全国高校サッカー選手権大会の歴代名勝負4選【決勝戦】

2025年1月6日(月)14時0分 FOOTBALL TRIBE

青森山田高校 写真:Getty Images

2024年12月28日に開幕した第103回全国高校サッカー選手権大会はベスト4が出揃い、準決勝と決勝を残すのみとなった。歴史あるこの大会では、これまで様々な名勝負が行われ数々の感動が生まれている。


この大会を機にプロになる者もいれば、サッカーから身を引く者、大学へ進学する者などその後の道は様々だ。ここでは、これまで行われた同大会の決勝戦から特に印象的だった試合を振り返り、活躍した選手と共に紹介していく。




東福岡高校 写真:Getty Images

東福岡高校VS帝京高校(第76回大会決勝戦)


1998年1月8日に行われた第76回大会の決勝戦は、東福岡高校(福岡県代表)と帝京高校(東京都Aブロック代表)の対戦となった。この試合は、大雪の国立競技場で行われたことから“雪の決勝”とも呼ばれ、歴史に残る名勝負と言われている。


この年の東福岡は、MF本山雅志(元鹿島アントラーズ)、MF宮原裕司(元アビスパ福岡)、DF金子聖司(元ヴィッセル神戸)など後にプロサッカー選手となる逸材を多数擁しており、黄金期とも言われた世代。対する帝京は、MF中田浩二(元鹿島)を中心としたメンバーで6年ぶり7度目の優勝を掛けて挑んだ。


試合は帝京が前半21分に先制するも直後の24分に東福岡が同点に追いつき、後半5分には逆転。そのまま2対1で東福岡が勝利した。インターハイ(全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会)、日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会に続く勝利で、初の高校サッカー3冠を達成した。




乾貴士 写真:Getty Images

野州高校VS鹿児島実業高校(第84回大会決勝戦)


2006年1月9日に行われた第84回大会の決勝戦は、野洲高校(滋賀県代表)と鹿児島実業高校(鹿児島県代表)の対戦となった。高校生とは思えないテクニックとコンビネーションプレーで“セクシーフットボール”とも呼ばれた野洲のサッカーは、世間に大きな衝撃を与えた。当時の高校サッカーと言えばロングボールを多用し堅い守備からのカウンターが主体だったが、野洲のサッカーは卓越した個人技でパスを回すプレーで観客を魅了した。


なかでも大きな活躍を見せたのは2年生のMF乾貴士(現清水エスパルス)と3年生のFW青木孝太(元ジェフユナイテッド千葉)だろう。2年生ながらレギュラーとして大会に出場した乾は、その後横浜F・マリノスでプロデビュー。セレッソ大阪やスペイン1部SDエイバルなどでもプレーし、日本代表としても36試合に出場している。


3年生ストライカーの青木は背番号9を背負い、優勝の立役者としてプレー。その後は千葉でプロデビューし28歳で現役を引退している。近年、野洲は全国の舞台から遠ざかっているが滋賀県を代表する名門校の復活に期待したい。


広島皆実高校 写真:Getty Images

広島皆実高校VS鹿児島城西高校(第87回大会決勝戦)


2009年1月12日に行われた第87回大会の決勝戦は、広島皆実高校(広島県代表)と鹿児島城西高校(鹿児島県代表)がいずれも初優勝を目指して対戦。鹿児島城西は準決勝までに27得点と圧倒的な得点力を見せており、FW大迫勇也(現ヴィッセル神戸)が大会通算10得点で同大会における歴代最多記録を達成し『大迫半端ないって』の名言が生まれたことでも有名だ。


試合は前半20分に鹿児島城西が大迫のゴールで先制。城西の得点力が決勝戦の舞台でも爆発するかと思われたが、23分に広島皆実が同点に追いつき33分には逆転に成功した。後半は両チームそれぞれ1点を挙げ3対2で広島皆実が勝利し、見事初優勝を飾った。


広島皆実は決勝戦までの失点がわずか1。決勝戦では2失点こそしたものの圧倒的な得点力を誇る鹿児島城西をチーム全員の集中した守備で抑えた。大会を通し「堅守速攻のチーム」から「得点も取れるチーム」へと進化したと言えるだろう。




青森山田高校 写真:Getty Images

青森山田高校VS大津高校(第100回大会決勝戦)


2022年1月10日に行われた記念すべき第100回大会の決勝戦は、青森山田高校(青森県代表)と大津高校(熊本県代表)の対戦カード。キャプテンのMF松木玖生(現ギョズテペSK/トルコ1部)を中心に3度目の優勝を目指す青森山田に対し熊本県勢として初の全国制覇を目指す大津の戦いは、青森山田がDF丸山大和(現東海大学)のゴールで先制すると前半終了間際にはFW名須川真光(現順天堂大学)が追加点を挙げ2対0。後半には松木もゴールを決めるなど最終的に4対0で青森山田が勝利した。第98回大会から2年連続決勝戦で敗れ準優勝に終わっていた青森山田が、3大会ぶり3度目の高校ナンバーワンに輝いた。


長年チームを率いた黒田剛監督(現町田ゼルビア監督)指導の下、代名詞とも言えるロングスローを武器に優勝を手にした青森山田は、その後の第102回大会も制しており、まさに近年の高校サッカー界を牽引する立場を確立したと言える。


松木のその後の活躍は言うまでもない。共に全国制覇を果たしたDF丸山とFW名須川も現在はそれぞれの大学でプレーしているが、いずれプロサッカー選手として名を馳せる日が来るかも知れない。




今回紹介した試合の他にも、国見高校(長崎県)や市立船橋高校(千葉県)、前橋育英高校(群馬県)など印象に残る試合は数多くある。果たして第103回大会でナンバーワンの座を掴むのはどのチームなのか。1月11日の準決勝、13日の決勝に注目したい。

FOOTBALL TRIBE

「高校」をもっと詳しく

「高校」のニュース

「高校」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ