順天堂大×IBM、入院患者の退院後に適した医療機関に転院を支援するシステム

2025年2月4日(火)17時13分 マイナビニュース


順天堂大学と日本IBMは2月4日、都内で説明会を開き、順天堂大学医学部附属属順天堂医院の入院患者に対し、退院後の最適な医療機関への転院を支援する「Patient Flow Management(PFM) AIマッチングシステム」の構築・運用に向けた取り組みを開始したと発表した。
これまでもさまざまな取り組みを進めてきた順天堂大とIBM
これにより、入院患者それぞれの住所や病名などの個人的な情報をもとに、入院患者が最適な医療機関に転院できる仕組みを構築するほか、新システムは各医療機関との連携を強固にする仕組みであり、行政が求める医療機関の機能に応じた役割分担を確立し、地域医療連携を推進することが期待されているという。
説明会の冒頭で日本IBM 執行役員の金子達哉氏は、同社と順天堂大学との取り組みに関する変遷を説明した。
これまで両者は、さまざまな取り組みを実施しており、2020年に脳神経内科領域で大学病院初の遠隔診療を開始し、2022年にはメタバースを用いた「順天堂バーチャルホスピタル」の運用を開始した。2023年に日本IBM製電子カルテを運用開始したほか、脳の健康度にもとづいた日本初の「金融商品適合性チェック支援AIアプリ」を開発。
2024年には病床数稼働率をオンタイムで表示する「コックピット」の運用開始に加え、順天堂バーチャルホスピタルと連動したAIアバターによる病院案内の運用開始、そして今回、PFM AIマッチングシステムの構築・運用に向けた取り組みを開始する。
日本の医療における課題を解決するPFM
続いて、順天堂大学医学部附属順天堂医院 副院長/ 医療サービス支援センター センター長 順天堂大学大学院医学研究科膠原病・リウマチ内科学 教授の山路健氏は、日本の医療における課題、解決策について以下のように説明した。
「超高齢化社会に耐えうる医療提供体制の構築が求められている。そのモデルとして『地域包括ケアシステム』という概念、体制が提唱されており、医療機関の機能に応じたい役割分担、そのほかの医療機能を有する医療機関との連携強化が急務となっている。そのため、近年ではPatient Flow Management(PFM)の概念が発達している。これは、入院前から患者さんの基本情報を集めて、入院中にもアセスメントを加え、適切な時期・環境に転院ないしは退院していただくための問題解決に努め、退院後もサポートしていくというもの」(山路氏)
PFMの基本情報は入院の目的や就労の有無、家族構成、内服薬の有無、栄養状態、食事摂取時の介助の有無、運動障害の有無など多岐にわたる。退院時・退院後も摂食・嚥下、呼吸、循環運動機能といったリハビリテーション、痛みであればペインクリニック、緩和ケアをはじめとしたサポートを行う。
山路氏によると、順天堂医院における年間の退院患者数は約3万人でうち95%(2万8500人)の患者は自宅、3%(900人)は在宅支援診療所などへの逆紹介(在宅調整)、2%(600人)は他医療機関への転院(転院調整)となっている。
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