ROG Phone 9 Pro Editionレビュー - ゲームプレイ優先なら最適、そうでなくても十分選択肢に入る高性能スマートフォン

2025年5月21日(水)8時0分 マイナビニュース


●高負荷のゲームプレイにも耐えるディスプレイ/パフォーマンス
ASUSのゲーミングスマートフォン「ROG Phone 9」シリーズが発表しました。ゲーミングスマートフォンとして代を重ねて一定の地位を確保しているこのシリーズですが、最新版ではパフォーマンスを向上させ、さらにAI性能を強化しました。
今回は、最上位の位置づけである「ROG Phone 9 Pro Edition」を試用することができたので、その実力をお届けします。
○高負荷のゲームプレイにも耐えるディスプレイ/パフォーマンス
「ROG Phone 9」はゲーミングスマートフォンとしてゲーム性能の向上を優先し、とにかくパフォーマンスを重視したモデルです。瞬間的なパワーだけでなく、高性能を長時間維持することを追求しています。
ディスプレイは6.78型Flexible AMOLED FHD+(2400×1080)、リフレッシュレートは1〜120Hzの可変。明るく見栄えのよいディスプレイで、ゲーム向けにはリフレッシュレートが最大185Hzの設定も可能です。
まずはその性能を見てみましょう。SoCはQualcomm Snapdragon 8 Eliteを搭載。前モデルはSnapdragon 8 Gen 3だったので、順当にアップデートされています。メモリとストレージはモデルによって異なり、「ROG Phone 9」は12GB/256GB、「ROG Phone 9 Pro」は16GB/512GB、そして「ROG Phone 9 Pro Edition」が24GB/1TBとなっています。
スペックでは、なぜか「ROG Phone 9」のメモリ容量が前モデル「ROG Phone 8」の16GBから12GBに減少しています。これは前モデルと同じ159,800円という値付けを維持するためかもしれません。「ROG Phone 9 Pro」は前モデルと同じ16GB/512GBですが、179,800円だった価格が239,800円に値上がりしています。
なお、無印の「ROG Phone 9」に加えて、「ROG Phone 9 Pro」「ROG Phone 9 Pro Edition」と3モデルに分かれるのは従来通り。各モデルの間には、メモリとストレージ容量の違いに加え、無印はマクロカメラを、「Pro」は望遠カメラを搭載するという違いがあります。「Pro」と「Pro Edition」の違いは、Aero Caseなどのゲーミング向けのアクセサリーが同梱されるかどうかです。
いずれにしても、メモリ、ストレージともに必要十分。LPDDR5XメモリとUFS 4.0ストレージなのでパフォーマンスも問題なさそうです。
ベンチマークテストでも、十分な性能を発揮していることが示されています。基本的にはほぼ同等の仕様のはずの「Galaxy S25 Ultra」と比べても、一部ではパフォーマンスが上回っています。このあたりは冷却性能などが功を奏している可能性がありそうです。
実際に、ゲームプレイなどは快適です。ここまでくるとどのスマートフォンを使ってもパフォーマンスの問題はあまり起きませんが、逆に言えばこれを使い切るようなゲームが今後出てくるのか、というあたりが問題かもしれません。
●ゲームプレイを快適にするさまざまな機能を搭載
○ゲームプレイを快適にするさまざまな機能を搭載
ゲーミングスマートフォンとして、数々の機能も盛り込まれています。搭載されているアプリ「Armoury Crate」はPC向けにも提供されているゲーム管理アプリで、現在のシステム温度やパフォーマンスの設定を行うことができます。
電源ボタンを上にして横持ちし、ゲームコントローラーのように構えたとき、人差し指があたる側面に超音波式のボタン「AirTrigger」が配置されているのは従来通り。左右それぞれのエリアを分割して2つのボタンとして動作させることもできますし、左右にスワイプする動作に機能も割り当てられます。
画面のタッチに割り当てが可能なので、すべてのゲームで利用することはできます。タップやスワイプなど、いずれかにしか割り当てられないのですが、例えば左右それぞれエリアを分割する機能を使えば、実質4つのAirTriggerを割り当てられます。ちょっと操作は難しくなりますが、慣れている人であれば便利そうです。
そのほか、様々なゲーム用機能があるので、ゲーミングを重視するユーザーにとっては便利でしょう。ゲーム画面にオーバーレイして表示される「Game Genie」は、26個の機能を備えているそうです。画面上にコントロールアイコンが表示されるので、リフレッシュレートやネットワーク、パフォーマンスなどの設定をワンタッチで切り替えたり、X SenseやAI Grabberなどの機能を起動したりできます。
アイテムを自動収集したりスキルの自動実行をしたり、会話のスキップなどができる「X Sense」、ゲーム画面のテキストを選択して翻訳したりWeb検索したりが可能な「AI Grabber」、マクロ機能なども便利な機能です。
ゲーム機能ではこのほか、本体背面に搭載されたミニLEDを使った「AniMe Vision」を搭載。ミニゲーム「AniMe Play」をプレイすることができるようになっています。「Pro Edition」には「AeroActive Cooler X Pro」が付属(オプションとしても購入可能)。冷却効率を向上させて長時間のゲームプレイが可能になるほか、サブウーファーを搭載して音圧が向上します。
AeroActive Cooler X Proにはデュアルボタンが搭載されていて、ゲーム操作を割り当てることで、AirTriggerをさらに拡張して多彩なボタンコントロールが可能になります。
これらの豊富なゲーム補助機能を搭載しており、単に「パフォーマンスが高い」だけのゲーミングスマートフォンではないのが、「ROG Phone 9」シリーズの魅力と言えるでしょう。
●ハイエンドスマートフォンとしては普通のカメラ
○ハイエンドスマートフォンとしては普通のカメラ
カメラはトリプルカメラで、メインは35mm換算で23.8mm相当のF1.9レンズを搭載した広角カメラ。センサーはソニー製のLytia 700で、1/1.56型というセンサーサイズとなっています。画素数は5,000万画素で、ピクセルビニングによって1,250万画素で記録可能。実質の画素ピッチは2μmです。
ASUSが得意とするジンバルを内蔵した光学式手ブレ補正機能も採用されています。補正角度が従来よりも向上して5度になったとしており、より安定した手ブレ補正が期待できます。
超広角カメラは1,300万画素センサーを搭載し、レンズは12.7mm相当。さらに3,200万画素の光学3倍望遠カメラを搭載しているところは「Pro」「Pro Edition」のみの特徴となります。無印の「ROG Phone 9」は、広角(メイン)カメラと超広角カメラに加えて500万画素のマクロカメラを搭載しており、望遠カメラは搭載されていません。
個人的にはマクロカメラより3倍望遠カメラの方が利便性は高いと感じます。ただし、そのぶんが本体代金へ上乗せされるわけで、このあたりは難しい判断です。
いずれにしても、ピクセルビニングを活用した望遠カメラを搭載する点はProのメリットです。極めて優れたカメラというほどではありませんが、一般的な用途では困ることなく、望遠画質も良好なので、単にゲームだけでなく、ハイエンドのスマートフォンとしても十分です。
カメラで見逃せないのは使い勝手の面で、ゲームで利用するAirTriggerをシャッターボタンとして利用することができます。AirTriggerはちょうどカメラのシャッターボタンとほぼ同じ位置にあるため、操作性としては良好です。変な場所にあるiPhone 16のカメラコントロールよりも使いやすい印象です。
ただし、AirTriggerのシャッターは縦持ちにしていると動作しないようで、また、かなり敏感に反応するため、カメラを起動して構えようとする間に指が触れて1〜2枚撮影されてしまうことが多くありました。画像は消せばいいだけですが、機能自体をオフにもできるので、このあたりは使い込んでみてどう設定するかを検討するといいでしょう。
画質面での不満は特に感じません。望遠カメラもあるため、それなりに望遠にも強く、デジタルズームの10倍までであればそれなりによく写ります。
ジンバルは特に動画撮影向けですが、ブレの補正もよく効いていて、他社のハイエンド並みの補正はしてくれていそうです。
●独自AI機能は必要最小限だが、Googleの機能も利用できる
○独自AI機能は必要最小限だが、Googleの機能も利用できる
流行のAI機能も搭載しています。レコーダーアプリは音声録音時に文字起こしが可能で、他社に比べてやや反応は遅い印象ですが、リアルタイムの文字起こしが可能です。別途「AIテキストキット」をダウンロードすることで要約機能も利用できます。
この要約機能は、極端に短くまとめるのではなく、フィラーなどを省いてきれいにまとめてくれる感じで、情報量が十分にあるので、個人的には好みでした。
全てオンデバイスで処理されるというのも安心ですが、そのためもあるのか処理速度は少し遅めです。AI性能としても高速なSoCではあるのですが、変換速度があまり速くないのは気になりました。
他にもAI通話翻訳やAI流し撮り機能も搭載。Googleのかこって検索やGeminiといった機能も搭載しており、編集マジックや消しゴムマジックといったGoogleフォトアプリの画像編集機能も対応しています。
充実しているというほどではありませんが、Googleがカバーしない部分のAI機能を盛り込んでいるという感じでしょうか。特にレコーダーは現実的なレベルの精度で使えそうです。
そのほかの「ROG Phone 9」の機能としては、eSIMに対応した点が新しいところです。今となってはそれほど珍しい機能ではないのですが、すぐに通信機能を追加できるなど、あると便利な機能なので重要な改善点でしょう。
ここまで見てきたように「ROG Phone 9」シリーズは、「ゲーミングスマートフォン」としてきちんとゲームに特化した機能を盛り込んだ、ハイエンドだけではないスマートフォンです。スマートフォンでフルにゲームを楽しみたいなら「Pro Edition」を是非購入したいところ。
それ以外の人にとっても、ハイエンドスマートフォンとしては十分選択肢に入ります。個人的には暇つぶしのミニゲーム「AniMe Vision」はつい遊んでしまいそうです。

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