Xiaomiが「POCO F6 Pro」を発売 Snapdragon 8 Gen 2搭載で6万9980円から、ゲーミング要素は控えめに

2024年5月23日(木)21時35分 ITmedia Mobile

「POCO F6 Pro」

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 Xiaomi Japanは5月23日にゲーミング性能をアピールするスマートフォン「POCO F6 Pro」を発売した。メモリとストレージと市場想定価格は、12GB/256GBで6万9980円(税込み、以下同)、12GB/512GBで7万9980円となっている。カラーはブラックとホワイトの2色で展開する。
●世界で6000万台以上を出荷したPOCOブランドのFシリーズ
 POCOは中国Xiaomiから生まれたブランドで、独立した製品、販売、マーケティングのチームを持っている。Xiaomiの基盤と規模の大きさから得られる主要なメリットを活用できるとしている。やみくもに最新のスペックを詰め込んだり、プレミアムな地位をスマートフォン業界に置いて確立したりということではなく、ファンの声とフィードバックに重点を置き、ファンにとって必要な技術を追求しているという。
 ブランドとしては立ち上げから6年がたつが、同社マーケティングマネージャーの片山将氏いわく「だいぶグローバルで浸透していきつつも、日本ではまだまだこれから……という立ち位置のブランド」だという。一方で、グローバルでは6000万台以上が出荷されており、「台数としてはかなり伸びてきている」(片山氏)。
 POCOは主に3つのラインアップを持つ。1つ目は「フラグシップキラー」と銘打った最上位モデルのFシリーズ、2つ目は最上位と最下位の真ん中に当たるXシリーズ、そして3つ目が究極のコスト対性能を追求したMシリーズだ。日本でも展開されるFシリーズはフラグシップ級のパフォーマンスを発揮し、低価格ながらゲーミングなどの用途にも十分活用できるとうたうシリーズだ。
 日本国内ではこれまでに第1弾モデルとして「POCO F4 GT」を2022年に投入したが、2年のブランクをへて、その新モデルとしてPOCO F6 Proを日本で発売する。
●ディスプレイも性能も快適性をうたう
 デザインは黒地にゴールドのリンクを施しており、カメラの部分を強調するような見た目となっている。ホワイトは月の明かりにインスパイアされたデザインで、一見すると石のような見た目の背面が印象的だ。カメラの台座は光沢感はあるが、それ以外は光沢感がなく、指紋も目立ちづらい。
 ディスプレイは1440×3200ピクセルの有機ELを搭載し、リフレッシュレートは1〜120Hzの可変式となっている。タッチサンプリングは最大2160Hz。最大輝度は4000ニトと業界最高水準で、屋外での視認性を確保。LTPOのCBディスプレイパネルの搭載で、高光効率と低消費電力を実現したという。
 テュフ ラインランドの低ブルーライト認証、フリッカーフリー認証、サーカディアン フレンドリー認証を取得済み。ディスプレイの輝度が0〜24ニトに設定されている場合にのみ、最大3840HzのPWM調光が有効になり、チラつきを軽減することで、目への負担を抑制できるとする。
 プロセッサは「Snapdragon 8 Gen 2」を採用。「Snapdragon 8+ Gen 1」に比べて、CPUのパフォーマンスや電力効率が向上している他、GPUにより電力効率が35%アップしたという。Xiaomiが性能計測ツール「AnTuTu Benchmark」で計測した結果、「164万をオーバーした」(片山氏)とのことで、プロセッサに負荷のかかるゲームでも「快適にプレイできる」(同氏)という。
 ゲームにおけるロード時間の短縮、高品質な画像処理出力、タッチや正確性の最適化を可能にする機能も利用できる。
 さらに、冷却性能「LiquidCool Tecnology 4.0」を取り入れたこともポイント。単一方向に熱を逃がすことで、より効率的に冷却する。プロセッサに高い負荷のかかるRPGを30分実行した場合の結果は、アベレージFPSが「59.57という数値を維持できた」(片山氏)という。輝度400ニトでプレイをし続けた状態で、製品端末の表面の温度を計測したところ、「43.4度となった」(同氏)そうだ。
 バッテリー容量は5000mAhで、9分で100%までの充電が可能だ。120Wで急速充電が可能な「ハイパーチャージ」と銘打つ技術により実現しているが、バッテリーの熱や寿命に関して47項目の保護項目を設けて、Xiaomiラボでのテストを行った。なお、急速充電は付属の充電器を利用する必要があることに加え、端末内の設定アプリから「充電速度のブースト」を有効にしておく必要がある。
 ネットワークに関しても強化された。ハードウェアとしては、メタルフレームの通信のアンテナを改良したことで、アンテナのカバーエリアや、信号の最大強度が大幅に向上しているという。無線LAN規格はWi-Fi 7をサポートし、ストリーミングゲームを遅延なく快適にプレイできる点も売りとなっている。
 プリインストールOSはAndroid 14ベースのXiaomi Hyper OSとなっている。
●AI活用のカメラ機能を搭載 撮り逃しを防ぐバーストショットも
 アウトカメラは5000万画素のカメラを含むトリプルカメラシステムを採用。5000万画素のメインレンズ、800万画素の超広角レンズ、200万画素のマクロレンズで構成される。メインカメラのセンサーはXiaomi独自のイメージセンサーである「ライトフュージョン 800」というイメージセンサーを搭載し、集光量が増したことに加え、F1.6の明るいレンズを採用した。
 合わせて、光や色彩の変化、物体の動きを認識してディテールまで鮮やかに再現する「Xiaomi Imaging Engine」、AIアルゴリズムを活用し、低感度用と高感度用の異なる感度設定を搭載したことで、暗所でも明るくノイズの少ない写真を撮影できるとしている。
 AIを活用した機能として、背景、服装などの足りていない部分をAIで生成して補う「AIポートレート」、写真内の物体をシームレスに除去可能なGoogleの「消しゴムマジック」に相当する「AI マジックイレイズプロ」を利用できる。なお、AIポートレートは、後日、ソフトウェアアップデートで対応する予定だ。AIポートレートについて片山氏は「Xiaomi Japanに情報が渡っていないため、情報がまだ不透明な部分がある」と前置きした上で、「機能の詳細についてはSNSなどで発信していく」としている。
 「AIアルバムサーチ」という機能も搭載する。例えば、コンサート、ゴルフ、ラーメンなどとキーワードで検索すると、それに該当する写真を検索できる。写真をたくさん撮りためたことで、探しづらい古い写真を見つけられる。
 カメラ機能については、この他にも1秒あたり約30枚(1回のショットで最大50個のフレーム)を撮影し、撮り逃しを防ぐ「バーストモード」がある。
●印象は「POCO F4 GT」からガラリと変わる ゲーミング要素は薄めに
 この他、便利機能として、表示画面の録画が可能な「スクリーンレコーダー」、画面を下方向へ下げることで片手での操作をしやすくする「片手操作モード」、任意のアプリをすぐに起動できる「サイドバー」などが利用できる。
 中でも特に便利なのがスクリーンレコーダーだ。解像度、画質、画面の向き、音源、フレームレートをプリセット値から選択できるため、例えば、ゲームをプレイしながら、自分の声をマイク経由で録音し、高解像度のアーカイブ動画として残せる。ゲームの解説動画を製作する際に役立つ。録画は画面をロックするだけで終了でき、録画停止ボタンをタップする挙動の録画を省ける。
 ただし、解像度は1080×2400ピクセル、720×1280ピクセル、480×800ピクセルの3択となっており、POCO F6 Proのディスプレイ解像度である1440×3200ピクセルでは記録できない。
 このように、設定アプリにはかゆいところに手が届くような項目がいくつもあり、ゲーマーにうってつけのものもある。
 一方で、「Snapdragon 8 Gen 1」を採用し、フラグシップ級の処理能力を誇りながらも、価格は7万4800円からとコスパを売りにしていた「POCO F4 GT」のアイデンティティーだった「ポップアップトリガー」はPOCO F6 Proには搭載されない。
 ポップアップトリガーはゲームをプレイするときにL/Rのボタンとして機能する。単なる物理ボタンではなく、マグネット式のスイッチでもあったため、スライドさせるとカチっという音とともにやや跳ね上がる仕組みだった。例えば、ゲームプレイ中にサイレントモードに画面の録画を開始するときは「2回押す」を、余計な通知音が音声に混ざらないようにする場合には「長押し」でサイレントモードに切り替えられるなど、こちらも便利機能といえる。
 見た目や機能、仕掛けを含めてゲーマーに向けたスマートフォンであることがすぐに想起できたPOCO F4 GTだったが、POCO F6 Proではカメラやバッテリーなど、ゲーミング要素以外の進化もあることから、Xiaomi Japanもあからさまにゲーミングスマホと銘打っていない。独自の要素は薄まったが、より多様なシーンで使える、オールマイティーなスマホに仕上がったといえる。

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