「アンパンマンのマーチでお芝居を」「薙刀を振って」NHK朝ドラ『あんぱん』今田美桜が明かした“過酷オーディション”の中身
2025年5月19日(月)7時0分 文春オンライン
難関は「土佐弁」?
有働 現在放送中のNHK連続テレビ小説『あんぱん』は、「アンパンマン」を生み出したやなせたかしさんと暢(のぶ)さん夫妻をモデルにした作品です。今田さんはヒロインの朝田のぶ役を務めていますが、セリフ量が多くて大変ではないですか?
今田 もちろん量は多いのですが、夫・柳井嵩(たかし)役の北村匠海さんもかなりセリフが多いので、うまく分担できていると思います。

有働 もともと台本を覚えるのは苦手ではない?
今田 役によりますね。専門用語が多いとなかなか入ってこないですが、そうでなければ早く覚えられます。ただ、今回は土佐弁なので。
有働 そうだ、ドラマの最初の舞台が高知県ですものね。
今田 すべて方言というのは経験がなく、最初はひたすら読んで覚えようとしていましたが、今は音で覚える方がいいと気が付きました。
有働 土佐弁ってどんな方言でしたっけ?
今田 「〜やき」「〜しちゅうがよ」とか、語尾がかわいらしいんです。関西と九州の方言と標準語が混ざったような。文字だけ見て関西弁っぽいかなと思っていたら違った、というひっかけもあったり。
有働 ひっかけ問題だ。
今田 イントネーションは関西より九州の方が近いのかなとも思います。私が福岡出身なので九州っぽい分には問題ないのですが、必ずしもそうではないのが難しいところ。
有働 土佐弁は、坂本龍馬的なイメージしかありませんでした。
今田 「ぜよ」は意外と使っていないです(笑)。方言指導の先生によると、「ぜよ」はかなり昔の方が使う言葉のようです。皆さんが知っている土佐弁だからこそ、私のおじいちゃん役の吉田鋼太郎さんが、ここぞというセリフに入れるくらいですね。
「アンパンマンのマーチ」の歌詞でお芝居してください
有働 今回のヒロインはオーディションによる選考で、3365人もの応募者の中から今田さんが選ばれたそうですね。合格するまでには、どんな審査がありましたか?
今田 最初は書類審査です。朝ドラのオーディションには、数問のお題に直筆で思うことを書く審査があるのですが、今回はやなせたかしさんに関するお題でした。
有働 へぇ、直筆なんですね。ドラマ内で文字を書くこともあるので、チェックするのでしょうか。
今田 たしかにそうかもしれないですね。書類審査の次はビデオ審査がありました。今回の課題は、やなせさんが書いた「アンパンマンのマーチ」の歌詞をセリフとして、お芝居してくださいというもの。私は今までで一番難しいなと思いました。
有働 それは難しそう。
今田 台本にト書きで、親友がこうして、裏切られた感情で……などと書かれていて、それを歌詞に乗せて演じてもいいし、歌ってもいいと。とても悩みましたが、面白い課題でしたね。
有働 ビデオ審査を通過したら、次はグループ審査ですか。
今田 そうです。NHKさんへ行ったら、突然、薙刀を振ってみてくださいと言われて。しかも次は、やなせさんが書いた「手のひらを太陽に」の歌詞の一部を言いながらやってくださいと(笑)。事前に言われていなかったので驚きました。
有働 薙刀を持って!? なんでやろか、意図がわからない。
今田 後でわかったのですが、のぶが学生時代に薙刀を習うんです。
※この対談の全文(約8300字)は「文藝春秋」2025年6月号と、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(今田美桜×有働由美子「 自分の顔を食べさせるって、すごい自己犠牲 」)。全文では、下記の内容をお読みいただけます。
・緊張感のある場に挑戦したい
・合格発表のサプライズ
・福岡で一番かわいい女の子
・朝まで飲んでしまうことも
・歌とダンスは苦手です
(今田 美桜,有働 由美子/文藝春秋 2025年6月号)