地下鉄サリン事件と福島第一原発事故…2つの現場の最前線に立った自衛官
日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’25』(毎週日曜24:55〜)では、地下鉄サリン事件と福島第一原発事故という2つの現場の最前線に立った自衛官を取材した『あの日、わたしも怖かった サリン、放射線と戦った自衛官』を、きょう20日に放送する。
日本を揺るがした地下鉄サリン事件と福島第一原発事故。自衛官として奇しくも両方の現場で任務を命ぜられた人物がいる。
対化学兵器のプロ集団である中央特殊武器防護隊に所属していた宮澤重夫さんは、サリン事件で汚染された地下鉄構内に突入して除染を行い、原発事故では高い放射線のなか建屋の真下にまで接近し、燃料プールへの放水活動を指揮した。
その日付はいずれも3月20日。命の危険もある任務で恐怖に押しつぶされそうになったという宮澤さんや隊員たちが支えにしたものとは。ナレーションは、武田真一が担当する。
○■松嶋洋明ディレクター
「長年、自衛隊を取材してきました。そこで感じた自衛隊の組織的風土は“淡々と粛々”。なにか大きな事案に対応した時、私たちに対して“日頃の訓練通り、問題なく対応いたしました”と総括しがちです。そして現場の自衛官たちの苦労の大半は表に出てくることはありません。これは、自衛官は常に精強であるべきで、苦労を語ったり弱音を吐いたりしてはならないという考え方が浸透しているからではないかと思っています。
今回取材した宮澤重夫さんは、任務でサリンと放射線2つの見えない敵に対処した経験を持つ方ですが、率直に“あの日、わたしも怖かった”と現場で感じた死の恐怖を語っています。その上で、怖いと感じるのは人間だから当たり前、その状態から一歩を踏み出せるかどうかが大切なことだとも話しています。“現場の生の声はなかなか伝わらない、だから自分が伝えているんです”。宮澤さんを通して、あまり知られることのない自衛官のリアルな姿を感じてください」