国連総会第3委、北朝鮮人権決議案を採択…脱北者の強制送還に懸念

2023年11月16日(木)18時3分 デイリーNKジャパン

国連総会で人権問題を担当する第3委員会は15日、北朝鮮による人権侵害を非難する欧州連合(EU)提出の決議案を議場の総意(コンセンサス方式)により投票なしで採択した。


2005年から19年連続で採択された北朝鮮人権決議案は来月、国連総会本会議に上程される。


決議案の内容は大部分が昨年と同じだが、今年は新たに「全ての加盟国が根本的な『強制送還禁止の原則』を尊重するよう強く促す」とのメッセージが加えられた。北朝鮮が新型コロナウイルス対策として取ってきた国境封鎖が解除され、中国で拘束されていた脱北者の強制送還が再開された状況に懸念を示したものと言える。


また、これと関連し、加盟国が拷問等禁止条約を守るように求める内容も含まれた。


国連拷問等禁止条約は「いかなる当事国も拷問を受ける危険があると信じるほどの相当な根拠がある他の国に個人を追放・送還、または導いてはならない」と定めている。中国は拷問禁止条約の加盟国だが、脱北者を単なる不法入国者と見なし、同条約の対象とは認めていない。


一方、決議案は日本人などの拉致問題について「深刻な懸念」を表明し、北朝鮮に対して全ての拉致被害者の即時帰国を要求した。


なお、決議案には日韓などが共同提案国に名を連ねた一方、中国やロシア、イランなどはコンセンサスに加わらなかった。

デイリーNKジャパン

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