世界初の「人間とロボットの共走」マラソン、ロボチームの最終調整に密着―中国
2025年4月17日(木)9時30分 Record China
人間と人型ロボットが共に走る世界初のハーフマラソン大会が19日に北京で行われる。
人間と人型ロボットが共に走る世界初のハーフマラソン大会が19日午前7時30分、北京亦荘(北京経済技術開発区)で始まる。北京スマートeスポーツイベントセンターではこのほど、ロボット出場チームがシミュレーションやロードテストによりロボットの性能をさらに高め、公式デビューに向けた最終調整を行っている様子が見られた。新華社が伝えた。
2025北京亦荘ハーフマラソン並びに人型ロボットハーフマラソンは、人間とロボットによる21.0975キロメートルの共走という革新的な開催形式を採用。9000人以上のアマチュアランナーと20社近くのロボット企業が出場する見込み。
テスト会場となった北京スマートeスポーツイベントセンターのアスファルト道路は、大会の道路状況に近い。テスト走行では、人型ロボットが時速10キロメートル前後のペースで走行しており、電源を切らずに10数秒以内にバッテリー交換を行うことも可能だった。このほか、ロボット本体と関節へのランニングによる衝撃を軽減するため、保護用の「スポーツシューズ」を履いた人型ロボットも見られた。
主催者側はテスト会場で、各ロボット出場チーム向けの個別の作業室を設け、ロボットの組立、テスト、最適化を容易にした。北京経済技術開発区管理委員会の梁靚副会長は、「組織委員会は今回のハーフマラソンコースを丁寧に設定した。自然、人文、科学技術の要素を取り入れ、南海子公園、文博大橋、泡桐大道などのランドマーク的スポットを通過するようにした」と説明した。
今大会のコースはロボットにとって簡単ではない。平坦なアスファルト道路だけでなく、凹凸やひび割れのある路面もあれば、緩やかな長い坂道や急な短い坂道もあり、石畳、草地、砂利道などのエリアもある。ロボットは正確にペースや姿勢を調整し、動力とブレーキを適切にコントロールする必要がある。
「天工チーム」の技術責任者の郭宜劼氏は、「人型ロボットのマラソンはエンボディドAI『大小脳』や本体設計の最適化などの準備段階が必要だ。具体的に見ると、エンボディドAIではまず、ランニングの速度を持続的に高め、関節のトルクや回転速度の限界値を探る必要がある。次に、運動の安定性を高める。人型ロボットの運動中の自身の状態と環境状態への感知の精度を高め、それに応じた調整を行う。このほか、ロボットのランニングをより人間に近づけるため、人間の運動データを取り込むことで、『自然な走り方』を実現することも必要だ」と説明した。
資料写真 ロボット本体の設計においては、郭氏は「構造の軽量化と強度のバランスの最適化が必要である上、足のカップリング設計を行い、熱伝導および空冷技術を改善し、運動の安定性と航続能力を高める必要がある」と述べた。
競技形式については、人型ロボットのマラソンはモータースポーツのレースに似ている。ロボットはチーム単位で出場し、同時に走る人間のペースメーカー、オペレーター、エンジニアを帯同する。バッテリー交換は自動車のレースのタイヤ交換に似ており、スタート方法も個別にタイムを計測する「クオリファイング」形式を採用する。
梁氏は、「人型ロボットと人間が共走するマラソンは、主催者側、出場チーム、人間のランナー、観客にとっていずれも世界初となる。ロボット大会の開催は終点ではなく、産業発展と交流の新たな出発点だ。外部が包容と励ましのまなざしをもって接してほしい。人型ロボットは人間に寄与するための存在で、その小さな一歩は人間の科学技術発展の大きな一歩になるだろう」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/YF)