プーチン大統領、ウクライナとの国境付近に「緩衝地帯」設ける方針…侵略拡大の正当化ねらいか
2025年5月23日(金)10時51分 読売新聞
プーチン大統領(22日、モスクワで)=ロイター
ロシアのプーチン大統領は22日の政府会合で、ウクライナとの国境付近のロシア西部に「緩衝地帯」を設ける方針だと明らかにした。露西部ではウクライナ軍の無人機攻撃が続いており、攻撃を封じたい考えとみられる。ウクライナ北東部スムイ州などへの越境攻撃を正当化する狙いもありそうだ。
プーチン氏は会合で、露領防衛のために「安全保障上、国境沿いに必要となる緩衝地帯を設置する決定が下った」と述べ、露軍が任務にあたっていると説明した。具体的な地域には言及していない。国境沿いの露西部クルスク、ベルゴロド、ブリャンスク各州ではウクライナ軍の無人機攻撃が続く。緩衝地帯の設置は自国民の安全を守るために欠かせないと判断した模様だ。
プーチン氏が20日にクルスク州を訪問した際、地元当局者がスムイ州に緩衝地帯を設けるようプーチン氏に要請する場面があった。プーチン氏が設置すると表明した緩衝地帯はスムイ州を想定している可能性があり、今後はスムイ州への攻撃が激化しそうだ。16日にトルコで行われたロシアとウクライナの高官級協議では、露側がスムイ州の割譲を求めたとも報じられている。