平野レミさんが自炊本を!「和田さんがいなくなって気持ちは『宙ぶらりんでフラフラ』」から立ち直れた理由

2024年4月15日(月)15時50分 女性自身

料理歴50年の料理愛好家で知られる平野レミさん。最愛の夫であるイラストレーター・和田誠さんを亡くされて5年が経つレミさんは、ご自身と同じような境遇の方に「料理を作る喜び、食べる楽しさを知って欲しい」と言う。


そこで今回は毎日を楽しくする、ひとり分の自炊ごはんの極意を聞いた。


——自炊ごはんを作るときに心がけていることはありますか?


平野レミ(以下・レミ)ひとり分作るのはね、材料費が高くつくの。だから私は3、4人分作っといて冷蔵庫や冷凍庫に入れて、ひとり分ずつチンして食べることもあります。だからみんなの自炊を応援したくて『平野レミの自炊ごはん』という本を出したのよ〜笑。


——自炊ごはんの良さはどんなところですか?


レミ 早くできる、調味料も少ない、材料も少ない、でも美味しい。自分でお料理作って自信がつくとね、よその料理なんて食べられなくなるのよ。お茶一杯だって自分で急須に葉っぱ入れて熱湯を注いでいれたお茶と、買ってきたお茶では全然違うし。その幸せ感を知っちゃったらね、自炊が最高に思える。


——時間がないときやズボラな気分のときに最適な自炊ごはんは?


レミ エノキ料理。エノキの堅いところを取っちゃってね。フライパンにバターひいてエノキを広げてべたっと押しながら焼くだけ。それでポン酢つけて食べたら凄くうまい! それぐらい簡単なのでも料理になるのよ。


——体調を改善させたいときに作るメニューは?


レミ リコピン鍋がいいんじゃない? トマトやにんにく、鶏もも肉、玉ねぎとかいっぱい入ってるから栄養が取れる。最後の〆にお餅を入れ和風とイタリアンの合体……。うどん入れても美味しいしね。


——鍋なんで消化もよくて体に優しいですよね。


レミ そう。一人暮らしの方だと自分の体は誰も守ってくれないから自分で守らないと。死ぬのも怖いし病気になるのもいやじゃない。自分が与えられた肉体を大事にしなかったらもったいないよね。だから健康に気づかって栄養をしっかり取る。


——自分へのご褒美や機嫌を取りたいときに作る料理は?


レミ 北京ダックじゃなくて『北京豚(トン)』。北京ダックってアヒルの皮をくるんで食べるじゃない。私はその皮の代わりに豚バラでやるの。北京ダックの何が美味しいかというと自家製のタレなのよ。そのタレを私がいろんなものを入れて作ったんだけど湯がいた豚バラに私のタレをつけて食べると本格的な中華味でホントに美味しいのよ。


——北京ダックを包む皮を春巻きの皮にしたことで料理作りが一気に簡単になりますよね。


レミ 北京ダックを包む白い皮はカオヤーピンていうんだけど、私の北京豚(トン)は春巻きの皮でやるの。今から30年ぐらい前にカオヤーピンなんてその辺に売ってないし「春巻きの皮でできないかな」と思って。それで春巻き屋さんの工場に「春巻きの皮って生で食べれますか」って電話したら「生で食べれます」って。「ほんと!? 嬉しい!」ってなって。それから私は春巻きの皮で代用してどんどんやるようになって。そしたら今、パッケージに「生で食べれます」って書いてあるのよ〜(笑)。


——春巻きの皮はカオヤーピンの味に似てるんですか?


レミ そっくりよ。豚肉じゃなくて鶏肉でもやったりするんだけど、アヒルじゃなくて鶏肉でペテンにかけちゃうから北京ダックじゃなくて「ペテンダック」ね(笑)。


——うまいですね。外食したときに美味しかった料理を参考にするそうですが。


レミ そう。箸袋あるじゃない。店員さんに「えんぴつ貸してください!」って…箸袋にアイデアを書いてポッケにいれる。


——調味料や具材とか料理に何が入っているかなど、お店の人に聞いたりするんですか。


レミ 食べて美味しいときには厨房まで行って「これ誰が作ったの?」って。でも教えてくれないときもある。


——食べただけで何が入っているか分かるものなんですか?


レミ 年をとるとだんだん分かってくる。海外に行ってさ「美味しかったな」と思うと、時差ボケもお構いなしに空港からすぐにスーパーに直行して、食材を買ってベロが忘れないうちに作っちゃうね。


——レミさんの新作料理を最初に食べるのは和田さんだったそうですが、その和田さんがお亡くなりになって5年が経ちます。現在はどのような心境ですか?


レミ 和田さんがいなくなっちゃって今まで私の気持ちは「宙ぶらりんでフラフラフラフラ私ひとりひとり」って思ってたんだけど、今朝5時頃に目が覚めてさ、手元にあった出たばっかりの和田さんの復刊した本『わたくし大画報』を読んでいたの。ふだんなら全然読まないのに。そうしたら私のことがいっぱい出て来て、和田さんに会ってる気がして。本を読んで「ここに和田さんがいた!」って思えたの。


——和田さんとの思い出がよみがえって来たんですね。


レミ そう。生前にね、和田さんの展覧会があったの。そのとき作品のタイトルに「知らぬがイム」って書いてあったから私が和田さんに「ガイムってなんのこと?」って聞いたの。そしたら和田さんが、みんなを集めて「レミがこれを『知らぬがイム』って言ったよ」って大笑いされて。「知らぬがイム」って何かというと「知らぬが仏」だったの(笑)。和田さんはいつも私のことを面白がってたみたい。


——レミさんのように日々の生活を明るく元気に過ごすにはどうすればいいか読者になにかアドバイスをいただけますか?


レミ 食事で栄養をとって自分が元気だと気持ちが前向きになる。だから五大栄養素の炭水化物とかミネラルとかたんぱく質とか「ちゃんととってるかな?」と思って過ごす。「今日ちょっとたんぱく質がたんないな」と思ったら納豆食べるとかさ。体が元気だったらどんどん楽しくなる。前向きな気持ちは体から来ると思うのよね。だから絶対に元気じゃないとダメ!


レミさんの新著には、時短、簡単、だけどすこぶるおいしい自炊料理がたくさん。毎日の食事を「一人ごはんは楽しい!」にきっと変えてくれるだろう。


(取材:インタビューマン山下)

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