『燃えあがる女性記者たち』スマホを手にしたカースト最下層の女性記者たちを追う予告編解禁

2023年8月4日(金)13時0分 シネマカフェ

『燃えあがる女性記者たち』©BLACK TICKET FILMS. ALL RIGHTS RESERVED.

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インド北部、カースト最下層として差別を受けるダリト(ダリット)の女性たちが立ちあげた新聞社「カバル・ラハリヤ」(ニュースの波)の女性記者たちを追ったドキュメンタリー映画『燃えあがる女性記者たち』の公開日が、9月16日(土)に決定。その予告編が解禁となった。




本作の舞台は、インドで最も人口の多いウッタル・プラデーシュ州(人口2億人)の中心部。同州は、悪名高いレベルの汚職、女性に対する暴力や社会的少数者への残忍な抑圧が行われていることでも知られる。問題をさらに複雑化しているのは、同州の多くの地域が、メディアにとって闇の地域のままであること。

このような背景の中、インドで唯一、カースト最下層に属する女性たちが運営する新聞社「カバル・ラハリヤ」(KL)の仕事ぶりを、本作では目撃できる。

KLの主任記者である32歳のミーラは残忍なレイプ事件を取材しており、物語が展開するにつれ、ウッタル・プラデーシュ州に蔓延する暴力、そしてダリト女性であることの難しさが浮き彫りになる。貧しいダリトの家庭に生まれ、14歳で結婚したミーラは、保守的な文化に逆らい教育を受け、KLの記者になった。

当時、創刊15年目を迎えた同紙は、デジタルニュースに移行。ミーラはこの取り組みを任され、同社を地域の有力なデジタルニュース社に変革するため、読み書きがあまり得意ではない人も含め、専門的な研修を受けた28人の記者からなるチームを率いる。

彼女のチームが初めてデジタルデモクラシーを経験する中、汚職、女性に対する暴力、壊れた道路や不十分な公衆衛生などの問題を報じた彼女たちの映像は人気を集め始め、男性が経営するほかの大手メディアをざわつかせる。

映画では脅迫、危険、希望、そして犠牲に満ちたこのストーリーを、主人公のミーラと彼女の活発な”弟子”スニータの視点から見ることになる。

なお、公開に伴い、本作を手掛けたリントゥ・トーマス、スシュミト・ゴーシュ監督も来日予定。各界からオピニオンコメントも到着している。

『新聞記者』のモデルとなった望月衣塑子(東京新聞記者)は、「カースト制のさらに下に位置する『ダリト』の女たちが作り出したメディアが、身分差別社会インドを変革する。侮蔑する男をものともせず、貧困に苦しむ人々と為政者のギャップにカメラを向け続ける。『怯むな、前に進め』。メディアに携わるあらゆる人々がみるべき映画だ」とコメント。

また、安田菜津紀(メディアNPO Dialogue for People 副代表/フォトジャーナリスト)は、「カーストの壁、家族という呪縛、世間の目、そして女であること——幾重にも折り重なり、のしかかる差別構造の中、消されてきた声を拾い続ける記者たちの姿は、暗闇の中でなお輝く、民主主義の灯そのものだ」とコメントを寄せている。

『燃えあがる女性記者たち』は9月16(土)より渋谷ユーロスペースほか全国にて順次公開。

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