スタッフから「ちょっとお腹出てるな」と…三つ子を出産したモデル・紗世(SAYO)が語る、妊娠を隠して挑んだグラビア撮影

2025年5月24日(土)12時0分 文春オンライン

〈 周りから「まだ脱いでるの?」「そういう撮り方はやめて」と…海外から取材殺到した三つ子母のモデル・紗世(SAYO)が明かす撮影秘話 〉から続く


 Instagramでのセクシーな投稿をきっかけにアメリカの一流雑誌『PLAYBOY』の表紙を飾り、「謎の日本人女性」として話題になったモデルの紗世(SAYO)さん。世界中の有名雑誌に次々と掲載されるも、国内メディアでの露出はほとんどなくベールに包まれていた紗世さんは今、三つ子を含む4人の子育てに奮闘していた。


 そんな紗世さんに、過去の下積み時代から三つ子育児のリアルなどについて聞いた。(全3回の3回目/ 最初 から読む)



モデルの紗世(SAYO)さん


◆◆◆


結婚や妊娠に迷いはなかったが…


——モデルの活動を海外で始めるようになってから結婚をされたそうですが、パートナーの方も紗世さんの仕事を応援してくれている?


紗世さん(以降、紗世) 彼は私の仕事に対してあまり関心がないんです。なので、「自分の好きなようにやればいいんじゃない?」というスタンスで、ある意味では自由にさせてくれています。


——パートナーの方は紗世さんのインスタも見ていない?


紗世 感想をもらったことがないので、おそらく見ていないと思います。


——日本では結婚を機にグラビアアイドルをやめる人もいます。キャリアと結婚の狭間で悩むことはありましたか。


紗世 いつか子どもが欲しいという思いがあったので、迷いはありませんでした。


 ただ、結婚を発表したその日にフォロワーが一気に5000人ほど減ってしまって(笑)。そういった反応には、正直少し驚きましたね。


——わかりやすく変化があったんですね。


紗世 当時はやはり、男性のフォロワーの方に支えられていた部分が大きかったのだと思います。


 でも、肌の露出がなくても応援し続けてくださる方がいるのであれば、それだけで十分だなと思えるようになりました。


——結婚後は、露出を控えようと考えていた?


紗世 少しずつ布の面積を増やして、ゆるやかにイメージチェンジをしようと考えていた矢先に子どもを授かりました。それを機に、自然と露出の多いお仕事からは距離を置くようになりました。


——2022年に第1子が誕生したということですが、活躍が目覚ましい中での妊娠・出産ということで、プレッシャーや迷いはなかった?


紗世 迷いはありませんでした。ただ、当時は本当にありがたいことに多くのお仕事をいただいていた時期だったので、「自分はいつまで現場に立てるのだろう」と、そのことばかりを考えていました。


——お腹が目立ち始めるタイミングまでグラビアの仕事を続けていた?


紗世 現場で周りの方に気をつかわせたくなかったので、妊娠のことは誰にも伝えずに、体の角度などに気をつけながらギリギリまで撮影を続けていました。


 でも後になって、スタッフの方に「実はちょっとお腹出てるなって思ってたんだよね」って言われて(笑)。


——産後、体形を戻す苦労はなかったですか? 


紗世 体重に関しては、比較的すぐに戻ったんですけど、胸はもう“役目を終えました”って感じで(笑)。以前のようなハリは戻らなかったですね。


不安と向かい合いながら迎えた三つ子の出産


——その2年後に三つ子を出産されます。きょうだいが欲しかった?


紗世 いつかは欲しいなとは思っていましたが、正直、三つ子というのはまったくの想定外でした。


 実は少し前に、自分の卵子を凍結していて、その際に使ったお薬の影響かな……なんて、あれこれ考えたりもしましたが、とにかく最初は驚きしかありませんでした。


——三つ子だと聞いたら驚きますよね。


紗世 医師から「心臓が3つ見えます」と言われたときは、嬉しいというよりも、とにかく驚きのほうが大きくて。隣の部屋から他の先生が覗きに来るくらいでしたから、本当に珍しいケースだったんだと思います。


 ただ、その時点では無事に産まれてこられるかどうかもわからない状況だったので、三つ子だということは、生まれるまで身内にも伝えることが出来ませんでした。


——三つ子というだけでハイリスクということで。


紗世 そうなんです。母体にとっても、赤ちゃんたちにとっても非常にリスクが高いと言われていて。検診のたびに、医師から「このまま続けるかどうか」を確認されました。最初に突きつけられたのは、“命の選択”でした。


——それは3人の子のうち誰かを諦めるという意味?


紗世 多胎妊娠は早産のリスクが非常に高いため、「1人、2人を減らす」という選択をする方もいるそうです。


 でも、私の中では誰かを諦めるという選択肢は最初からありませんでした。だからこそ、無事に産まれてきてくれるかどうかがずっと不安で、人に話すこともできず、隠れるように毎日を過ごしていました。


——早産だったそうですね。


紗世 予定よりも3ヶ月も早く産まれました。


——急に産気づいて、そのまま出産というかたちだったのでしょうか。


紗世 本当に突然のことで、恐怖しかありませんでした。生まれてきた子どもたちは、想像を遥かに超えるほど小さくて、肌は透けるほど薄く、命がそこにあることが奇跡のように思えました。


——赤ちゃんと一緒に過ごすような時間もなく?


紗世 触れることすら許されませんでした。撫でるだけでも血流が促されてしまい、それが赤ちゃんにとって負担になることがあるそうで…。


 NICUの保育器の中で、たくさんの管につながれている子たちを、ただ見つめることしかできなくて。母親として何もしてあげられないことがつらくて、悔しくて、ただ泣くことしかできませんでした。


——大変な時期を過ごされたんですね。少し安心できるようになったのはいつ頃でしたか。


紗世 生まれてから約3ヶ月後。自力でしっかりと呼吸ができるようになって、ようやく退院の許可をいただいたときです。NICUでの日々は、まさに祈るような気持ちの連続だったので、「この子たちと一緒にお家に帰れる」と実感できた瞬間は、言葉にならないほどの喜びでした。


——今は無事に三つ子のお子さんたちもご自宅で過ごせるようになったということですが、3人の見分けはつきますか。


紗世 本当にそっくりで(笑)。特に寝ているときなんかは見分けがつかなくなるので、足の爪にカラーマニキュアを塗って区別しています。お薬やミルクの量を間違えたら大変なので。


子育てに奮闘する日々


——2歳のお子さんと0歳の三つ子の子育てということで、どのように日々を回しているのでしょうか。


紗世 毎日が本当にめまぐるしいですが、信頼しているシッターさん達のサポートに助けられながら、なんとか日々を乗り越えています。


——シッターさんは何人ぐらいいらっしゃるんですか?


紗世 最初は18人くらいのシッターさんがいましたが今は15人です。未熟児だとミルクも少しずつしか飲めず、ミルクの間隔も短く、夜間も眠れずで、同じ時間に2、3人のプロのシッターさんがいても本当に大変そうでした。


——乳児3人と幼児1人を24時間交代でみるためにシフトを組まないといけないと。


紗世 シッターさんに無理がないように、全員のスケジュールをパズルのように組み合わせながらシフト表を作っています。それだけでも本当に大変で、もはや小さな会社を経営しているような気分です(笑)。


 でも、やっぱりプロの方がそばにいてくださると、ものすごく心強いんです。誰かが必ず抱っこしてくれて、全員に平等に目を配ってくれる。


「なんで泣いてるのかな」「このうんちの色って大丈夫?」とか、そんなささいなことも、1人だとすぐに不安になってしまうんですけど、専門的な知識と経験のある方がそばにいると、精神的にも本当に支えられています。


——今は離乳食ですか。


紗世 まだなんです。修正月齢で見るとマイナス3カ月なので、今はまだミルクだけです。もうすぐ離乳食が始まる予定ですが、想像するだけでなかなか大変そうです(笑)。


——他に大変なシーンはどんな時ですか。


紗世 一人が風邪をひくと、順番に全員にうつって、大人にも感染して、今度は大人が倒れて……という“無限ループ”です(笑)。


 ただでさえ日常的にお薬を飲んでいるのに、それに加えて服薬、吸入、吸引がどんどん増えていって、薬を与えるだけでも本当に一苦労です。


 今朝は、上の子が「体がかゆい」と言い出したので皮膚科に連れて行きました。最近は毎日のように誰かが病院通いで、1日に何往復もすることも珍しくありません。なので、子どもたちの保険証は常にバッグに入れっぱなしです。


「謎の日本人女性」というキャッチコピーに思うことは…


——あのラグジュアリーなインスタの世界とはまた違う、普段の紗世さんの姿ですね。


紗世 子どもたちに振り回されながら、気づけば一日が終わっています。


——今日は普段の紗世さんのこともたくさんお話しいただきましたが、「謎の日本人女性」というキャッチコピーはあまりもう気にしない?


紗世 気づいたら、いつの間にか“謎の女”って呼ばれるようになってましたね(笑)。どう見られているかを気にすることは、今ではほとんどなくなりました。


 というのも、カッコつけてる余裕なんて本当にないんです。他のお母さんたちと同じように、毎日子育てのことで頭がいっぱいで。


 私の裏アカウントでフォローしてるのは子育て情報ばっかりですよ(笑)。


写真=三宅史郎/文藝春秋


(小泉 なつみ)

文春オンライン

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