新規則導入でF1ドライバーのトレーニング法に変化。ハミルトンやリカルドも体重が増加
レーシングカーのデザイナーやエンジニアは体重の軽いドライバーを好む。結局のところ重量によってマシンのスピードは落ちるし、体重は戦略的にマシンに配置できるものでもないからだ。
F1は体重の軽いドライバーと重いドライバー間の状況を公平にしようと試み、規則でドライバーとマシンの重量を合わせた最低重量を取り決めた。デザイナーは必然的にマシンを最低重量以下になるように製作し、競争力を最大限に高められるようにバラストをシャシーに配置する。つまり体重の軽いドライバーに利点があるということになる。
2019年の新ルールではドライバー、ヘルメット、HANSデバイス、その他のキットとシートを合わせた重量が最低80kgにならなければならない。そしてドライバーとマシンの合計重量は最低740kgになるように考慮する必要がある。体重の軽いドライバーはシート周辺にバラストを配置しなければならないが、体重の重いドライバーと比べて重心を低くできるため、後者は今も多少不利な立場にある。
すべてのドライバーが食事とトレーニングで体重を増やしているわけではないが、多くの者がそうしている。プレシーズンテストの間、ケビン・マグヌッセンの乗るハースのマシンはヘッドレストの設計が悪く、前に押し出されて落ち着かない状態になっていた。しかし彼は筋肉を増強していたため、首にかかる負担に耐えることができたのだ。
「体が全体的に強くなったと感じている」とマグヌッセンは語った。
「トレーナーと、身体が改善したことを感じるのは素晴らしいという話をしているよ。僕は体重を4kg増やした。その4kgが功を奏していることは間違いない」
ニコ・ヒュルケンベルグの体重は78kgと、すでに80kgの制限に近づいている。
「僕はキャリア全体を通じて、ひとつの数字にとらわれている。体重と戦っているんだ。適切な体重は80kgから2kg軽い78kgだ。おおむねその体重でならなければならない。それ以上にはなれない」ヒュルケンベルグは述べている。
ダニエル・リカルドは、自分が今では1990年代初期のアーノルド・シュワルツェネッガーのように見えると冗談めかして語った。
「今年は少し体重を増やせる」とリカルドは話し、以下のように続けた。
「意図的に体重を増やそうとはしていないが、筋力トレーニングを増やすことをやめはしなかった。筋力トレーニングがプログラムに含まれている限り、激しい有酸素運動をして体重を減らすのとは対照的に、体重は増加する。それが1年前との違いだね」
リカルドはまた、数年前に比べると洗練されたトレーニングを行なっているという。
「プレシーズンから冬季テストに入るまでハードなトレーニングをするから、いつも空っぽで消耗しているように感じていたんだ。自分を完全燃焼させるのが少し早すぎたんだね。だから今はもう少し賢くトレーニングをしているよ。調子が良い日は全力でやるけれど、休みも取り、身体を回復させるようにしている」
数kg以上の体重を増やしたというルイス・ハミルトンは「僕はまだ制限の範囲内だから、良い調子だ」と述べ、こう続けた。
「毎年同じような目標を達成しないといけない。今回のように制限が上げられると、トレーニングの他の要素を深く掘り下げることになる。とてもエキサイティングな挑戦だ」
「毎年トレーニングに戻り、異なるメソッドを試すのはきついものだ。僕にはトレーナーはいないけれど、知人たちとトレーニングをしてきた。数週間を通して違うことを試したけど、面白いものだよ。それを1年を通してやることになるんだ。体の奥深くの中心部が、これまでにないほど強力だと感じている」
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