渡辺明九段「勝てて良かった」チーム渡辺の“ジグザグ打線炸裂”開幕戦でチーム広瀬に勝利/将棋・ABEMAトーナメント2024

2024年5月12日(日)10時0分 ABEMA TIMES

 普通・変則・普通の“ジグザグ打線”が炸裂だ。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」予選Aリーグ第1試合、チーム渡辺 対 チーム広瀬の模様が5月11日に放送された。前年はよもやの予選敗退と悔しい結果となったチーム渡辺だが、メンバーを1人入れ替えて臨んだ今年は、居飛車党ながらタイプの違う棋士が、それぞれの持ち味を出してスコア5-2で快勝。リーダー渡辺明九段(40)も「(大会)1発目だったんで、非常に緊張感あったんですが、勝てて良かったです」とホッとした笑顔を浮かべた。

【映像】笑顔で試合を振り返るチーム渡辺

 渡辺九段はドラフトで重複抽選を2回も外し、ふと頭に浮かんだ山崎隆之八段(43)を1巡目に指名、2巡目には昨年頼りになった後輩・岡部怜央四段(25)を指名し、チーム渡辺は実質1人を入れ替えるという構成になった。試合前には、チーム名「ジグザグ打線」について「私が勝手に決めました。野球の用語で右バッターと左バッターを交互に並べることです。我々3人は居飛車党で、僕は普通、山崎さん変な棋風、岡部君が普通」と説明、軽く笑いを取ったが試合では、これが見事に機能した。

 トップバッターを任されたのは、自由奔放な棋風で知られる山崎八段。相手のリーダー広瀬章人九段(37)という強敵だったが、むしろ負けてもOKと開き直り、105手で敗れた後も全く後を引きずらなかった。するとこの明るさがうまく伝わったのか、第2局に登場した岡部五段は、大会初出場・杉本和陽五段(32)の固さを見抜くように、疑問手が出たところを咎めて一気に優勢に。そのまま81手で快勝を収め、リーダー渡辺九段にバトンをつないだ。

 ここのところフィッシャールールでは、あまり結果が出ていなかった渡辺九段だったが、流れの良さも手伝ってか、自身1局目から冴えまくった。振り飛車党・黒沢怜生六段(32)の先手番から角交換型振り飛車になると、黒沢五段がひねり飛車に銀冠、渡辺九段は居飛車に左美濃で始まった。展開としては黒沢五段から積極的に仕掛けていく流れになったが、この日の渡辺九段は慌てない。5筋の攻防から、うまく捌いてペースを握ると終盤は怒涛のラッシュ。岡部五段からも「こんなに快勝できるんだ。強っ!」と驚きの声が漏れる快勝譜を作り上げた。

 第4局は広瀬九段が岡部五段に対して意地を見せ勝利、スコア2-2のタイに戻ったが、ここから渡辺采配がズバリと当たる。第5局、山崎八段を送り出し杉本五段に110手で勝利。この試合2勝目を飾ると、続く第6局にも連投を指示。これが大成功で、黒沢五段が後手番から中飛車、かつ穴熊にがっちり囲う中、この戦法に対してあまり苦手意識がなかった山崎八段は序盤からリードを奪うと、そのまま111手で快勝。連勝を飾って、最高の形でリーダーにつないだ。

 プレーヤーとしても、采配するリーダーとしても絶好調の渡辺九段は、自ら最後を締めた。第7局、カド番になったため広瀬九段が登場しリーダー対決になると、渡辺九段は後手番の相掛かりから、落ち着き払った指し回し。仲間から「今日、仕上がっていますね」という声が出るほど手が見えたのか、難解な中盤を抜け出したからは、危なげなくゴール。2戦2勝の活躍で、チームの勝利も決めた。

 昨年、悔しい予選敗退を味わったことを考えれば、出場する棋士全員に緊張が走る開幕戦での快勝は、理想的な展開だ。試合後、渡辺九段は「1試合目、いい形でスタートが切れました」とニッコリ。2勝と活躍した山崎八段も「任された場面で、いい結果が出せるように。1勝するとこの場にいるのが急に楽しくなる」と微笑んだ。

 ドラフト会議での顛末を考えれば、急ごしらえという感もあったチーム渡辺。地力ある3人だけに、ハマれば一躍大会の目玉になってくる。

◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

ABEMA TIMES

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