新型コロナワクチン、3カ月遅ければ2万人超が命を落としていた――東大・東北大の研究チームが試算

2025年5月23日(金)6時5分 ITmedia NEWS

(出典:プレスリリース、以下同)

 東京大学と東北大学の研究チームは5月21日、新型コロナウイルスワクチンの導入時期や接種率が死亡者数に与えた影響に関する試算結果を発表した。2021年の接種開始が現実より3カ月遅れていれば、死者数は2万人以上増えていた可能性があるという。
 研究では、日本における2021年の新型コロナの流行期を対象に、感染者数やワクチンの有効性・接種率、変異株の種類などを踏まえた数理モデルを構築。これを用いて「実際には起きなかった状況」を再現する反実仮想シミュレーションを行い、接種開始のタイミングによる死亡者数の差を試算した。
 21年の新型コロナによる死亡者数は、国内で累計約1万4000人。21年末時点で、全国の接種率は83.4%であったと推定される。研究チームは、ワクチン導入が1カ月早ければ2571人、3カ月早ければ7003人の死亡を防げたと推計した。一方、1カ月遅れていればさらに4796人、3カ月遅れていれば2万2216人の死者が追加で発生していた可能性があるとした。
 また、研究チームは「ワクチンの有効性は捏造されている」「政府はワクチン接種と自閉症の関連を隠蔽している」といった誤情報の拡散が、接種行動に与えた影響に注目。約3万人を対象に実施された当時のアンケート調査などをもとに、誤情報を信じているワクチン受容者が接種を忌避していた場合、接種率は76.6%まで低下すると試算した。
 この場合、死者は実際より1020人増えると推計。逆に、誤情報を信じていたワクチン忌避者が、信じていなかった人と同程度に接種していれば、431人の命を救えていたとする。
 研究チームは「開発したモデルとそれによって得られた知見は、次のパンデミックが発生した際の、ワクチン接種戦略に役立つ」としている。
 研究成果は5月21日、国際科学誌「Vaccine」のオンライン版に掲載された。

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