどの役も向き合い方は同じですが、実在している偉大な方であるからこそ、情報をたくさん蓄積できる良さがあって。常にこれで合っているのか、嵩なら、やなせさんなら、と自問自答しながら作っている日々です」と述べ、「ゴール地点のやなせさんはユーモアがあってひょうきんで、優しさと愛を持っている人で。そこに至るまでに、ここでこうなっていかないといけないよねと、点を打ちながら演じるという感じで、そこだけは慎重に演じています」と話していた。
■北村匠海
1997年11月3日生まれ、東京都出身。2008年に映画デビュー。映画『君の膵臓をたべたい』(17)で注目を集める。近年の主な出演作は、映画『サヨナラまでの30分』(20)、『さくら』(20)、『東京リベンジャーズ』シリーズ(21・23)、『明け方の若者たち』(21)、『スクロール』(23)、『法廷遊戯』(23)、『悪い夏』(25)、ドラマ『教場』(21、23)、『ナイト・ドクター』(21)、『名探偵ステイホームズ』(22)、『星降る夜に』(23)、『アンチヒーロー』(24)、Netflix『幽☆遊☆白書』(23)など。
(C)NHK

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