スペインの神童ヤマルに無限の可能性。クロアチア戦分析【ユーロ2024】
UEFA欧州選手権(ユーロ2024)が6月15日に開幕。同日ドイツのベルリン・オリンピアシュタディオンでは、グループBのスペインとクロアチアが対戦した。
UEFA(欧州サッカー連盟)のアレクサンデル・チェフェリン会長も視察に訪れた強豪同士の注目の試合だったが、試合は3-0と大差でスペインが勝利する意外な展開に。16歳338日でユーロ史上最年少出場記録を更新したスペインのFWラミン・ヤマル(バルセロナ)も、爆発的なスピードとアシストで勝利に貢献した。
1得点1アシストのスペインMFファビアンがノリノリ
スペイン対クロアチア。試合はお互いに慎重に攻撃の糸口を探り合う立ち上がり。同じグループBには前回大会王者のイタリアも入っており、両チームとも初戦の重要性を理解している様子だ。
決定的なチャンスはなく、ディフェンスラインでパスを繋ぐ時間が長く続いた。緊張感がありながらも静かな立ち上がり。しかし、ゲームの流れは一瞬にして変わる。
29分、スペインに動き。ピッチ中央で短い横パスを受けたMFファビアン・ルイス(PSG)が素早く縦に長めのボールを出すと、2人のディフェンダーの間でボールをもらったFWアルバロ・モラタ(アトレティコ・マドリード)がスピードに乗ったままドリブルで前方に突進して左足インサイドでゴール左にきっちりと決めた。均衡を破る重要な先制点。さすがキャプテンだ。
クロアチアのディフェンダーはすぐ近くにいながら、意識の準備ができておらず、対応が遅れた。左足で針の穴を通すようなパスを出したファビアンの眼には、その小さい穴がはっきりと映っていた。ファビアンはパスを出した瞬間に顔を前にせり出すようにして、しっかりと狙い撃ちしていた。一瞬の隙を見逃さないファビアンの見事なパス。ここから試合が大きく動きはじめる。
同点に追いつこうと前がかりのクロアチアは、MFマテオ・コバチッチ(マンチェスター・シティ)がドリブルからシュートもスペインGKウナイ・シモン(アスレティック・ビルバオ)がセーブ。
スペインもその反動で効果的な攻撃ができるようになり、ウィンガーのヤマルが右サイドの深い位置でボールを持つとMFペドリ(バルセロナ)を経由。ファビアンがゴール中央でボールを受けると細かい切り替えしで複数の相手を交わして左足で豪快にシュート。32分で2-0とスペインがリードした。
ファビアンは、わずか3分で1得点1アシストと大きな仕事をしてのけた。この時間帯のファビアンは乗りに乗っていた。
その後、クロアチアも必至に追い上げをはかるも、なかなか得点ができず。逆にスペインは前半終了間際の45+2分に右サイドでボールを持ったヤマルの左足クロスでGKとディフェンスラインの間をピンポイントで突き、DFダニエル・カルバハル(レアル・マドリード)が走り込んで右足で合わせる。強豪同士の試合は前半を終了して3-0と大差がつく意外な展開となった。
後半クロアチアは攻撃を構築し何本もシュートを放つもスペインは失点を許さず。GKシモンのパスをロヴロ・マイェル(ヴォルフスブルク)がカットすると中に折り返し、シュートかというシーンでスペインのMFロドリ(マンチェスター・シティ)が後方からタックルしPKの判定となった。
80分にそのPKをシモンがセーブすると、クロアチアはこぼれ球を繋いでFWブルーノ・ペトコヴィッチ(ディナモ・ザグレブ)がゴールかと思いきやVARでオフサイドの判定。試合終盤はスペインが守備を固め、そのまま3-0で勝ちきり確実に勝点3を獲得した。
クロアチアは不運もあったが、スペインの強さが光った試合だった。各チームが1試合を終えて、スペインがグループB首位に立った。
神童ヤマルの爆発的なスピードと無限の可能性
この試合で【4-3-3】の右ウィンガーとして先発したスペインのヤマルは、16歳338日でユーロの史上最年少出場記録を更新した。これまでの記録はユーロ2020のスペイン戦に出場したポーランド代表MFカツペル・コズラウスキー(フィッテッセ)の17歳246日だった。
ヤマルはバルセロナで2023年4月に15歳でデビューし、51試合に出場し7得点。ラ・リーガの最年少得点やUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の最年少先発といった記録も保持する。スペイン代表デビューは2023年9月のユーロ予選ジョージア戦で、スペイン史上最年少出場と最年少得点の記録を更新した。
この大一番でルイス・デ・ラ・フエンテ監督は、スペイン代表8試合目となるヤマルを先発させた。後半の立ち上がりにあと少しで得点できそうなシーンもあったが、スペインの3点目をアシストしてしっかりと結果を出した。当然、これも最年少アシスト記録だ。大会の最年少得点記録の更新も予感させる。
86分にベンチに退いたヤマルだが、初めての大きな国際大会とは思えないようなリラックスした動きで、その根拠となる実力もしっかり備えている。相手選手に体を寄せられても冷静に対処。緩急のあるドリブルが冴えわたり、縦に抜け出した時にトップスピードになると、周囲のクロアチアの選手がまるで軽いジョギングをしているのかと錯覚するくらいの差があった。
体のしなやかさと爆発的なスピードは、まるでFWキリアン・ムバッペ(レアル・マドリード)がフランスでデビューした頃のようである。クロアチアのMFルカ・モドリッチ(38歳/レアル・マドリード)がディナモ・ザグレブでデビューした頃、ラミンはまだ生まれていなかったのだから、どれだけ若いか分かるだろう。
ラミンはユーロ開催中の1ヶ月間で、どんどん成長してゆきそうだ。そのくらい伸び盛りで、選手として計り知れない伸びしろを感じさせた。
スペイン主将モラタ負傷交代の影響は?
同試合前半29分にファビアンのアシストで先制点を決めたスペイン主将のモラタだが、67分に負傷で倒れ込みピッチを退いた。ベンチに座ると、顔をしかめながら左大腿部のアイシングを繰り返した。
次の試合は6月21日(日本時間)前回王者イタリア戦である。間に合うか気になるところだ。
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