北大、3本指の恐竜「テリジノサウルス類」の仲間で2本指の新種を初めて発見
2025年3月27日(木)16時36分 マイナビニュース
北海道大学(北大)は3月26日、モンゴルのゴビ砂漠に位置する白亜紀後期(約9500万年〜8960万年前)の「バヤンシレ層」から、獣脚類恐竜「テリジノサウルス類」の仲間としては初めて二指性の手を持つ新種として「デュオニクス・ツクトバアタリ(Duonychus tsogtbaatari)」を発見したと発表した。
同成果は、北大 総合博物館の小林快次教授らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、物理・生命科学・地球科学などの幅広い分野を扱う学術誌「iScience」に掲載された。
テリジノサウルス類は、白亜紀(約1億4500万〜6600万年前)にアジアや北アメリカに生息していた、植物食性または雑食性の獣脚類恐竜だ。このグループは、長い首と小さな葉状の歯、そして3本指の手と大きな鉤爪を持つ独特の形態で知られている。
今回発見された新種の恐竜の学名はDuonychus tsogtbaatariであり、「2つの爪を持つ、(キシグジャヴ・)ツクトバートル博士に捧げられた恐竜」という意味だ。なお、ツクトバートル博士は、長年にわたり古生物学に多大な貢献をしてきた、モンゴル・ウランバートルにあるモンゴル科学アカデミー古生物学研究所の元所長である。
デュオニクスは、他のテリジノサウルス類には見られない第3指の欠如による二指性に加え、背骨や肋骨の構造などにも独自の特徴を持つことから、新属新種であることが明らかになった。そして系統解析の結果から、デュオニクスはテリジノサウルス科の派生的なクレード(系統樹において、共通の祖先とそのすべての子孫を含むグループのこと)に位置付けられ、同じ地層から発見された他の3種のテリジノサウルス類(エルリコサウルス、エニグモサウルス、セグノサウルス)とは異なるクレードに属することが確認された。
デュオニクスはテリジノサウルスの中では中型であり、体重は約260kgと推定された(尺骨に基づく推定では268kg、第2中手骨に基づく推定では259kg)。このサイズは、同じ地層から発見されたエルリコサウルス(約278kg)とほぼ同程度だが、エニグモサウルス(約567kg)やセグノサウルス(約1469kg)などよりは軽量である。また、骨格の詳細な分析から、発見された個体はまだ完全に成長しきっていない若い個体だったことも明らかにされた。
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