“平成の応援ソング”大人気バンドの元メンバーが革命的発明 鶴瓶も絶賛「そんなの誰も思わへん」
2025年4月30日(水)22時24分 スポーツニッポン
テレビ朝日系「鶴瓶孝太郎 転職したら人生○○だった件」(後7・00)が30日、放送され、平成を代表するヒット曲で知られる人気バンドメンバーの意外な転身が紹介された。
第一線で活躍していたスターたちがその後、歩んだ第2の人生に迫る特番で、ゴールデン初進出となった。
番組で紹介されたのは、平成の大人気バンド「大事MANブラザーズバンド」。91年リリースの「それが大事」は、平成を代表する応援ソングとして大人気を博し、180万枚超えのミリオンヒットを記録した。番組では、同バンドでキーボードを担当していた、吉田理恵さん(58)のその後を追った。
バンドは96年に解散。吉田さんはその後、音楽業界ではなく意外な世界に足を踏み入れていた。今の職場は、東京・大田区。産業・技術系の企業が40社以上も入る工場アパートの一角だった。
吉田さんは現在、電気・電子機器の開発メーカーを経営している。会社で開発した3つの製品で、特許を取得しているという。その一つが、飲み込んだ物が誤って気管などに入ってしまう誤嚥(ごえん)がないか確認できる器具。これまで確認が難しかった誤嚥をその場でチェックできるもので、医療業界でも画期的な発明と重宝されているという。また、聴診器からのペットの心音を携帯電話を使って獣医に転送できるシステムも、吉田さんが開発し、特許を取得。総務省や経産省が表彰する、モバイル技術の年間表彰を受賞した。どちらも音に関係する発明品。吉田さんは「音なき音を聴くというのがコンセプトなので。音が元々ないものに音を付けて、音として表現させるというところが売りかなと」と説明した。
かつて、ある楽器を演奏していた経験が「大いに役立っている」という。それは、アナログシンセサイザー。「電圧をこれくらいにするとこういうラッパの音ができるよとか、半音上がると何ヘルツ上がるとか、方程式があって、そういうのを覚えないと音が作れない楽器だったんですよ。昔のシンセサイザーって。電気、物理をまず覚えないとダメで、その独学時代も凄く大きいなと思います」。理系の知識を駆使して、やっと音が出るという難解な楽器だったという。
医療器具の開発に携わるようになったのも、音楽活動と関係があった。世の人たちの背中を押した大ヒット曲「それが大事」。そのせいか、「ピンポイントで私に来るファンレターは、割と障がいのあるお子さんとか、“今入院しています”、“病床から書いています”って感じのファンレターが結構多かったんです」という。
ところが、中には回復叶わず亡くなってしまう人も。「無力感を凄く感じてしまった。無力感を感じること自体、傲慢なんですけど、やっぱり非力だなって思いました。助からないということに関しては」。曲が大ヒットしているさなかでも、そう思い悩んでいたという。「自分たちの音楽というのは、人たちの生きる力の一助にはなったかもしれない。だけど、実際のその子の病気の早期発見や、その子の病気の治療ができるのは医療なので、音を医療の方に持ち込むということをやろうというふうに考えたのは、そのさなかですね」と打ち明けた。
「特許を取ったセンサーとかは、凄いねと言って下さる方もいるんですけど、自分が発明した技術を使った製品を使った方が、“これがあったおかげで助かった”と言ってくれる瞬間が一番うれしいです」。その心意気に、スタジオの落語家・笑福亭鶴瓶は「それを医療に使うってそんなの誰も思わへんよ、音を」と感心しきりだった。