「あまりにも歌がヘタ」「実力不足」批判も越えて…デビュー3周年を迎えたLE SSERAFIMの"転機"《現地記者が解説》
2025年5月2日(金)18時0分 文春オンライン
K-POPガールズグループのLE SSERAFIM(ル セラフィム)がきょう5月2日、デビュー3周年を迎えた。この4月からは初のワールドツアーも開催。「EASY CRAZY HOT」と名付けられたこのツアーは、韓国の仁川(インチョン)を皮切りに、5月からは名古屋、大阪、北九州、埼玉と日本の4都市を巡り、その後アジア各地と北米へ進出する予定である。

ワールドツアーは好調な滑り出し
韓国メディアは仁川公演について、「安定した歌唱力とパワフルなパフォーマンスを完全に消化し、以前の不名誉を洗い流した」(スポーツ傾向)、「ここ1年間、メンバーたちの実力も、チームの成績も上がり、ワールドツアーを始める基盤を作ってきた」(朝鮮日報)、「LE SSERAFIMのことをまともに見ようともせず、全部知っているかのように非難を浴びせた人々にこのコンサートを勧める」(NEWSIS)などの賛辞を送っている。「LE SSERAFIMは実力不足」というデビュー当時からあった批判に反論するかのような、好調な滑り出しを見せているのだ。
そもそもLE SSERAFIMは、韓国の芸能事務所「HYBE」の議長(=会長)でのパン・シヒョク氏“肝いり”のガールズグループとして、2022年のデビュー時から大きな注目を集めてきた。一方で、デビューからのこの3年を振り返ってみれば、決して平坦な道ではなかったと言えるだろう。
ガールズグループに否定的だったワケ
パン氏とは世界的な人気を誇るグループ「BTS」を育てた人物でもあり、敏腕プロデューサーとしても知られる。だが、ガールズグループのプロデュースには否定的な態度を見せていた。それは、かつて心血を注いで作ったガールズグループが、散々な形で幕を下ろした経験からだ。
パン氏が2012年に誕生させたガールズグループ「GLAM(グラム)」は、HYBEの前身の事務所「Big Hit エンターテインメント」に所属する唯一のガールズグループだった。デビュー前のBTSがバックダンサーを務め、BTSのリーダーであるRMはデビュー曲の制作に参加している。だが、会社の全面的なバックアップがあったにもかかわらず、GLAMはなかなか人気を得られなかった。
決定的な出来事が起きたのは2014年のことだった。GLAMのメンバー・ダヒが韓流スターのイ・ビョンホンと飲み会をした際にその様子を盗撮。「わいせつな会話をした映像をネットに流す」などと脅し、50億ウォン(約5億円)を要求するという“事件”が発生したのだ。
パン氏の認識を変えた“多国籍グループ”の大ブレイク
結果、ダヒは恐喝未遂の嫌疑で懲役1年、執行猶予2年を言い渡され、グループは解散に至った。この事件がパン氏にとってトラウマとなったのか、その後Big Hitでは「女子の練習生を選ばない」というジンクスまで囁かれた。
そんなパン氏のガールズグループに対する認識を変えたきっかけが、2018年に結成された多国籍ガールズグループ「IZ*ONE」である。「ガールズグループは管理が大変なだけで金にはならない」という認識が強かったパン氏であったが、IZ*ONEの驚異的なアルバム売上記録に心を動かされたという。
IZ*ONEは「ガールズグループのアルバム売上は多くても10万枚が限界」という業界の常識を破り、アルバムを発売するたびに数十万枚の記録を立て、デビュー3年目の2020年には年間累積売上が100万枚を突破。「ガールズグループもお金になる」という事実を知らしめたのだ。
伝説的なプロデューサーを迎え入れたが……
そうして、パン氏の“鶴の一声”でHYBEの初のガールズグループ発足プロジェクトがスタートする。2019年にガールズグループ専門のレーベル「SOURCE MUSIC」をHYBEの傘下に入れると、老舗の芸能事務所「SMエンタテインメント」出身で伝説的なプロデューサー、ミン・ヒジン氏を迎え入れ、第1号ガールズグループの誕生に拍車をかける。
しかし、IZ*ONEのメンバーだったキム・チェウォンと宮脇咲良をメンバーに入れる過程で、ミン氏とパン氏の間で意見が衝突。ミン氏は「ADOR(アドア)」という新しいレーベルで独自のガールズグループプロジェクトを進めることとなり、以後はパン氏自らがLE SSERAFIMのプロジェクトを指揮することになった。こうして2022年5月、ついにLE SSERAFIMがデビューを果たす。
「PRODUCE48」出身者を中心に構成されたメンバー
IZ*ONEの人気メンバーで、すでに韓国と日本はもちろん、中国でも大きなファンを抱えていた宮脇咲良と、IZ*ONEでリードボーカルを務め輝く存在感を発揮したキム・チェウォン。
そこに、IZ*ONEを生んだオーディション番組「PRODUCE 48」に参加しユニークな歌声と幅広い音域を披露したホ・ユンジン、SOURCE MUSICの練習生だったホン・ウンチェとキム・ガラム(=学校内暴力をはたらいていたという疑惑が浮上し、デビュー直後に脱退)がメンバーに加わった。そしてデビュー直前まで公の情報がほとんどなく、謎に包まれていた日本人メンバー・カズハが合流する。
ミュージックアワードでは新人賞を総なめ
パン氏は統括プロデューサーとして、グループ名だけでなくグループの世界観をも考案し、デビューミニアルバムではタイトル曲「FEARLESS」を含む2曲を自ら作詞作曲するという気合いの入りようだった。
IZ*ONEで活躍した咲良とチェウォンは既に世界的なファンを多数抱えていた。そこに、パン氏自らがプロデュースを手掛け、「BTSの妹分」という話題性まで加えたLE SSERAFIMは、デビューするやいなや大きな注目を集めた。
デビューミニアルバムは初動売上(=発売1週間の売上)が30万枚を超え、K-POPガールズグループのデビューアルバム歴代初動記録を塗り替え、リード曲の「FEARLESS」は韓国の地上波3社の音楽放送で1位を占める“トリプルクラウン”を達成し、年末の各種ミュージックアワードでは新人賞を総なめにした。デビューと同時にK-POP界を揺るがすほどの存在感を発揮したのだ。
大舞台でのパフォーマンスに厳しい評価
デビュー2年目の2023年には初のフルアルバム『UNFORGIVEN』で初動売上枚数は125万8000枚という大記録を達成。米国のビルボードの総合アルバムチャートで、総合首位、「ビルボード200チャート」6位、「日本ビルボード」1位を記録するなど、国外での知名度も上げていった。
だが、2024年4月、米国最大の音楽フェスティバル「Coachella(コーチェラ)」への出演は、彼女たちに思いがけない試練をもたらすこととなる。
YouTubeにアップされたライブ映像のコメント欄や韓国のインターネット・コミュニティには「息は切れるし、声は震えるし、音程も不安定だ」「事務所は準備もできていない子達を送り出した」「このグループはK-POP全体に迷惑をかけている」などと厳しい評価が並んだ。韓国のネットユーザー中心として、LE SSERAFIMのパフォーマンスに対する批判が相次いだのだ。
この時、LE SSERAFIMがこれほど厳しく批判された背景には、K-POP特有のある理由があった。
◇◇◇
この記事の後編 では、LE SSERAFIMが直面したさらなる“試練”や韓国での評価を一変させた出来事についても触れている。
〈 「日本人がレベルを下げている」宮脇咲良(27)に辛辣な声も…LE SSERAFIMの韓国での評価が一変した出来事とは?《現地記者が解説》 〉へ続く
(金 敬哲)
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