カレー沢薫の時流漂流 第343回 リチウムイオン電池の捨て方、解明したら博士か大臣になれるかも

2025年3月17日(月)15時57分 マイナビニュース


去年「界隈」という言い回しが流行り、特に「風呂キャンセル界隈」と「伊能忠敬界隈」の2大界隈がSNS上でバズっていた。
両者とも主にネタとして使われていたが、風呂入らな過ぎも日本列島歩きすぎも根底にはメンタルの病(ビョウ)が潜んでいる場合があるため、ネタとして消費するのも考え物であるという、意味が分かると怖い話みたいな指摘もあり、否定できないのも事実だ。
風呂に入れない、歯みがきができないなど、身だしなみが疎かになるのは、精神の不調による「セルフネグレクト」の一種であり、部屋が汚いというのもその一つであり、特殊清掃の人も「我々が出動するレベルの方はもはや『だらしない』など性格の問題ではない」と言っている。
だが病(ビョウ)によりできない人もいる、と主張する人間ほど性格の問題でできないタイプだったりするため、我々の論争はつきないのだが、いつか「どんな汚い部屋よりも今俺たちが汚しているXのおすすめ欄よりは汚くない」という結論に至れる日を夢見ている。
部屋が汚いにも様々な理由があり、「汚い」と「物が多くて狭い」もまた別の話である。特に年を取ると物を捨てずに貯めこみがちになる。
先日私の義父が亡くなり、夫が実家の片づけ通っているのだが「何故か掃除機が3台あった」として、1台サルベージして帰って来た。
その結果我が家は掃除機が2台となり「歴史は繰り返す」という感じになっているのだが、同じ電化製品や家具が何個もあるという現象は実家あるあるではないかと思われる。
この現象は「捨てずに新しいものを買う」という行動により起こる。
つまり、年を取ることにより家電や家具などの大物ゴミを捨てるのが億劫となり、とりあえず古いものは空きスペースに置いておいて新しいものを買ってしまいがちになるのだ。
老になると凡人でもこうなってしまうのだが、片付けられない才能を持っている、若いころから能力を発揮する上モノの物量も問わず、永遠にタンスの中で穴の空いた靴下や向こう岸が見えるパンツをロンダリングし続けている。
そして見かねた同居人などに「これもう捨てるよ」と言われた際「まだ使うんだよ!」と逆ギレした瞬間、本物の片づけられん人(ちゅ)として完成するのだ。
○塵は塵に、ゴミは分別してリサイクルに
しかし、捨てるのが億劫なのは、単純にでかい重いなど物理の問題だけではなく「捨て方」がわからないという理由もある。
日本はおそらくゴミの捨て方に関して厳しい方だと思う。実際掃除機は何の日に捨てたら良いのか即答はできない。
さらにゴミによっては自治体のゴミ捨て場には捨ててはいけないものもあり、自分で持ち込んだり、業者に回収を依頼しなければいけないものもある。
若ですら捨て方を調べて自分で手配するという工程は面倒である。老にもなればますます面倒であり「とりあえず置いておく」という判断になりがちだ。
またゴミ出しに厳しいということは、違反した場合怒られが発生するということである。
何せ分別が複雑なため、調べても「この等身大ドールは粗大ごみでいいのか、それとも中にモーターが入ってるから大型家電なのか」など判別がつかない場合がある。
そのような確証が持てないゴミをイチかバチかでゴミ捨て場に捨てて、もし間違っていたら回収されず、ゴミ当番により、要約すると「持って帰れ、さもなくば家を特定するぞ」という旨をマジックで書かれたドールを引きずって帰ることになる。
そのようなワンミスで村80%オフになる危険性がある村だと「捨て方がイマイチわからないゴミは家に置いておこう」という判断になりがちだ。
ちなみにゴミ出しの厳しさは自治体によって違う。うちの自治体はそこまで厳しくないのだが、夫の実家はゴミに名前を書かねばならず、さらに「ゴミ番」が立って監視しているディストピアらしく、確かにそんな場所で掃除機を捨てる気にはならない。
このような捨て方がわからないから、とりあえず置いているゴミというのはどこの家庭にも存在し、特に「電池」が貯まっている家は多いのではないだろうか。
「電池」は、燃えるゴミやプラゴミで捨ててはいけないことだけはわかるが何の日に捨てたらいいかすぐにはわからない。その内調べて捨てようと思っている内に、使用済み電池が貯められた箱が誕生するのだ。
さらに調べてみたところで「不燃ごみか有害ごみだが自治体による」という、うすらもんやりした答えしか出てこないので、結局そのままになりがちだ。
○リチウムイオン電池の火災も問題ですが、捨て方も
ただの乾電池ですらあやふやなところに、さらに曖昧で問題になっているのが「リチウムイオン電池」である。
リチウムイオン電池はスマートフォンやパソコンなど、我々の身近にあるものだが、発火事故などが起こる危険性もあり、処分は適切に行わなければならない。
しかし、適切に処分しようにも方法がわからない、という人の方が大多数であり、結局何が正解かというと、未だ「政府も検討中」だそうで、環境省とかが絶賛頑張り中なのだそうである。
つまり、ルールを守ろうにもルールが存在してなかったのだ。
リチウムイオン電池については統一ルールが存在せず、「とりあえず自治体に確認しろ、少なくとも適当なゴミの日に混ぜて出すのだけは絶対にやめろ」としか言えない状態らしい。
ちなみに、私の村の自治体に問い合わせたところ「うちの自治体では引き取らない」という竹を割ったような回答をいただき、現在のところ「個人でメーカーに送り返す」以外の方法はないようだ。
つまり、それを知らずにPC類を自治体の家電ゴミの日になど捨てると、ゴミ当番の手間は倍プッシュとなり、村120%オフは堅い。
発火するゴミも危険だが、ゴミが原因で起こる人間同士の争いの方が殺傷力が高いので、早急にルールを決めて欲しい。

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