「ドライブ・マイ・カー」でアカデミー賞受賞、濱口竜介監督最新作「急に具合が悪くなる」製作決定!
2025年5月7日(水)11時0分 スポーツニッポン
「ドライブ・マイ・カー」で米アカデミー賞国際長編映画賞とカンヌ国際映画祭脚本賞、「悪は存在しない」でベネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞するなど、新作を発表するたびに国内外で高い評価を得ている濱口竜介監督(46)の最新作「急に具合が悪くなる」の製作が決定した。配給・宣伝のビターズ・エンドが7日発表した。
フランス、日本、ドイツ、ベルギーの国際共同製作となる作品は、がんの転移を経験しながら生き抜く哲学者(宮野真生子)と臨床現場の調査を積み重ねた人類学者(磯野真穂)が、20年の学問キャリアと互いの人生をかけて交わした20通の往復書簡「急に具合が悪くなる」(晶文社、2019年)を原作に描かれる。
物語は、パリ郊外の介護施設「自由の庭」を舞台に展開。入居者を人間らしくケアすることを理想とする施設長マリー=ルー・フォンテーヌが、森崎真理というがん闘病中の日本人演出家と出会い、やがて互いの魂を通わせ合うようになる…。
主演には「おとなの恋の測り方」「エル ELLE」(16年)、「ベネデッタ」(23年)など、コメディーからシリアスドラマまで幅広く役柄をこなすベルギー出身の実力派ヴィルジニー・エフィラ(48)と、トップモデル「TAO」として世界をまたにかけて活躍し、映画「ウルヴァリン:SAMURAI」ではヒロイン役を務めるなど女優や映画監督としても注目を集める岡本多緒(39)を起用し、2人の女性の心の交流と、世界に対峙(じ)するさまを描く。
濱口監督は「宮野真生子さん、磯野真穂さんの著作『急に具合が悪くなる』の映画化をここに発表できることを、とても嬉しく思います。原作者のお二人にも、この場を借りて、心よりの御礼をお伝えしたく思います」と2人に感謝しながら、経緯と現況を説明。
「今はパリで撮影の準備をしております。約4年前にオフィス・シロウズの松田広子プロデューサーからこの本を映画原作として提案されてから、ずいぶん長い時間を経ました。お二人の往復書簡から成るこの本を初めて読んだときの感覚は『心を強く動かされた』という言葉では足りません。往復書簡という形式、しかも二人の学者の全キャリアと魂を賭けたような議論に対していったいどう取り組んだらよいかは、まったく見当はつきませんでしたが『映画にしたい』という火が心に灯ったような感覚がありました。その灯火に導かれて、随分と遠くまで来てしまったように思います」
さらに続けて「映画『急に具合が悪くなる』はフランスの介護施設のディレクター・マリー=ルーと、がんを患う日本の劇演出家・真理の間にとある偶然から生じた、出会いと交流を描く物語になります。どうしてこうなったのか、短くは決して説明できないというのが正直なところです。ここまでの曲がりくねった歩みを要約することは不可能に思えます。なので、自分を導いてくれた原作の一節を書きつけることにします。
『関係性を作り上げるとは、握手をして立ち止まることでも、受け止めることでもなく、運動の中でラインを描き続けながら、共に世界を通り抜け、その動きの中で、互いにとって心地よい言葉や身振りを見つけ出し、それを踏み跡として、次の一歩を踏み出してゆく。そういう知覚の伴った運動なのではないでしょうか。』
マリー=ルーをヴィルジニー・エフィラさんが、真理を岡本多緒さんが演じることになります。お仕事を以前から存じてはいたものの、まさかこうしてご一緒できる機会があるとは思っていなかったお二人なので、とても興奮しています。今夏、最高のキャスト・スタッフと撮影する映画『急に具合が悪くなる』が、原作の引いたラインを更に延ばしていくものとなるよう、自分にできることは何でもやるつもりでいます。どうぞ、ご期待ください」とコメントを寄せた。
2026年、全国ロードショー。濱口ワールドに世界の注目が集まる。