暗殺者が「緑茶」に混ぜた危険すぎる毒物、仕掛けた側もタダじゃ済まないヤバイ代物とは

2025年4月23日(水)8時0分 ダイヤモンドオンライン

暗殺者が「緑茶」に混ぜた危険すぎる毒物、仕掛けた側もタダじゃ済まないヤバイ代物とは

写真はイメージです Photo:PIXTA

2006年に亡命先のイギリスで暗殺されたロシアの秘密情報機関職員、アレクサンドル・リトビネンコ氏。ロンドン警視庁の捜査により、実行犯として名前が挙がったのが「アンドレイ・ルゴボイ」と「ドミトリ・コフトゥン」の2人だった。そんななか、夫の死の真相を確かめるべく、リトビネンコ氏の妻、マリーナ・リトビネンコ氏がプーチン大統領に送った手紙の内容とは?※本稿は、小倉孝保『プーチンに勝った主婦 マリーナ・リトビネンコの闘いの記録』(集英社新書)の一部を抜粋・編集したものです。

リトビネンコは母国の裏切者?ロシア側は「殺されて当然」の認識

 ロシアの秘密情報機関からはアレクサンドル・リトビネンコに対し、「裏切り者」と激しい批判が出た。

 ベレゾフスキー暗殺命令の暴露(※1)だけでなく、英国に亡命して以降も、モスクワなどでのアパート連続爆破テロをFSB(※2)の工作と主張し、秘密裏にMI6(※3)に協力していたからだ。(※1)…反プーチン勢力の一人、ロシアの実業家ボリス・ベレゾフスキー氏の暗殺について秘密情報機関KGB(ソ連国家保安委員会)に指示されたことをリトビネンコ氏が暴露した会見(※2)…KGB解体後に設立されたロシア連邦保安庁(※3)…イギリスの秘密情報部。別名SIS

 FSBでかつてリトビネンコの上司だったアレクサンドル・グサクは事件後、英メディアに対し、殺されて当然だとの認識さえ示している。グサクはFSBを退職し弁護士になっていた。

「私は弁護士として話すが、リトビネンコの行為は刑法第275条に違反する。国家反逆罪だ。罰則は最高で懲役20年。ソ連時代なら死刑を宣告されていただろう」

 ロンドン警視庁は容疑を殺人未遂から殺人に切り替えた(※4)。ロシア検察幹部は容疑者が国内にいる場合、身柄の引き渡しは難しいと牽制(けんせい)し、「憲法が国民の引き渡しを禁じている」と理由を説明した。(※4)…編集部注/リトビネンコ氏は亡命先のイギリスで生活していたが、2006年11月1日以降に体調不良を訴えるように。入院後も病状が悪化するなか、同氏はメディアを通して「ロシア政府にやられた」と主張し、ロンドン警視庁が捜査に乗り出した。リトビネンコ氏本人の証言や、ホテルのバーに残された放射性物質の痕跡調査によって実行犯2名が判明。しかし、彼らはすでにロシアに帰国していた

 年が明けると、英国政府は容疑者引き渡し要求の準備に入る。有力紙ガーディアンは2007年1月26日、こう報じた。

〈政府はリトビネンコ氏のポロニウム210による毒殺事件で、ロシア人実業家の引き渡しを要求する準備を進めている。アンドレイ・ルゴボイ氏(※5)を訴追するための証拠はあると警視庁は主張している〉(※5)…編集部注/イギリスのホテルのバーでリトビネンコ氏と会談し、同氏に放射性物質のポロニウム210入りの緑茶を飲ませたとされる人物

 検察はルゴボイを先に訴追し、コフトゥン(※6)を後にする方針だった。(※6)…編集部注/リトビネンコ氏とルゴボイの会談に同席

 ロシア検察幹部が言う通り、この国の憲法は政府が国民を強制的に国外に出すのを禁じている。権力者が恣意(しい)的に追放しないよう、政府をしばるための条項だ。

 ルゴボイはモスクワで記者会見を開き、潔白を主張した。

「妻や子どもを危険にさらしてまで、危険な物質を扱うだろうか。バカげている。誰かが私を陥れようとしている。わけがわからない」

 身柄が引き渡される可能性はないと確信していたのだろう。笑みを浮かべる余裕を見せ、バーでのやりとりについて説明した。

「彼(リトビネンコ)は何も注文しなかった。私たちも彼に何も与えていない。それは100%断言できる」


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