北朝鮮、全国的な「ニセ薬」製造販売組織を摘発

2022年11月26日(土)6時8分 デイリーNKジャパン

医薬品の不足が深刻な北朝鮮で、ニセ薬を生産・販売していたグループが摘発された。


咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、2020年から咸興(ハムン)で複数種のニセ薬を大量生産し、首都・平壌や流通の中心地である平城(ピョンソン)に、黄海北道(ファンヘブクト)の沙里院(サリウォン)、黄海南道(ファンヘナムド)の海州(ヘジュ)などで販売していた4人が、15日に逮捕された。


北朝鮮は2020年1月、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐために国境を封鎖、貿易を停止したことで、多くを中国からの輸入に頼っている医薬品が深刻な不足に陥った。


4人はこれをチャンスと見てニセ薬を生産し、病院や薬局で販売される薬の半額で販売していた。


ちなみに咸興には科学研究分院、咸興化学工業大学、興南製薬工場があり、通常の医薬品はもちろんのこと、覚せい剤の密造も広く行われていたことで知られている。



咸興では昨年にも、ニセ薬を作っていたグループが摘発されたが、同様の事件が再発したことで、咸興市安全部(警察署)は4人を取り調べ、各地の販売網に関する情報を得て、現地の安全部に通報した。これを受けて平壌市安全部などは、販売業者の逮捕に乗り出している。


情報筋によると、当局は捜査を全国規模で行っており、ニセ薬の製造・販売に関わった者を厳しく罰しているため、逮捕された4人をはじめとしてグループ全体に重い処分が下されると予想される。


その一方で情報筋は、ニセ薬が蔓延する理由として医薬品不足を挙げ、「ニセ薬製造や販売の取り締まりや処罰も大切だが、それよりも病院と薬局に薬を適時に供給する対策を立てるほうが重要ではないか」と指摘した。

デイリーNKジャパン

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