公立図書館や官公庁の本購入は原則定価で…出版4団体が要求方針、街の書店との取引促す

2025年4月24日(木)5時0分 読売新聞

 出版4団体(日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本出版取次協会、日本書店商業組合連合会)が、公立図書館や官公庁に本を販売する際、原則として定価取引を求める方針を決めたことが23日、分かった。地元書店などからの定価購入を働きかけ、減少が続く街の書店の経営維持につなげることを目指す。

 本や雑誌などの出版物は、再販制度で定価販売を義務づけることが認められているが、出版界は長年、「官公庁等の入札に応じて納入する場合」は適用しないとしてきた。公立図書館では入札による購入が広がり、実質的な値引き競争となっている。

 5〜10%程度の値引きや、本のラミネート加工などが必要となる例があり、地元書店が落札しにくい実態がある。

 出版社や出版取次と、書店は、本の定価販売を義務づける「再販売価格維持契約」を結んでいる。4団体が作成した契約書のひな型には現在、官公庁などに定価販売義務を適用しないとする規定があるが、これを削除する。ひな型の改訂版を5月に公表して周知するとともに、図書館側にも定価取引を働きかけていく方針だ。

 街の書店減少が続き、全国で無書店自治体が増える中、書店の経営安定のため、公立図書館が地元書店から購入し、地域の文化拠点として、共存を図る事例などが注目を集めている。

 日本出版取次協会の田仲幹弘理事(トーハン副社長)は「図書館が街の書店から定価で買えば、経営を支えることに大きく役立つ。自治体には、定価で購入するための資料購入費の増額も求めたい」と話している。

 ◆再販制度=メーカーが決めた販売価格を小売業者に守らせる、いわゆる定価販売制度。独占禁止法は小売価格を拘束する行為を禁じているが、書籍など著作物については、例外的に認めている。

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