慶応大、難分解性のポリプロピレンを分解する微生物を鎌倉で発見
2025年3月6日(木)6時15分 マイナビニュース
慶應義塾大学(慶応大)は、プラスチックの一種で添加剤を含まないポリプロピレン(PP)を分解することができる微生物を鎌倉市の土壌より発見したことを発表した。
同成果は、同大理工学部 生命情報学科4年の國分健士郎氏、慶應義塾先端科学技術研究センター研究員の黄穎氏、同大理工学部の宮本憲二 教授らで構成される研究グループによるもの。詳細は3月8日に開催される「日本農芸化学会」で発表される予定だという。
プラスチックはその分解のしづらさから、環境への負荷が高いとして社会問題となっている。特にポリオレフィン系プラスチックは難分解性で、中でもPPは自然界での微生物分解が非常に困難であることが知られている。これまでの研究から、PP分解菌に関する報告はあったものの、いずれも市販品のさまざまな添加物を含むPPを用いており、本当にPPを食べて分解しているのが不確かなものであったという。
同大は2022年10〜12月にかけて鎌倉市の小学校にて、、科学技術振興機構(JST)共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)リスペクトでつながる「共生アップサイクル社会」共創拠点の一環として、「地球に還るストロープロジェクト」を実施、給食で使用するプラスチックストローをポリエチレン(PE)やPPなどの生分解が困難とされる非分解性プラスチックを酸化型生分解性プラスチックへと導く添加剤「P-Life」を添加したPPストローに置き換えることで、微生物の力で分解し、土に還す実証実験を実施したが、その実証実験終了後も1年半にわたって土壌へのプラスチックストローや水分の補給を行い、微生物の培養実験を継続。その間、研究グループは、この土壌にはP-Life添加PPストローだけなく、強いPP分解菌も存在するのではないかと予測、PP分解菌の探索の実施を行うこととしたという。
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